始まりと終わり
プロローグ
ダンジョン災害、ダンジョンからモンスターが溢れ被害を及ぼす事の総称である。
西暦2016年初頭に発生したスタンピードによりダンジョンの存在が発見された。
当初の災害はその規模にくらべると被害が比較的少なかった。ただし、日本を除いては。
災害発生時、日本人は何かのイベントだと思っていた人が大半だった。襲われるまでは。
人が襲われているさなかでも、逃げ惑う人々の中には動画を撮影していた者もいた。
日本の被害が拡大した要因は政府の対応の遅さであった。現場の警察官の対応に対しても混乱の極みであった。何故なら、暴れているモンスターが所謂『人型』だった為である。(後に『ゴブリン』や『オーク』と呼ばれることになるモンスターである。)警察の対応は出来る限りの逮捕であり、海外の様な『サーチ&デストロイ』ではなかったため一般市民への被害が拡大した。
日本政府が自衛隊派遣を決定したのが災害発生から72時間後であり、その24時間後には米軍の派遣が決定した。事態の終息時には千数百人の一般市民の犠牲者が出ていた。
これが『始まり』と呼ばれるスタンピードである。
後の調査で全世界に大小様々なダンジョンが多数発見されることになる。
『始まり』から2年後、世界は『ダンジョンバブル』に沸いていた。
2年の間に世界各国はダンジョンの調査に乗り出した。結果ダンジョンは宝の鉱脈であった。
ダンジョンからは様々な鉱物や動植物、未知の物質が産出した。スタンピードに対してもある程度間引いてやれば発生しない事がわかった。それに伴いダンジョンは各国の政府機関が管理することになった。世界ダンジョン機関(W.D.O)の設立である。
この2年で変わった事はダンジョンを発見した場合必ず政府機関に申告する事。
ダンジョンを探索する場合には探索者免許証の取得する事。
探索者免許証取得には20歳以上であること
ダンジョン内では原則として自己責任
その他諸々・・・・
が世界ダンジョン機関の基本理念である。
その2年後日本で突如として冒険者組合が設立される。
『ギルド』と『W.D.O』が真っ向から対立した。
『ギルド』の主張は2年以内に超大型の『スタンピード』が起きるために、不必要なダンジョンの間引きと要塞都市の建設を主張した。勿論主張は受け入れられなかった。例えば、金鉱山を閉山しろと言っている様なものだからだ。要塞都市に関してもそうである、何の根拠もないのにそのような物を作ることなどできない。当たり前の話である。普通ならばそこで話が終わりだったのだが、『ギルド』の強行とある『魔道具』による探索者の引き抜きにより真っ向から対立した。
方や世界政府公認、方や非公認初めから勝負にならないと思われていた。しかし、『W.D.O』は直ぐに手を引き、その後『W.D.O』は関わることはなかった。
2年後、何かが降臨する。
全世界が恐慌する。
『終わり』が始まる