可愛い子でも旅をさせないで
ビヤーキー:旧支配者ハスターの奉仕種族。
「バイアクヘー」、「バイアキー」とも呼ばれる。
体長は2~3m。飛行速度は地球上で時速70km、宇宙空間で光速の1/10。腰にある「フーン器官」を使うことで光速の400倍のスピードによる飛行が可能。
ホムラは、私が怯えているのに気づくと表情を戻して早く進むように言ってきた。
「すみません。怖がらせてしまいまして、1時間程度で到着しますので先に進みましょう」
「…えっ」
許されたぁ、助けた御礼金をもらえないはさっそく友達やーめた!とか言われたら心臓止まってたよ。
ふーと言いながら、汗を拭く。
(おい、なんか寒気を感じたが何があった。)
「うわ!」
急に背後から声がかかりびっくりした。
「どうされましたか?」
「いえ!なんでもないです。今行きます。」
前を歩いてたホムラが後ろを向き尋ねるので慌てて否定して追いかけた。
森を歩きながら小声で隣を歩いていると言うより浮きながら進む天之に話しかける。
「急に出てこないでよ。びっくりするじゃん。」
(すまぬ。一応、余も其方が心配で起きたのだ!)
プンプンという効果音がつきそうな言い方をしている。
「可愛くないわー。ホムラに聞いたけどもっと強い支配者がよかった。」
(それは、すまなかった。だが、身の丈にあった支配者がよいぞ。ちなみに口に出さずとも思うだけで余と会話できるぞ)
「へいへ…はっ?」
(先に言ってよ!めっちゃ口に出してたじゃないか)
(よかったな。人が大勢いる所だったら気狂いあだったな)
(たしかに、ありがとう)
それから天之と暇だからしりとりしながら歩いていたらホムラに声をかけられた。
(ミ=ゴ)
(なんだ。ゴミとは違うのか?)
(違いまーす。宇宙人の一種です。)
「あの、「キキョウ」に到着しました。」
(先程UMAと言っておったから同じでダメだ!)
(残念。UMAは、未確認生命体です。)
(狡いぞ!余にも分かるものにしろ)
「聞こえてますか!「キキョウ」に到着しました。」
「うわっ!びっくりした」
「声を上げて申し訳ありません。しかし、すでに到着しました。」
えっ、周りさっきまでの木々があるだけで街や村なんかないんですけど…
「上をご覧になってください。」
そう言われて上を見上げると
まるで秘密基地かのように木々の所々に家のような物があり木々を繋ぐ橋が見える。
また、太陽の光が木々から溢れており幻想的に見えた。
「…綺麗」
「ありがとうございます。さて、此方の木の中が入り口になっております。そして、階段を上がれば木上都市「キキョウ」でございますわ。」
そして、ホムラの隣にそびえ立つ大木の幹に扉がありその中に入っていくので着いていく。
扉を潜ると中は木の螺旋階段になっていた。
「ハァハァハァ、きっつ」
汗を垂らしながら登る。
(くそぉ、帰宅部がここで仇になるとは。天之なんか良い方法ないの?)
(ふむ。男にして基礎体力あげるしか出来ないな。其方だけであれば顕現しなくても変えれるぞ。チチンパイパイ!)
(なに、そのダサい呪文)
(本来はいらないのだが其方の世界では行っていたので真似てみた。)
(あれっ、体が軽いしなんか視界が高い。)
一度止まって体を見ると髪の毛は同じセミロングだが体が制服がムッチムッチになっている。また、スカートも短くなっていた。
「なんじゃこrysgdfjgj」
「どうされましたか⁉あらま」
ホムラは私の叫び声に驚くが姿が変わっただけということに気づいて慰める。
「女性の姿も美しいですが男性の姿も勇ましいですよ」
居乳美人で筋肉ゴリラに言われてもあまりうれしくなかった。
その乳揉んだろかと思いつつ天之に講義する。
(おい、戻せ)
(うむ、仕方ない。チチンポーイポイ)
その瞬間、体が戻る。
ふぅとため息を尽きホムラに先に進むように促す。
「お騒がせしました。進みましょう」
長く長く続く螺旋階段を登る。
無心で階段を登っていると入ってきた入り口と同じような扉が見えて来る。
「到着しました。私の後を着いてきてください。挙動不審な行動をされますと捕まりますのでお気をつけください。」
それを聞いて焦る。
「えっ、聞いてないんですけど。それにパスポートとか身分証明書持ってない。天之で身分証明書代わりとかなりますか⁉︎」
「ふっふっふ、パスポート?が何か分かりませんが冗談ですよ。私が居ますので身元証明はされます。ただ、支配者の登録はありますので門番に指示に従ってください。」
ホッと一息をつき、ホムラが入っていったので後を続く。
扉を、潜るとログハウスのような内装の部屋に着いた。そして、中には門番が二人とその後ろに天之のように宙に浮いているライオンの頭をした男と布一枚着ている女性がいた。
門番がホムラに近寄り話をしている。
(おわっ!なんか天之みたいに宙に浮いてるのがいるんだけど。)
(あれは、支配者だな。)
(なに⁉天之以外も視えるの。もしかして喋れるの?)
(いや、あやつらとは出来ない。)
(それ、出来るやつもいるの?)
(……余の……)
天之が答えようとするが途中で門番から声がかかり、意識をそちらに向ける。
「申し訳ありませんがこちらに来ていただいて、支配者を登録させていただきます。この「キキョウ」にいる間はこの情報はしっかりと管理させていただきます。しかし、「キキョウ」にいる間に問題があれば開示させますのでご了承ください。」
「はい。分かりました。」
どうするのだろうと戸惑っていると問診票のようなものを書くことと水晶に手を当てるようように言われた。
まず、何を書くんだと紙を見るがミミズ文字が並んでいるようで読めなかった。
えっ、会話成り立ってるから文字も読めるもんじゃないの⁉
なんかロシア語っぽいけど文字あるけどロシア語なんか勉強してないよ!
(なんだ、其方読めないのか?)
(神よ!天之読める?)
(ふむ……余も読めぬ)
(えぇぇぇぇ、天之がこの世界に呼んだんだから読めるでしょ!ってか特典でつけてよ)
(無理だと言っておろう。性別に関することしかできん)
(このカタツムリ!ミミズ!アメフラ神!役立たず!)
筆を止め罵倒していたらホムラが声をかけてきた。
「もしかして、文字が書けないのですか?」
恥ずかしさを捨て答える。ここで言わないとダメだ!
「はい!文字も読めません!」
門番の笑い声が微かに聞こえるがホムラは一瞬止まったがすぐに笑顔で返してくれた。
「気づかなくてすみません。私が書きますのでお答えください。」
「お名前は?」
「御池紬です。こう書きます。」
そう言いながら指で文字を書くとホムラは納得したように書き出した。
「貴方が使う文字は、大神文字を使われるのですね。」
「大神文字?って何ですか?」
「後ほど教えますので先に入国審査票を終わらせますよ。」
そう言われ、言われた問に答えていく。
「では、この水晶に祭器をつけている手をかざしてください。」
そう言われ左手をかざすと水晶が輝き天之の姿が映っていた。
輝きが静まると
「お疲れ様でした。信仰者の登録も終わりましたのでこの木上都市をお楽しみください。」
そして、大きな門を開けてもらい
下から見上げた時はまだ太陽の光が照らしていたがすでに月明りと虫の光だけになっていた。
「あの大きな光が見えますか?」
そう言われあたりを見渡すと確かにおおきな光と複数の小さな光が漏れ出ている所があった。
「あそこが私の家なのでもう少し頑張ってください」
夕方にこちらの世界に飛ばされおそらく朝方に目覚めたためお腹がすいていた。
道中、ホムラに軽食を頂いていたもの一日休んでいないとなると疲れる。
無言で木の幹や橋を渡り歩くこと20分、邸宅の前に着いた。
「到着しました。此方にお入りください。」
やっと、ふかふかのベットに湯船の張ったお風呂に使って寝たい!
そんな願望を思いながら扉を潜ると高い天井のログハウス風の豪邸だった。
凄い
と感嘆の声をあげていると一人の黒髪ポニーテールの女性が走ってきた。
あっ、こけた。痛そうだ。
「うぅ、お嬢様、心配しましたよ!。あまりの遅さに捜索隊を編成するところでした!お嬢様に何かあったらと思うと…」
「今帰ったわ。リン、落ち着きなさい。私は無事よ。此方の方が助けてくれたの。一先ずお客様を客室に案内してあげて。私は。お父様の
所に行くから」
涙目になりながら話す使用人にほむらは淡々と返す。
「わ、分かりました。お客様、お嬢様を助けていただき有難うございます。お部屋に案内します。」
可愛い。
「明日、お礼を致します。今日は、お疲れのようですからお部屋でゆっくり休息をお取りください。御飯も部屋にお持ち致しますわ」
「ありがとうございます。お言葉に甘えさせていただきます。」
答えてから女性の使用人についていった。