異世界ヤオヨロズ
クルルカン:マヤ神話の至高神、創造神。グアテマラ高地の神で、グクマッツ(Gukumatz「羽毛もつ蛇」)とも呼ばれ、アステカでいうケツァルコアトルと同一である。
さっきの化け物とか天之のことについても聞きたいけどどう話を切り出そうか
よし、何も知らない馬鹿ですみませんって前置きして聞こう!
森を歩きながら意を決していると扇ホムラ(オオギホムラ)が声をかけてくる。
「あのぉ、どちらの国の出身なのですか?御池様の服は全く見たことがなく気になってしまったので」
あわわ、助かりましたー
でも申し訳なさそうにしてる。
「えっ!あの、えっと、日本という国から来ました。」
「……日本?聞いたことがありませんね。」
聞いたことがないという言葉に今更ながらショックを受ける。やはり、違う世界に来たようだった。一先ず、この世界に来た経緯を説明した。
ホムラさんは、黙って話を聞いてくれていた。ありえないという言葉は一切彼女の口から出なかった。
正直、隠しても意味はないし何か有れば天之が守ってくれるだろう。
?なんで天之のことこんな信頼してるんだろ。
「……天之御中主神によって此方の世界にやってきたのですか?」
「そうですね。こいつが原因です。今、寝てるのか勾玉に姿が消えたのでわかりませんけど。」
勾玉を見せるように答える。
ホムラさんは、答えを聞いて話始めた。
「貴方は、信仰者ですね。きっと支配者の力によって此方の世界に来たのでしょう。」
「???」
ヴィリーバー?なんだそれは。
ロードって道のことかな?もしくは、某悪魔執事が「YES、My Lord」とか言ってたからご主人か。でも、いろいろおかしい。
そう疑問に思っていると説明してくれた。
「すみません。貴方の元いた場所には存在しなかったのですね。まずこの世界は、ヤオヨロズと言います。この世界には、貴方様が先ほど呼び起こされた天之御中主神のような支配者と呼ばれる存在が居ます。彼らは、祭器と祈があれば呼び起こせます。このように人の手によってこの世界に一時的に表れる存在を言います。また、支配者を呼び起こし使役する存在を信仰者と言います。」
石笛を吹いた後に「いあ いあ はすたあ!(以下、簡略)」で召喚されるビヤーキーと同じか。
NPCにあいつ召喚されて乗馬で乗ろうとしたらファンブルでて、KPに(乗り心地が最悪です。そして、振り落とされます。)と言われたときはビヤーキーを恨んだわ。と苦虫を潰すような顔で納得していた。
そういえば、天之もこの勾玉と祈を言え!って言ってたからこの勾玉が祭器なのかと疑問に思い訪ねる。
「この勾玉がその祭器というものですか?」
「えぇ、系統はあるものの支配者によって祭器は異なります。ただ、ブレスレットなのは同じです。ただし、祈に関しては、一言一句と同じ祈は存在しません。」
「支配者ってどんな力のがいるんですか?天之は、性別転換しかできないって言ってたんだけど」
「基本は、自然を操る力が多いです。まれに転移や多様な武器や使い魔を行使する力などありますが人体に影響させる力は初めてです。」
性別転換って珍しいのかよ!いまいち使い勝手の悪い、ハズレのSSRじゃん!
「先ほどから気になっていたのですが支配者と話が出来るのですか⁉」
彼女は足を止めた。そして、こちらに近寄り杭気味に聞いてきた。
えっ!これ普通じゃなかったの。黙って聞いてくれてたから普通と思うじゃん。
ってか、おっぱいが目の前で揺れてるんですけど。
男の時も良い大胸筋してたけどおっぱいデかい。私のとくらべものにならん。
「ちょ、ちょっと離れてください。胸が近いです。」
「すみません。女性同士とはいえはしたないですわね」
少し離れてくれた。
「これって普通じゃないのですか?」
「もしかしたら、世界に存在するのかもしれませんが私は聞いたことがありませんし私の国にもいません。」
うーん、今後黙っといたがいいのかな。捕まえれて人体実験とか嫌だし、逆に崇められるようなのも嫌だな。と悩んでいると
「きっと他言しない方がいいと思います。支配者については未だ解明できていない所もあります。それに他国では人の手によって作られた支配者を開発してるところもあると聞きます。」
ありがてえ
話したがいいと言われるのも困るけど言わない方針でいたときに背中押されると嬉しい。
「ありがとうございます。助言の通り言わないことにします。えっとおうぎさん」
「……扇です。言いにくければホムラとお呼びください。御池様」
「うわぁ、すみません。とんだ失礼を。私のことも紬と呼んでください。あと、できれば敬語もなくしてもらえると助かります。」
「では、お言葉に甘えて紬と呼ばせて頂きますが口調に関してはこれが普通ですの。紬は、私の命の恩人ですので気軽に喋って頂いて構いませんよ。」
「ありがとうございます!ホムラ。これからよろしくお願いします」
そう言い右手をだす。
この世界の初めての友達だ。歳も近そうだし。
「……?」
あれ?握手って文化ないのかな
スッと恥ずかしくなって手を戻す。
「えっと、握手って言うんですけど。これからよろしくみたいな意味があるんです。すみません。こっちにはなかったって気づかなくて」
ハハハと笑って誤魔化す。
「此方こそ気づかなくてすみません。これからお願いします。」
そう言って右手を差し出してくれたので嬉しくて両手で握りブンブン振った。
「はい!此方こそ!」
「そういえば、ホムラは信仰者じゃないの?」
思ってた疑問を聞いてみた。
するとホムラからは笑顔が消えて私の背中から冷や汗が流れる。
ヤッベ、虎の尾踏んじゃった。