君の名は・・・?
独神とは、日本神話において夫婦の組としてでなく単独で成った神のこと。
ふと目が覚めると目の前にはアシンメトリーな髪形をした男と思わしきものが私の顔を除いていた。
「早く目を覚まして安心した。」
男が声をかけるが私は状況がつかめずゆっくり起き上がりながら周囲を見回す。
周りには神社もなければ日本の街並みのようなものはなかった。ただあたり一面は森のようで巨木が生えならんでいた。そして、最後に男をみる。
分からないことだらけパンクしそう。あー、いっそ記憶喪失の程でいくか。
そうしよう。それで流れに身を任せるしかない。
私は、誰?ここは何処?貴方は誰?と定番の言葉を言おうとした時
「其方の記憶なら余も知っているから教えるぞ」
私は、顔を真っ赤にしながら目の前の男を叩く!
が叩けなかった。
「変態」
ぶっちゃけ色々思ったが声に出たのはその一言だけだった。
そして、目の前の男に触れらないことに気づくと恐怖からか力が抜けて私の目から涙が落ちた。そして地面に崩れてしまった。
「ゔぇっく、うわーん。」
「よしよし、其方には余がいるから泣かないでくれ」
「ここ何処?お前だれ?なんで触れないの?私、死にたくない」
私は、混乱していたため言葉にならないような言葉を発しながら号泣した。
男は、何か言ってはいるものの触れることもなく害を与えることをしなかった。
ひとしきり泣いたら落ち着き頭が冷静になる。
「落ちついたならと其方の質問を教えてくれ。余の答えられる範囲で答える。」
「ありがとう。お前は誰?」
「自己紹介が遅れた。余は、天之御中主神。あの神社の祭神でもあり、其方に声をかけた者でもある。」
「アメノミ、ナカムシ?ムシノカミ?」
「ムシではない。アメノミナカヌシノカミ。独神だ。」
「独神は知ってるけどそんな神様知らない。」
「うむ、余の知名度も無くなったものだなぁ。長い付き合いになるのだからゆっくり知ってくれ。其方の名前も教えてもらっていいか?」
「私は、紬。御池紬。」
「紬よろしく頼む。しかと聞きなさい。ここは地球じゃない、ヤオヨロズ。其方は余の力を使って此方の世界に呼んだ。帰る手段もある。」
「…ヤオヨロズ。いろんな神様が暮らす世界なの?私、死んだの?」
「いや、この世界に神はいないし、余も神ではない。それに、紬は死んではおらぬ。」
「なら、帰して!今すぐに!」
「すまぬ。それはできない。紬を呼んだことで余の力は使いきっているから。力が戻ったら返せるからそれまでこの世界を楽しんでほしい。」
意味が分かんない。勝手に知らない土地に呼ばれて帰れません。とか誘拐犯だよ。
だけど……
私は、俯き言う。
「………わかった」
正直納得なんかしてなかった。いや、出来るわけがない。だけど、現状どうにかできる力なんか私にはないし彼に頼るほかない。それに帰りたいと言う気持ちもあるけれど少しだけ異世界転生という状況にワクワクしていた。もしかしたら、この神は最強でそのお供とか私にチート能力が手に入ったりとかなのかなと。そして、帰れるという言葉に安堵していた。
ただ、誘拐犯ならぬ誘拐神及び愉快神のような気がするけど。
「分かった。この世界を楽しませてよね。天之御中主神」
「もちろんだ。余のことは天之と呼びやすいように呼んでくれ。これから頼む。」