八咫烏の案内
TRPGとは、ファンタジー世界で冒険者になってみたり、ホラー映画の登場人物になってみたり、あの人気作品の世界に入ってみたり。
あなたが望むどんな物語でも一緒に作ることできるゲーム。それがテーブルトークRPGです。
キンコンカーンコーン
「では、皆さん気をつけて帰りなさい。」
帰りのHRが終わり周囲も動き出す。
「部活行こうぜ」
私は、御池紬。
高校二年生の帰宅部所属。将来の夢も特になく現状に憂いていた。
今日もただただ過ごして一日が終わったなー。そろそろ帰るか。
そう思い席を立ち、荷物を取ると後ろから声がかかる。
「紬〜今日は、本屋寄って新しいTRPGのルールブック買いに行こうぜ」
声をかけてきた男は、私の幼馴染であり卓友の針谷茂雄だった。2枚目ではないがノリが良くTRPGに置いてはキチガイRPをしてくる。
「今回は、遠慮するわ。新しいTRPGするなら独創的なのをやりたいからさ。例えば、俺屍TRPGとか」
「どうやんだよ、それ。構想決まってるなら教えてろよ?」
「まず、性別と寿命を秘匿ダイスで決定して育成(戦闘)フェイズと結婚フェイズを行う。育成フェイズでは、技の巻物、武器が手に入るのと稀にボス戦闘が発生する。結婚フェイズは、神をランダムで決定してRPを行ってもらう。それで子供が産まれる。んで、RPによってAPPと寿命のステータスや家出ポイントが変わる。最後に遺言RPを行う。そんなところかなー。まだザックリとだからやるならもっと詰めないとだな」
「楽そうだけどGMは、処理が大変そうだ。出来上がったら人数集めてやろうぜ。気をつけて帰れよ」
そう言って茂雄は、教室から出ていった。
私も荷物を背負い教室を出て行く。
帰り道の途中、歩道を歩いていると前方の民家の前で2、3匹の烏がゴミを漁っていた。
カラスを刺激しないように避けて抜けようとしたとき、烏がこちらを向き威嚇しだした。
えぇ、なんもしてないよ。
一先ず。ダッシュで抜けよう。
ダッシュで烏たちを追い越すと一匹の烏が私の頭の上を飛んでいく。
うわっ、近い。早くここから去ろう。
そのまま走るが幾度となく烏が私の近くを飛び回る。
まじ、なんかしたっけ。それとも子育て中?
分からん。一先ず、コンビニか建物入ろう。この辺なんかあったっけ。
思考を巡らせながら走る。突き当りにぶつかってしまい左折すると神社が見えてきた。
まだ烏追いかけてくるのか。とりあえず、あそこの神社に行って考えよう。
神社まで走り、階段を上がる。
はぁはぁ、
流石に走った後の階段はつらい。流石に烏も居なくなった。
ほんとなんかしたかな。というかこんな所に神社なんかあったっけ?
疑問に思いあたりを見回す。
階段と鳥居は普通だったけど神社はなんか古いな。
それに無人みたいだ。一先ず、烏追い払えたし賽銭だけして帰ろうか。
お財布から5円玉を取り出す。
チヤリン
お金入れたし、まず二礼だな。
ぺこり、ぺこり
次に二拍手
パンパン
烏に今後追われませんように
よし、最後に一礼
ぺこり
帰るか。
キィん
突如耳鳴りと共に頭痛が走る。突然の痛みに頭を抑える。
だが痛みはすぐに引いていく。
なんだったんだろと考えていると脳に何かが響いた。
(…やっと時がきた。)
微かに話し声が聞こえる。
(其方の願いは、烏に追いかけられないことで良いのか)
なんかきこえた気がする?気のせいか帰るか
(もう一度聞くが其方の願いは馬に追いかけらないことで良いのか?)
今度は、はっきり聞こえた。足を止めもう一度拝殿を見る。
なに?え、私とうとうイマジナリ―フレンドならぬイマジナリ―ゴットでも作っちゃったかな
病院で診てもらえるかな。中二病ですって言われたら立ち直れない。
(イマジナリ―?とはなんだ?)
顔が青ざめてくる。
やばいやばい。とうとう脳内の会話できるようになったわ。
こわっ、逃げよ。
そう思うが足が震えて動かない。
落ち着け。どうでもいいこと考えろ紬!そして、冷静になるんだ。
(忙しいな。余は、其方の願いを叶えたいだけだ)
願い……胡散臭いな。でも、それで帰れるなら……
私は、楽して稼ぎたいから競馬が当たるようにしてください。
(ふむ、残念ながら余の力は、性質を変えることしかできん)
まぁ、無理だよねえ。出来ると思ってなかったわ。ってか、地味に凄いことできるな!
でもそれって、烏追い払う願いも叶えらんねえじゃん。くそ野郎!
頑張れ私の足!お前が私のエースなんだ。燃え上がれ!
と鼓舞しながらなんとか足を動かし鳥居を潜る。すると突如足元が崩れる。何かに捕まろうとするものそれも崩れてしまい落ちていく。
「うわぁ、はぁ?はぁああああ……まだ死にたくない。ふざけんなよぉぉぉぉ」
落ちる寸前、同じくらいの身長で平安装束を着た男をみたような気がしたがあれが声の……
私の意識も身体も落ちていった。
落ちながら男が私の身体をお姫様抱きをする。
「騙すようで悪かったが余はこの時を待っていた。さぁ、行こう。」
男が呟くがわたしには聞こえていなかった。