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第3話 魔法が使えて不老不死?




「では拓海さん、次のお願いを引き受けてもらってもいいですか?」

「え?次、ですか?」

「はい。………ダメ、ですか?」


な、涙目でお願いしてくる女性には逆らえません。

……ま、まあ、お願い事はいくつか引き受けてほしいって言っていたし、お願いごとの二つや三つドンと来い!


「いえ、大丈夫です!次のお願い事は何ですか?」

「ありがとうございます、拓海さん!」


女神のペルセフォネ様は、俺の手を両手で握りしめて喜んでくれる。

ペルセフォネ様の笑顔が眩しく、やわらかい手の感触が俺を天国へ誘いそうだ……。



「では、次のお願いを説明します。

次は拓海さんに、日本の戦国時代と呼ばれる時代へ行ってもらいます」


「戦国時代ですか?!」


俺は驚いた。

次は、時間をさかのぼって戦国時代だ。


「そうです。そこで、拠点を作って子供たちを救ってほしいのです」


子供たちを救う、ですか。

それと、拠点って?


「あの、拠点って何ですか?

それに、救ってほしい子供たちとは……」

「この件は、日本にいる神様たちからのお願いなのです。

ですので、日本に拠点を構えて、こちらが指定する子供たちを保護してほしいそうです。特に、戦国時代と呼ばれる頃から明治になるまでの間が一番多いのです」


子供を救ってほしいというのは分かったけど、戦国時代から明治にかけて?

もしかして、今回のお願いは前回よりさらに長期間になるのか?


「あの女神様?」

「はい、何ですか?拓海さん」

「戦国時代から明治までって、期間が長すぎませんか?

俺、そんなに生きていられませんよ?」


そう、人の寿命には限りがある。

俺の今の年齢は、女神様に若返らせてもらったとはいえ実年齢は五十近い。

こんなおっさんが、どんなに長く生きたとしてもあと五十年が良いところだろう。


「もちろん分かっています。

ですから、今回も私がいろいろと拓海さんに手助けをします。

拓海さん、まずはこちらを受け取ってください」


そう言って、ペルセフォネ様が俺に渡してきたのは黒いA4サイズのタブレットだ。

厚さは、ファッション雑誌ほどの薄さで持ちやすい。


「……これは?」

「画面に手のひらを当てて、『ステータス』と言ってみてください」


笑顔のペルセフォネ様の指示通りに、タブレットの何も表示していない画面に手のひらを当てて言ってみた。


「ステータス」


すると、画面が光りタブレットが起動する。

そこに表示されていたのは、俺が前の世界でよく見ていた自分のステータス。


 名前 石川 拓海

 年齢 48歳

 職業 元勇者 元料理人

 スキル 異世界言語 鑑定 アイテムボックス

     支援魔法 回復魔法 土魔法 錬金術 箱庭(U)


前の世界は、レベルをはじめ、体力や魔力などの数字表示はなかったからスキルの確認や身分証明のために使っていたな。

……それにしても、少ないスキルだ。


「ちゃんと、表示されたようですね?

これから行く日本には、魔素が極わずかしかありませんからこのタブレットを使って私からの神託を表示します。

救ってほしい子供たちの情報も、ここに表示されますから参考にしてください」


「分かりました」


「それと、拓海さん。

これは大事なことですから、よく聞いてください」

「は、はい」


ペルセフォネ様が、真剣な表情で俺を見る。

それほど大事なことなのだろうか?


「拓海さんは、これから行く日本でも魔法が使えると思いますが、決してむやみやたらと使わないでください」

「え?」

「使うにしても、人目のないときに使用することをお勧めします。

もし、誰かに目撃「ちょ、ちょっと待ってください!」…?」


ペルセフォネ様は何て言った?

魔法が使える?

日本で?


「確か女神様は、日本には極わずかしか魔素が無いと仰いました。

それなのに、魔法が使えるのですか?」

「はい、使えます。

が、今回は拓海さんだから使えるのであって、他の人では使うことはできません」


??どういうこと?


「あの、よく分からないのですが……」

「拓海さんのスキルに、『箱庭』というのがありますね?」

「はい、ユニークスキルという表示になっていますが……」


俺のスキル表示で、Uと付いているのはユニークという意味だ。

通常スキルとは違い、ユニークスキルは生まれ持ったスキルで習得することができないらしい。


「『箱庭』は、その名の通り箱庭世界を持つということ。拓海さんは、その箱庭世界に前の世界でいろいろな物を投入して育てていましたね?

その投入した物の中に、『精霊樹』の種が混ざっていました」


……そういえば、エルフの里でその種を拾ったな。

投入したときは何の種か分からなかったけど、後で『精霊樹』が育っていた時はびっくりした記憶がある。


「その『精霊樹』が何か……」

「『精霊樹』は魔素を生み出す素です。魔素は魔力に変換され魔法が使えます。

スキル『箱庭』は、拓海さんと繋がっていますから『箱庭』の中で発生した魔素は、拓海さんに魔力を提供し魔法が使えるのです」


……それで、俺が日本で魔法が使えるということか。


「そして、今回のお願いに際して必要になるスキルを与えます。

それは、『空間魔法』と『不死』のスキルです」

「空間魔法と、不死……」


空間魔法って、アイテムボックスと被ってないか?

それに不死って何?不老不死の不死か?


「まず『空間魔法』ですが、これがあれば箱庭との行き来が可能になります。

箱庭で育てたものを取り出すことができなくて、残念がっていたでしょ?」

「……見てらっしゃったんですか?

いえ、それよりも『不死』とは?」


「今回のお願いは長期に亘ります。

戦国時代から明治にかけてですから、約三百年といったところですか?

そんな年月を生きてもらうには、『不死』のスキルを持っていなければなりません。

それと、『不老』のスキルを与えないのは年を取らないと変に思われるのと、若返りは回復魔法でできるからですね」


確かに、いつまでも見た目が変わらなかったら不審がられるよな。

しかし、回復魔法って若返りもできるのか……。






今回も読んでくれてありがとうございます。

次回もよろしくお願いします。

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