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女神さまの願いを引き受けたおじさん  作者: 光晴さん


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第24話 公家屋敷の奥にあるもの




公家屋敷に入りると、すぐに眠っている人に出会う。

この人は、女中だろうか?その場に、崩れ落ちて眠っていた。

その人を無視して、そのまま目的の部屋まで進み障子を開ける。


(いた。猿轡に縄で縛られているようだけど目立った傷は無いようだ)


俺はすぐに『箱庭』から、人型ゴーレムを呼び出すと猿轡と縄を外しゴーレムに『箱庭』の中へ連れて行ってもらう。

これで、一人保護完了。


次に、隣の部屋に移動し障子を開けると、そこにも猿轡に縄で縛られた女の子がいた。さらに、その先に例の公家と商人のおっさん二人が眠っている。

ここでも同じように、『箱庭』から人型ゴーレムを呼び出し、俺が猿轡と縄を外す。


あとは、ゴーレムに『箱庭』へ運んでもらうだけだ。


(……これで、目的の保護は完了したけどこの屋敷には何か他にもありそうだ)


そう思って、さらに屋敷内を探索するため移動を開始する。



『強制睡眠』魔法は、六時間ぐらいは持つがその間に誰かがこの屋敷に訪ねてこないとは限らないので慎重に急いで探索を続ける。


そして、屋敷の奥の部屋に木で作られた牢屋のある部屋を見つけた。

中を覗くと、女中の恰好をした女性が一人倒れて眠っている。倒れている姿から、座っていたところを眠気に襲われ寝てしまったのだろう。


こんな場所で捕まっているところを見ると、助けたくなるな。

俺は、この女中も助けるため『箱庭』から人型ゴーレムを呼び、牢の鍵を『解錠アンロック』の魔法で開けると中の女中をゴーレムに助け出してもらう。


人型ゴーレムが『箱庭』に入る所を見送ると、さらに探索を続ける。

だが、探索を続けても何も見つけることはできず引き上げることにした。



公家屋敷の庭に出ると、『認識疎外』と『光学迷彩』の魔法をかけ箒型飛行魔道具に跨り空へ飛びあがる。


「あとは、桜花神社に帰るだけだが……ん?」


京の都の上空で漂っていると、十人ほどの足軽たちが二人の男たちを追いかけている光景を目撃する。

何だろうと、逃げる二人を追いかけるとある屋敷に入っていく。


そこは、先ほどまで俺が入り込んでいた公家屋敷だ。

中の人たちはまだ寝ているはず。

足軽兵たちは、公家屋敷の門の前で立ち止まり入っていくことに躊躇していた。


(これって、身分の違いで入れないのかな?)


俺がそう予想していると、馬に乗った偉そうな武士が足軽兵たちに合流する。

そして、足軽兵たちに事情を聴き、何やら怒鳴り始めた。

すると、足軽兵たちは屋敷の中へ突撃していく。


(あ~、大丈夫なのか?

あとで、何やら問題にならなければいいがな……)


そんな心配事をしていると、俺の側を矢が通り過ぎた。


(……何っ!)


辺りを見回すと、少し離れた大きな屋敷の庭にいる一人の武士がこちらを睨みながら弓を構えていた。

まさかと思っていると、もう一度、今度はあきらかに俺を狙って弓を引き矢で狙っている。


(俺が、見えている?!)


俺が逃げようとすると、その武士は矢を俺に向けて放った。

だが、俺が動いたのが幸いしたのか矢はそれ、俺は傷つくことはなかった。


(まずい、俺を認識しているなら早くここから逃げないとな……)


俺はすぐに箒型飛行魔道具に魔力を通すと、空を飛んで京の都を離れる。

幸い、あの武士には認識されたようだが追いかけられることはなかった。




▽   ▽    ▽




「信長様、いかがいたしました?

空に向けて矢を射るとは……」

「フム、何やら気になったのでな。

何かがいるような気配がしたのだが、気のせいだったようだな……」


箒に乗り空を飛んでいた拓海を狙ったのは、信長だったようだ。

周りの者たちは、信長の行動を不審に思うもいつものことだと気にすることはなかったらしい。


そのため、京の都中を探すこともなく放っておかれた。


「殿、義昭様がお呼びとのことです。すぐに本圀寺へ……」

「分かった、すぐに出向く」


信長は、もう一度空を見上げて見渡した後屋敷の中へと移動していった。




▽   ▽    ▽




「あ~、危なかった……」


認識疎外に光学迷彩の魔法までかけているにもかかわらず、あの武士には俺の居場所が分かっているみたいだった。

もしかしたら、歴戦の猛者な武士だったのかもな……。


とにかく、京の都の上空は通り過ぎたんだ。

このまま、美作の国にある桜花神社まで飛んで帰るのみ。


眼下に広がる景色を見ながら、飛んでいるとたくさんの足軽たちを発見する。

みんなでまとまって移動しているところを見ると、これから戦へ向かうのだろうか?


「ここは、播磨国だったか?

こんなところで、今の時期に戦なんてあったかな……」


少し気にはなったが、巻き込まれるのは嫌なのでこのままスルーして飛んで行った。



そして、ようやく桜花神社の側にある森に到着。

だが、このまま帰るわけにはいかないので森の中で『箱庭』への扉を出現させ中へ入る。今日保護した、子供たちと女中さんを起こさないとな……。



『箱庭』の中にあるログハウスの中にある寝室には、三つのベッドが並び、そこにそれぞれ救出した女の子二人と女中姿の女性が寝ている。

すでに睡眠魔法は解除してあるので、もうすぐ目を覚ますだろう……。







今回も読んでくれてありがとうございます。

次回もよろしくお願いします。


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