序章:教団の女神現る
「いかん、これはいかん、命の危機」
一人の未成年と思われる男が鬱蒼とした森の中を一直線に進んでいる。硬く細い枝葉が頬と手足を打ち付けても、彼は意に介さず走りながら手元のスマートフォンをいじっている。
日本の高等学校の制服を想像していただけば、まさにその通りの格好をしているこの男子は、あちこち制服が破け、背中が見えており、何か獣の爪痕を思わせる赤い血の筋が浮かび上がっている。傷はさほど深くないようだが、通りすぎざまにしならせた枝葉が傷口にあたる度に男子は苦痛の表情を浮かべる。
「なんなんだよあいつ、見たことねぇよ、しかも電波ねぇし」
少々裏返った声でそう呟きながら後ろを振り返る。
頭上を覆う木々からは日光が僅かばかり差し込んでいるが、森の奥は光が届かず暗い海のようである。
彼は未だ抜け出せない森の中で何かから逃げているのだ。
後ろを向いた頭を正面に戻すとその先もまた暗い森であり、それどころか木々の密度はだんだん深まってると彼には感じられた。
しばらく走るうちに、追っていたと思われる「何か」の気配がなくなったと見るや、やがて彼の息が上がり、脚に疲れが出始めた。
「とりあえず逃げ切ったか…」
束の間の安心感にその場で腰を落とす。
心臓のバクバクという音がいつもより大きく聞こえてくる、これ程の静寂にあって息を大きくしようものならたちまち奴に見つかってしまうかも知れない。そう思うとなるべくこらえるようにして呼吸を整えた。
やがて心肺が落ち着き、周りを見る余裕が出ると水の流れる音が聞こえてきた。
「川?」
男子が音の方に向かうと川に出た、歩いて渡れそうな深さと流量で、川の両岸は背の低い草があるだけで、さんざん走ってきた森のような邪魔になりそうな凸凹が見当たらなかった。それどころか川の下流は向こうまで見渡すことができ、米粒程の大きさではあるが建物が見えた。
「助かった、あそこなら電波入るかもしれない、店長にバイトの遅刻知らせないと」
見知らぬ森をさまよってから初めて感じた人の気配に、疲れきった体は活力を取り戻し、あと一頑張りと走り出した。
しばらく走り続けると建物は対岸の先にあるようだったので、川を横切ろうと川に足を入れた。その直後、突然森の奥から低い唸り声が聞こえてきた。
内臓を直接震わすような音に振り返ると、自動車ほどの大きな熊のような、手足の爪が青く、身体中が葉に被われた四足歩行の獣が器用に木を避けながら森の奥から走って来ていた。
それはこちらに向かって一気に距離をつめてきている。
川の中程で一瞬立ちすくんだ彼は、獣の体表から生えた葉の間から覗く赤いギョロっとした目玉に睨まれて我にかえった。
「アイツだ」
急いで川を渡りきると、建物目指して全力で走り始めた。
建物まではざっと200メートルほどだろうか、改めて見てみると、村かと思われたその場所には4階建て程の高さの塔が一本だけで、家屋と呼べるものは塔意外一軒もなかった。廃屋かと思ったが、塔は日に当たって明るい灰色をしており、苔むしてないあたり誰かがいる可能性は充分あると思った。いなくても逃げ込めばとりあえず獣から逃げられる。
振り返れば獣が飛沫をあげながら、まるで川など水たまり同然であるかのように森の時と同じ調子で突進してくる。
「ここまで来たらもう少し…」
彼と獣との生死をかけたレースが始まった。
地形が平らなことも幸いしてか、こちらの足が速まり獣のスピードがそこまで早くないように思われた。
森ほどの差こそ無いものの、速さではどうしても獣の方に軍配が上がる。どんなに全力で走ってもじりじりと詰め寄られていく。
獣はでかい図体の癖に足音は静かで、体表の葉同士が鳴らすカサカサという音の方がよく聞こえるほどだ。それでいて人の全速力を越えるのだから森で出くわしたときに命拾いしたのは幸運だったと言う他ない。
建物まではもう少し、10秒そこらで飛び込めそうだった。
そう考えている間も獣は距離を詰め、葉の音どころか息づかいまで聞こえてきた。
「すげえ、全然疲れねぇ…これが火事場の力ってやつか、ハハハ」
何故か笑いだしてしまう、後ろは振り返らない、人が密着寸前で感じるあの触感を背中で感じるためだ。
人間不思議なもので、さんざん森を抜け、川沿いを走り続け、もう一時間は走ったのだろうか?相当の体力を消耗したかに思われたが、生命の危機にあれば何処からか力が湧いてくるようで、全身の体が軽く感じるのだ。地を蹴る一歩一歩ごとに宙に浮いていくようだった。
その宙に浮いた感覚も一瞬で地面に叩きつけられた。
追いついた獣が背に飛びついたのだ。そのまま潰されるような形で彼は地面に腹から着地、衝撃が上下から襲う。
「がはっ!」
玄関まであと数歩の所まで来ていた。ここまで来て獣は容赦なく片方の前足で彼を押さえつけながら口元を首元に近づける。
頬を地面につけるようにして倒された彼にはもう体力が残されていない、彼の目の前にあの青い大爪が下ろされ、首筋にぬるい涎が垂れるのを感じ、視界が影を落としたように暗くなった。
(俺はこのまま死ぬのか…異世界ってハードモードだな…)
手荷物は最初の遭遇でスマートフォン以外全て放ってきたし、そのスマートフォンも握っていた手から離れて転がっている。当然ながら手を伸ばして取れそうにない、それにそんなもの使って何ができるというのか。
生臭い息が直に吹きかけられる、おそらく首をひと噛みして息の根を絶ってから内蔵をほじくるように食べるのだろう。
男子は目を閉じ、なるべくリアルな想像をしないようにして抵抗を諦めることにした。
(お願いだから痛みを感じる前に殺してくれよ…)
目を閉じる時、大爪の手元に金色の装飾がついているのを見た。
(おいおい、こいつ飼い主いるのかよ…しっかり管理しとけよな……)
などと考えながら後のことを獣に任せることにした。
突然、スマートフォンからアラームが鳴った。アルバイトに出るために設定したものだった。いつもと違うシフトにさせられたので忘れないように設定しておいたのだ。
それに気を取られたらしく、上にかぶさっていた体重が一気に緩んだのを感じた。
(今がチャンスだ)
最後の好機、彼は最後の力を振りしぼり、獣から抜け出した。とっさに顔面めがけて蹴りを入れると怯んで一歩下がった。
その隙に一気に塔へ駆け込んだ。
「助かった…店長、恩に着ます…」
店長の笑顔を思い出して涙が溢れた。
獣が悔しそうに入り口に頭を突っ込むが、足が邪魔でそれ以上塔の内部へ入ることはできなかった。それでもなおこちらの様子を伺っている、スマートフォンが持ち物だと理解してか、取りに来るまでそばでずっと待っているようだ。
「いつまでも待ってればいいさ、もうスマホには用がないからな」
ホッと一息ついて壁に背をもたれると獣はすぐに横を向いて去っていってしまった。
(結構すぐに諦めたな…)
塔には入り口の他、日光を取り入れる小窓と思しき穴が等間隔で空いていた。
彼は立ち上がって窓から獣の様子を眺めることにした。
獣は数歩進んでは伏せ、何かをじっと伺っている。完全に地面に伏せた獣は葉が擬態に役立ってただの盛り上がった土にしか見えなかった。
(なるほど、これじゃ近くにいてもわからなかったわけだ)
などと感心しながら獣の視線の先を眺めた。
するとその先に一人の人影が塔に近づいてきていた。しかも女だった。
これはまずい、奴は早々に見切りをつけたのではなく、新しい獲物を察知したのだ。
なぜこんな何もないところに一人で来るのか?俺が入る瞬間を見ていなかったのか?疑問は尽きなかったが何がともあれ彼女の身に迫った危機を知らせなくてはならない。
しかし、彼女の後ろもまた森だった、狙いをつけられ追いかけられたことを思い出すととてもじゃないが逃げ切れそうにない。
つまりは、彼女を先回りして待ち伏せている獣から注意をそらし、塔に引き入れなくてはならない。
(考えろ…まずはジェスチャーだ、正面向いた状態なら奴も近づくまでは襲ってこないだろう)
すぐに別の入口から彼女に向かって手を振った。
女はこちらに気がついたようで、歩みを速めてこちらに向かってくる。塔のすぐ横で潜んでいる死の気配に気がついていない。
真っ白な衣装は日にあたってかなり目立っている。
「止まれ!危ない!」
大声で女に叫び、背中の無残な様子を見せた、そして獣(彼女にとっては草の生えた盛り土)を指さして
そこに獣がいると知らせた。
彼女は背中の傷を見たのか、口許に手を当てて驚いている。そして歩みを止めると思いきや、こっちに駆け寄ってきた。
「なんでだよ!もしかして言葉通じない!?」
歩みを遅らせるつもりが何故か裏目に出てしまった。獣はというと、ゆっくりと少しずつ体勢を起こし始めた。
こうなったらもう塔に入れるしか無い、しかしどうやって?頭をフル回転させて方法を探る。
彼女とこちらの距離はもう50メートルもないほどだ。
(仕方ない!もうこれしか!)
塔内の手頃な石を見つけると、それを持って塔の外に出た、そして彼は獣に向かって石を投げつけた。
「店長、助けてもらってありがとうございました!そしてバイトは遅刻確定です!」
死を決意して獣を引きつけたまま塔の外、彼女の反対方向へと走り出した。
そのまま運が良ければさっき自分が入った別の入口に戻ることができる、その見込は限りなく薄いが。
「こい化け物!お前の獲物は俺だろ!」
生前言ってみたかった言葉を今ここで達成しながら後ろを振り返る、獣はこちらに向かって擬態を解き、聞いたこともないような怒り狂った鳴き声で追ってきた。足音のほうが大きい、もはや隠密をかなぐり捨てた獣の全力疾走である、先程の倍ほぼの速さだろうか、あっという間に距離を詰められる。
しかも今回は条件も悪い、なにせ弧を描くようにして塔に戻らねばならない。つまり、追跡される側はインコースを取られるのだ、しかも先程よりも速い相手に。
案の定獣は最短距離で走ってきた、塔までは折返しといったところだが、もはや獣と対面したと言ってもいい。
獣は大爪で襲いかかる、正面を取られているので間違いなく当たる位置だった。とっさに右腕で身を庇った。
何か硬いものがあたった感触がした、袖がぱっくりと爪の軌道に沿って切れ込み、彼の肘から手首にかけて5筋の爪痕がくっきりと骨が露出するまで刻まれた。硬いものがあたった感触は大爪が骨に直接あたった感触だったのだろう、彼はその傷口を見る余裕もなくとっさに獣を避けて塔に走り出した。
「痛ってぇ!痛ってえ!」
獣は先程の引っ掻きで仕留めるつもりだったのか、着地した後転んでしまった。それでもすぐに切り返してこちらに全速で襲いくる。
彼女はというと先程の間に意図を理解したらしく、塔の中にすでに入っていた。そしてこちらのことを心配そうに見つめている様子がみえた。
「行けるか?」
自身の傷に問いかけながら最後の一直線、先程受けた右腕がブラブラして走りにくい、彼はようやく傷の深さを把握した。
「まあ目標達成したし、意味のある死になったかもな」
この出血ではおそらく塔に逃げ込んでも失血死してしまうだろう。立ち止まればそれこそ奴の胃袋行きで、いずれにしても死が待っている。
そう思うと、今まで体を支配していた使命感が抜け、立ち止まりそうになった。
「諦めてはだめ!もう少しです!」
塔から声が聞こえてきた、彼女が入り口から出て手を差し伸べながら叫んだ声だった。
彼女はもう片方の手を重ねると何やらつぶやき始めた
「主よ、壁を以てあらゆる災禍から我々を護り給へ」
彼女のつぶやきに呼応するかのように胸元の石が発光し、彼女自身もうっすら光を纏ったかに見えた。
そして、彼女は目でこちらにそのまま走り続けろと言わんばかりに強い眼差しで頷いた。
”あとは任せろ”と。
「急いで!」
彼女の声に背中を押されるように本当に最後の全力疾走。地面を踏みしめる足も感覚が戻り、爪で地面をけるかのようにしっかりと走り続けた。
そして、先程地面に転がったスマートフォンを踏んづけて、転んでしまった。
足がよろけて前のめりに倒れてしまった。
(うっそだろ…)
獣がそれを見逃すわけもなく、顎を大きく開けて向かってくる。
動かない右腕の代わりに無理に左手から地面についたので変な方向に捻ってしまったようだ、3秒と経たないうちに絶命するだろう。
俺は立ち上がるのをやめた。
獣は更に速度を上げ、止めを刺さんと襲いかかるかに思われた。しかしそうはならなかった。
彼女は更にこちらに向かって駆け出しながら叫んだ
「障壁!六点光甲!」
瞬間、彼女は立ち止まると、獣に向けて両手を重ねるように前に突き出した。
すると、その獣の鼻っ先に光の壁とでも言うのか、六角形の障壁が一瞬のうちに出来上がって、獣が壁に激突した。
悲痛な叫びを上げ、もんどり打って倒れた。ぶつかる瞬間まで眺められたほど透明なガラス質の障壁はヒビ一つ入らず空中に留まっている。
「魔法…?」
今までゲームや映画でしか見たことがなかった魔法を実際に目の辺りにするとは思わなかった、彼はその始終をみて立ち上がるのを忘れていた。
獣がゆっくりと体勢を立て直して、衝撃でぐるぐる回ったであろう頭を振るっている。
彼は急いで立ち上がると、塔の中に逃げ込むことに成功した。
「助かった…」
俺は今度こそ安堵感に包まれた、彼女が魔法を使える人間で助かった、これでこそ異世界だ、そう思ったのもつかの間の余裕。すぐに意識が朦朧とする。出血が多すぎたのだ。
「~~~~~!~~~!」
栗色の髪に金色の瞳の同い年くらいだろうか?そんな美しくも優しさに満ちた雰囲気の彼女は必死に俺の手をとって何か話しかけている。
そして、彼女は俺の左手を胸に当てた。
(彼女に看取られて死ぬのも悪くはないな)
「~~で」
彼女はなおも声をかけ続ける、おれは不思議と自分の死に対して納得どころか満足感を得ていた。死ぬ前に一人の他人を身を挺して救ったのだから。
ゆっくりと目を閉じて死が訪れるのを待つ、左手に布一枚を隔てて彼女のぬくもりが伝わってくる。多感な年頃の男子にとっておそらく最高の褒美なのではないか?そう思いながら下半身に低下してゆく体温を感じた。死はすぐそこだ、家族や友人、そしてバイト先の仲間。走馬灯とはこのことか、幼少からの記憶がスライドショーのように流れていく。
「~んで~ださい!」
それでも彼女はまだ声をかける。同じ言葉なのだろう、だんだん聞き取れるようになってはいるが、おそらく無駄だろう。
「揉んで下さい!」
聞き取れたと思ったら、ただの思春期男子の妄想だった。死に際の人間にそんな事言うわけがないだろう。
「早く揉むのです!」
おそらく、神とやらが最後の煩悩を叶えてくださるということだろうか?まあどっちみち死ぬのだし、甘えてみてもよかろう、そう思って死に際の僅かな生命を賭して左手を動かした。
ゆっくりとその豊満で柔らかな感触とぬくもりを堪能し、そして俺の意識は暗闇に落ちていった。
この男の名は智弁一茶、クラスからは弁と茶からベンティと呼ばれている高校生である。この日、バイト先でシフトの変更があり、勤務先へ急いでいる途中軽トラにぶつかってしまい、気が付けば見知らぬ森の中、例の獣に追われ、看取った彼女を救い、二度目と言っても良いだろう死を迎えたのだった。
享年17才、その短いながらも、最後の瞬間だけものすごく濃かった人生に幕を下ろしたのだった。
しかし何ということだろうか、神は彼に3度目の生を与えたのである。正確には彼は死んでいなかった。
聞き慣れたスマートフォンのアラームが遠くで鳴った、しばらくすると止んでまた音が鳴る。
「う~ん……」
「起きましたか?」
「ああ………」
彼、改めベンティは二度寝から覚めたようにはっとして上体を起こした。
「え!?」
体を見回すと右手が動く、しかも傷が全く無い、それどころか全身どこも異常を感じないのだ。
「えっえっ?」
何が起こったかわからない、塔の外に転げたスマートフォンがアラームを鳴らしている。
ベンティは塔の外を注意深く見た。しかし何処にも先程の獣がいない。
「もう大丈夫だと思います、さっきの魔獣は逃げていきました」
彼女はそう言って微笑みかける。
「そっか…」
そう言ってスマートフォンを拾ってアラームを止めた。5分に設定したスヌーズが作動していたようだった。
「そっかじゃねーよ!え、何?何が起きたの?」
「私の胸を揉んだからです」
「あっ!すいません!俺なにかしちゃいましたか?意識があやふやで(大嘘)」
そんなつもりは本当になかったといえばなかったので申し訳無いと謝罪した。
「いえ、それが私のできることですから」
どうにも彼女と話が噛み合わないことが気になった、普通は嫌がるものだろうに嫌がるどころかそれが使命であるかのような口ぶりだ。
「それってどういうことです?」
「ご存知無いんですね」
「ええ」
そのとおりである。
「私はブーバス教の神子、シー・コリエットです神子と言ってもまだ修行中の身ですが」
「はい」
確かに名前は大事だ、しかし重要なことがある、しかしそれを直接口に出して質問するのはものすごく憚られる思いがある。
「そうじゃなくて、ですね」
「はい?」
「そのー、なんといいましょうか、魔法で治して頂いたと」
「魔法?」
「ええ、この体ですよ、助けていただいて本当に感謝しています」
「ああ!」
ようやく通じたのか、何か合点がいったようだ。
「あなたはブーバス教徒ではなかったのですね、新手の新興宗教の方でしょうか?その服も礼服ですか?」
通じてなどいなかったようだ。
「ええと、私はどちらかといえば無宗教ですかね」
「まあ!信仰する神がいないなんて、そんな宗教もあったのですね」
「なので、ブーバス教について何も知らないんです」
頼む、おそらく想像していることはあっているが、信じたくない。
「仕方ないです、なにせ私達の宗教も歴史が浅いのですから」
では手短に説明いたしましょうとブーバス教について説明を受けた。
長かったので更に手短にするとこうだ
教祖が乳を揉ませて苦しむ民を救った伝説を元に信者が集まった新興宗教で、彼女はその教祖の直系の子孫に当たる。そして、次の教祖となるべく修行をしているということだった。
嘘だと思ったが、本物を体験してしまっては信じるしか無い。だって実際にあれほどの痛みが無くなったのだから。
一茶は、本当に異世界に来てしまったことを体感した。そして彼女の熱烈な勧誘によって、入信した。