表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/47

第二話 秘宝の盗難。

「色々と準備がある故、麿は忙しい」


 そう言うと藤原成々は、区画長を務めるヘルティクス9965区画内にあるテントのひとつに潜り込んでしまう。


「さて、なんだかんだと暇でしょう? 私が迷宮図書館内を案内してあげるわ」


「沙羅、俺は眠いから一緒に行かないぞ」


「はいはい、どうぞご勝手に……ったく! ここに来てからホント何もしなくなったわね。怠け者って言葉が、よ~くお似合いだわ、クソ親父!」


「……お、おお、それじゃ頼む」


「ま、とにかく、おじさん助かるよ。何せ、ここには絶版となった本や発禁となった貴重な本が多々、存在するっぽいし、それらを探してみたかったんだ」


「へえ、そうなんだ。まあいいわ。とりあえず、お隣のヘルティクス9964区画にでも出張ってみましょう!」


「アハ、すぐ隣の区画じゃん」


 絶版となった本、そして発禁になった本だって⁉️ またまたマニアックな……。


 どんな内容の本なのかは知らないけど、俺よりマサル叔父さんの方が、今いる迷宮図書館内に貯蔵されている本に対して興味津々である。


 それはともかく、俺とマサル叔父さん、それにアルカルネことアカネは、迷宮図書館ヘルティクス9965区画の住人のひとりである沙羅に案内されるかたちでヘルティクス9964区画へと移動する。


 後、どうでもいいけど、ヘルティクス9965区画のもうひとりの住人である法劾とかいうボサボサ頭で無精髭という小汚ない身形のオッサンと沙羅は、もしかすると親子の間柄っぽいな。


 んで、親子関係は……うーむ、良いとは言えないかな。ふたりの物腰なんかを見ると。


 さて。


「ほい、到着!」


「え、到着? 十秒も歩いてないぞ」


 え、もうヘルティクス9964区画に到着したのか⁉️


 むう、十秒も歩いていないと思うんだが……。


 ま、まあ、それはどうでもいい。この区画内にも住人のものと思われるテントがいくつも見受けられる。


 ん、そんなテントのひとつからヘルティクス9964区画の住人が、銃声のごとき甲高い欠伸を何度も繰り返しながらモゾモゾと出てくるのだった。


「ハハハ、こいつぁ失敬! とにもかくにも欠伸が止まらんのだ……お、誰かと思ったら和泉じゃないか、久し振りにだな。だが、待てよ……お前、若返っちゃいないか?」


「あんたが誰かは知らんけど、その和泉って奴の転生体らしいんだよ。俺は……」


「なるほどぉ! 道理で……ま、しかし、私にとっては和泉は和泉だ」


「う、うお、今、気づいたぜ! は、羽織っている白衣はともかく、その下は下着姿ってことに! む、むう、服を着ろよ!」


「マリウスは服を一着も持っていないぞ。あ、それは冗談だ。だが、その姿では来客に対して失礼だぞ」


「ほいほい、わかったよバル師匠。なんだかんだと、下着姿でいると寒いんだなぁ」


「な、何ィィ! しゃ、喋るサーバルキャットだと⁉️」


 テントから出てきたのは、背の高い長髪をツインテール状に束ねている若い女だ……う、うお! 赤い派手な下着姿の上から白衣を羽織っただけの格好だ! むう、ちと刺激の強い格好だぜ。


「アオイくん、そいつをデレデレしながら見るな! グヌヌヌ……ボクという恋人がいるというのに! つーか、ボクを見ろ!」


「わ、わわッ! 脱ぐなッ! つーか、何故、脱ごうとする!」


「むう、アオイくんがそう言うのなら」


 ムムム、まったく恥ずかしがっている様子が見受けられないぞ。痴女か、こいつ……って、おい! タダでさえ黒いビキニという際どい格好なのに、対抗心から、それを脱ごうとするな、アカネ!


 そんなふたりの痴女はともかく、眼鏡をかけた中型の犬くらいの大きな猫がテント内から姿を現す。


 ん、もしかしてサーバルキャット? オマケに気のせいかな? そんな眼鏡をかけたサーバルキャットが、今、喋ったような……⁉️


「ん、サーバルキャットである私が、人間のように言葉を喋っちゃ駄目なの?」


「いや、そういうわけでは……」


 別に喋っちゃ駄目というわけではないのだが、実に奇妙だなぁと……。


 さて、痴女はマリウス、サーバルキャットはバルという名前のようだ。


 んで、こいつらは師弟関係にあるようだが、またまた奇妙だ。本当に……本当に奇妙な師弟関係だ。


 何せ、喋るサーバルキャットのバルが師匠、弟子が人間である痴女ことマリウスというわけだし。


「お、久し振りに会ったわけだし、やっとこいつを返せるぜ」


「青い勾玉?」


「深海の御霊だ。つーか、覚えていないのか? お前と最後に会った時、預かってくれって頼んできたじゃないか」


「そ、そうなのか? 前世の記憶がさっぱりだから、俺にはどんなものかは知らんが、ありがたく貰っておくぜ。し、しかし、何故、胸の谷間に⁉️」


「フフン、私の胸の谷間は無限に道具を仕舞えるのさ☆ その原理を知りたくはないかい?」


「は、はあ、無限に道具を仕舞える魔法のアイテムねぇ……と、とりあえず、拒否っておく!」


 む、むう、マリウスの行動は、何をするにも俺を誘惑しているかのようだぜ。


 さて、そんなマリウスは、白くて細い右手をズボッと身につけている赤い派手なブラジャーの中に突っ込むと、Gカップはありそうな胸の谷間から十円玉と同じくらいの大きさの青い勾玉を取り出すのだった。


 深海の御霊ねぇ……ちょ、その前に、どこに入れてるんだよ、それを! 


 つーか、胸の谷間に無限に道具を仕舞えるって? それはホントにホントォ⁉️

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ