表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/47

第一話 異形の恋人その4

 夢魔界ねぇ……。


 どんな異世界かは知る由もないが、アカネと同じく頭に角が生えた人間が住まう場所なんだろうな、きっと。


 しかし、どうやって異世界である夢魔界から、俺が住む世界へやって来たんだろう?


 むう、何かしらの次元突破の方法があるに違いないな。それが気になって仕方がないかも。


「アオイくん、アタシの故郷である夢魔界は、この世界にもっとも隣接した異世界よ」


「むう、頭の角を見りゃ異世界からの来訪者だってわかるよ。この世界に住む人間じゃないってことを示す目印みたいなものだしなぁ」


「あはは、そうだよねぇ。この世界には、頭に角が生えている人間なんていないしね。あ、ちなみにだけど、夢魔界に繋がる門は、アオイくんの家のお隣さん宅の犬小屋の中だったりするわよ」


「え、納田さん宅の庭にある犬小屋には、そんな秘密が⁉️ ああ、だから納田さんの愛犬ケンイチが犬小屋の中に入りたがらないのね」


 な、謎か溶けてたぞ! なるほどぉ、そんな秘密があったのかって、おい!


 アカネの故郷である異世界こと夢魔界へと繋がる次元の門が、何故、お隣の納田さんちの犬小屋の中になんか……。


 むうう、そこら辺に突っ込んだらキリがないかな、かな?


 さて。


「う、うおおおーッ! 通路の壁が本棚だ。オマケに天井も本棚だ!」


「ちょ、天井も本棚になっているのに、そこに収納されている本が落ちてこない……だと⁉️ どんな原理が働いているだ?」


 ムムム、なんという不可解な! アカネに連れ込まれた迷宮図書館とやらは、なんと通路の壁はおろか天井までもが本棚となっている奇妙な場所である。 


 だが、そんな天井の本棚に収納されている本は、どんな原理が働いているのかは知らんが、まったく落っこちてくる気配がいないわけだ。

 

 むう、もしかして天井の本棚は鉄製で収納されている本の中に、強力な磁石が組み込まれており、それでくっついた状態なのでは⁉️


 ちなみに、天井にも本棚があるせいなのか照明機器は、通路の床のど真ん中に設置されている。


 ん、よく見ると明るさが違うな。それに照明がついていない場所もあるようだ。


 さて。


「どうでもいいけど、マサル叔父さんもついて来たのか」


「おお、なんだかんだと、俺も迷宮図書館に入ることができてね。つーか、迷子になっちまった気がしないか?」


「ああ、通路がひとつ、ふたつ、みっつ……とにかく、たくさんありすぎてヤバいな。どこから入ったのかわからなくなりそうだ」


「わお、マジで迷子になってしまったっぽいわ!」


「ここへ連れてきた張本人が、それを言うかぁ、おい!」


 うへぇ、迷宮と冠するだけあって迷宮図書館内は、殊の外、入り組んでいる! 何せ、目の前には数えてもキリがないくらいたくさんの通路が……。


 ついでに、通路の広さもそこそこ広いぞ。


 何せ、どこぞの誰の作品かは知らないが、銅像や絵画といった美術品もあっちこっちに飾られているけど、それがまったく邪魔にならないくらいだしね。


 だが、入って間もないというのに、どうやら迷子という状況に陥ってしまったようだ。


 アカネの奴! ここへ連れ込んだ張本人にクセに何をやっているんだ!


 ふう、こいつぁ幸先が悪いなぁ、まったく……。


「おや、見慣れん面構えだな。もしかして新しい住人かな、かな? うむうむ、麿と同じ日本人のようだ」


「ん、平安時代の貴族⁉️ いや、その格好を興じるコスプレイヤー?」


「アオイくん、そいつは藤原成々。迷宮図書館の住人よ。ふう、なんだかんだと助かったわ。これで迷子になる心配はなくなったよ☆」


「な、なんだと⁉️ ここに住み着いている者……住人がいるのかぁ!」


 むう、白と青を貴重とした平安時代の貴族を連想させる衣装を身につけた背の高い若い男が目の前には……迷宮図書館の住人⁉️ もしかしてアカネが言っていた邪神眷族群に対抗できる術を持つもののひとりなのか?


「平安時代の貴族の格好をしたコスプレイヤー? 麿は本物の平安貴族でおじゃるよ。ま、それはともかく、夢魔……いや、アルカルネを連れているところを見ると、少年、君はあの男の転生体かな?」


「あの男の転生体?」


「麿の友人である邪神を自称していた偏屈魔術師の和泉狂太郎という男でおじゃる」


 藤原成々は本物の平安貴族⁉️ ハハハ、まさかな。平安時代の人間が、あの時代から千年近くに経過した現在まで生きているわけがないしな。


 さて、そんな藤原成々と俺の前世こと和泉狂太郎は友人だったっぽいぞ。


 むう、あのレオナルド・ナイとかいう奴からも同じようなことを言われたぞ。


 だが、あいつの時と少し違うな。どこかで会ったことがある懐かしい感じがする。既視感(デジャブ)というヤツだろうか?


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ