第一話 異形の恋人その3
(むう、あの黒ずくめのアメリカ人……レオナルド.ナイの仲間か、こいつ⁉️ まったく、今日はヘンテコリンな奴に遭遇する日だなぁ)
ひょっとして厄日ってヤツ? あの黒ずくめのアメリカ人ことレオナルド・そしてアルカルネと名乗る勝手に俺の家の中に入り込んでいた俺の恋人を自称する泥棒に遭遇したわけだし。
「あ、ちなみにだけど、レオナルド.ナイって金髪碧眼野郎の仲間じゃないからね! そこら辺もよろしく!」
「お、おお……」
と言いながらアルカルネことアカネは、上半身を斜め九十度くらいに傾け、ビッと右手でガッツポーズを……。
うへぇ、もしかして俺の考えていることを読めるのか、こいつ⁉️
つーか、レオナルド・ナイの名前を口にしたぞ⁉️ でも、あいつの仲間ではないと言っているが、ホントにホントォ?
うーむ、イマイチ信用が出来ないなぁ……。
「ねえ、そこの太ったチビのオッサンにもボクの姿が見えてるんだよね?」
「お、おう、バッチリとな! つーか、太ったチビのオッサンと呼ぶんじゃあない!」
「うへ、それじゃなんて呼んだらいいのさ?」
「そうだなぁ……うん、マスター・エイボンだ!」
マサル叔父さん、そのマスター・エイボンって名前は、重課金として名を連ねるドはまり中であるネトゲのハンドルネームだろう?
むう、それはともかく、何故、荒谷マサルという真名を名乗れっての!
「むう、まさかアオイくん意外にもボクのキュートな姿を見られてしまうとは、ちと予想外だわ。でも、まあいいや、とりあえず、君達を案内しなくちゃいけないな」
「え、どこへ⁉️」
「どこって? 迷宮図書館…奴らに対抗できる術を持つもの達が集う場所サ!」
「や、奴ら⁉️」
「ん、覚えていないの? つーか、レオナルドの野郎、音黒乃魅魂をアオイくんに手渡すついでに語れっての!」
「そ、それはともかく、その奴らとは一体⁉️」
「前世の君……ボクの恋人である和泉狂太郎を殺害した忌々しい連中こと邪神眷族群のことサ!」
前世の俺……和泉狂太郎は殺された……だと⁉️
そんな俺の前世こと和泉狂太郎を殺害した邪神眷族群とやらは、一体……。
むう、ついでに邪神眷族群というわけだから、そいつらは一体、二体ではないはずだ。
「奴らはたっくさんいるわ! もう数えてたらキリがないくらいね」
「そ、そうなのか……」
「あ、でも、邪神眷族群のすべてが敵というわけじゃないわよ。とりあえず、友好的な奴やアオイの味方になってくれるものも多分いるわ」
「うーん、一枚岩ではないというわけね」
「そういうこと! ちなちにアタシは邪神眷族群の中に含まれないから、そこら辺もよろしく!」
俺の前世こと和泉狂太郎を殺害した連中、邪神眷族群の中には、アカネ曰く友好的なものや味方になってくれるものも含まれるようだが、ホントにホントなのか?
「んじゃ、早速、迷宮図書館へ!」
「さ、早速と言うが、そんな迷宮図書館へはどうやって?」
「ん、ちょっと待ってね。今、門を開く呪文を唱えるからさ」
「門を開く呪文⁉️」
「ふんぐるい、むぐるふな、たくみ、たくたく……よし!」
後半はなんて言っているか聞き取れんなかったけど、アカネは迷宮図書館とやらへ往くための呪文を唱える。
まったく、ヘンテコリンな呪文だな……わ、なんだ! 俺の部屋の床が突然、光る! うおお、光の渦巻きが発生したぞ!
「さ、床の光の渦巻きの中に飛び込むのよ、アオイくん!」
「と、飛び込めって⁉️ わ、引っ張るな、引っ張るなよぉ! う、うおおおーッ!」
ぐわーッ! アカネが俺の右手を引っ張りながら、部屋の床に発生した光の渦巻きの中に飛び込む!
お、おいおい、俺はまだ飛び込む覚悟ができてないんだぞ、うおわあああ~ッ!