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序章、音黒乃魅魂

「やあ、友よ。久し振りだね。おやおや、その調子だと覚えていないようだね。ハハハ、困ったなァ」


 とそんなわけのわからないことを言う奇妙な男と出会う。


 黒いニット帽、黒い革ジャケットと革パンツ、そして黒い靴――所謂、黒ずくめってヤツだ。


 オマケに金髪碧眼で長身痩躯、ついでに美丈夫という言葉がお似合いな外国人だ。


 とりあえず知り合いに、こんなイカした格好を好みものはいない。


 どこぞの誰かさんと勘違いしているのでは? 

             

「荒谷アオイ君だったか、〝今は〟――」


「ちょ、何故、俺の名前を!?」


「知らないとでも思ったのかい? フフフ、どんな姿に変わろうと同胞、そして友を忘れるはずがないだろう」


「…………」


 確かに俺の名前は、荒谷アオイだ。しかし、何故、俺の名前は目の前の黒ずくめの男とは初対面のはずなんだが……。


「おい、なんだかんだと言う前に、お前は誰なんだ。何故、俺の名前を知っている!」


「お、名乗っていなかったね。私の名前はレオナルド・ナイ。一応、アメリカ人さ――表向きはね」


「表向き……だと!?」


「ああ、ところでひとつ訊きたい。君は自分が特別な存在なんじゃないかって違和感を感じたことはないかな、かな?」


「な――ッ!」 


「おお、その反応! フフフ、どうやら自分が周りの人間達と違うことに気づいているようだね」


「…………」


「まあいいさ。今日は挨拶に来てみただけだ。では、日を改めて――おっと、久々に会った友からの選別だ。受け取り給え」


「ほ、本!? わ、いなくなった……消えた!?」


 黒ずくめの男は、ニタニタと笑いながら、レオナルド・ナイと名乗る。


 むう、表向きはアメリカ人? どういうことだ?


 さて、そんなレオナルド・ナイの姿が、フッと忽然と消えてなくなる――が、奇妙な本を置き土産とばかりに置いていくのだった。


音黒乃魅魂(ねくろのみこん)……奇妙な題名だな。と、とりあえず持って帰ろう」


 奇妙な題名の本だ。真っ黒な表紙に白い文字で、そんな題名が書いてあり、図鑑と言っても間違いない分厚い本だ。


 とりあえず、持って帰ろう。しかし何故だろう? 俺はこの本を知っている……初めて見るものなのに?


 所謂、既視感(デジャヴュ)ってものだろう? 


『あ、その本は⁉️ うみゅ、君がボクの新しい恋人なのか?』


「う、声? 誰もいないぞ! 幻聴ってヤツか?」


 む、変な声が聞こえてきたぞ⁉️ 声色から若い女性の声だが、俺の周囲には誰もいない……空耳か、空耳だよな?


「ハハハ、俺は疲れているんだ。うん、きっとそうだ! さて、家に帰ったら寝よう……」


 多分、俺の精神的に疲れているんだ。そうに違いない。俺の周囲には、一緒にいるだけでストレスが溜まるろくでもない連中ばかりだし……。


 寝よう。帰宅したら、即、布団に入って寝よう。


 寝れば幻聴も聞こえなくなるはずた。ああ、そのはずさ……絶対に!


『ところがどっこい! 幻聴ではないぁ、これが!』


「う、うわーッ!」


 幻聴ではない⁉️ 今、声がッ! と、とにかく、この場を……光桜学園の校門前から一刻も早く立ち去るだァァァ!


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