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全ての終わりに
「・・・はあ、結局後片付けは私か」
家庭科室。そう呼ばれていた実験室で、怪物が泣いていた。
「オニイチャン、オイシイ、ドウシテ・・・?」
「仕方ないさ、お前は食人鬼に近いんだから」
実験は失敗だった。人造人間は人間を食べる。証拠を隠滅するため、玄朔は宴に食欲が強く現われる促進薬を打ち、自分を喰わせた。
「どうせお前には、私は見えないんだろ? あざみ先生じゃない私はさ」
都合の悪いことは見えない怪物に銃を突きつけ、間髪入れずに撃った。
怪物の巨体が音を立てて倒れる。玄朔は下敷きに鳴っているから、もう跡形もないだろう。
「学校ごっこも終わって、この実験を知る人間も、もうじきいなくなる。こんな悲しい話も、もう終わりさ」
白衣を纏った女性は、大きな嘆息を漏らすと、銃口を額に当て、
「この中で一番不幸だったのは、誰だったんだかね」
独り呟くと、引き金を引いた。