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第15話 いざ森へ

わざわざ重たい感じで話すのもあれなので手短に!

 大変にありがたいお話なんですが、普段拙作にご感想を下さっている読者に厚かましくもお願いがございます。

 あまり関係のない方もいらっしゃると思うので、内容についてはご迷惑をお掛けしますが私の活動報告をご覧頂きたいと思っております。

 本当にごめんなさい! 手短じゃないし! 今後共読者様とお話がしたいなーと思う私のエゴに関しての対策を書いてありますので、是非ご一読頂ければと思います。


結局長々と申し訳ありませんでした。

どうぞ!


 場所は変わってウィーリズの森。

 時刻は現実世界での22時を回ろうとしていた頃だが、まるでこれからが本番と言わんばかりにそのフィールドにはプレイヤーの姿がそこかしこに見受けられた。

 

 そしてそれは――このPTも例外ではない。

 

 「ライトッ!!」

 「ヒール!」

 

 エミリオの鋭い呼び声に対して、即座に反応し適切なタイミングでヒールをかけるライト。

 目の前にいるのは、シャルが放つ炎属性魔法【トーチ】によってその姿を浮き彫りにした淡い緑色の狼――フォレストウルフ。

 息のあったコンビネーションでフォレストウルフを追い詰める中、そこにもう一つ激しく動く別の影達があった。

 

 「ハル、ルー、ヘイト管理をお願いします。私は前に出ます。シャルはいつも通り遠距離から」

 『了解!』

 

 その言葉をきっかけに、それぞれがそれぞれの動きを開始する。ハルは刀、ルーは短剣、シャルは杖、そしてリリーは双剣で。

 並のチームワークではこううまくは行かないと思えるほど息のあった動きで、四人は着実にフォレストウルフの体力を削っていった。

 

 途中、

 

 「ライト! ごめん!」(エミリオ)

 「――分かってる! キュア!」

 「ライトさんっ!」(リリー)

 「? え、なんですか?」

 「か、回復を!」(リリー)

 「あ、はい。ヒール!」

 「ライトッ!」(エミリオ)

 「把握してるから心配すんなエミリオっ! ブレッシング!」

 「ライトさんっ!」(ハル)

 「? え、なんですか?」

 『私達の時だけ察しが悪い!?』

 

 とそんな事もあったが、概ねそのPTはうまく機能していた。

 

 「ふー、やっぱりヒーラーがいると楽でいいですね」

 

 戦闘後、すぐ側にあったちょうど良さそうな石に腰を掛けリリーがマジックポーションを飲みながら呟く。仮想世界だというのに、嚥下する喉の動きと、口の端からつぅと伝った雫はまるで本物のようで、それを見たライトは見てはいけないものを見た気分になり思わず目を伏せた。

 

 「……うん」

 「というかボク達の中でなんで誰もやろうとしないのかが不思議なレベルなんだけど……まぁお察しだよね〜」

 「まぁ私達の性格上適してないと思うので間違いではないと思いますが」

 

 シャル、ルー、ハルも続けるようにして話し出す。ゲームなので汗をかいたりする事はないが条件反射なのか、それぞれが髪を払ったり手うちわで仰いだり、ルーに至ってはへそを覆う服の部分をペラっとめくりながら風を送る蛮行に及び、チラチラ覗く艶めかしい光景に思わずライトの視線が向きかける。

 

 流石のエミリオもこれには……とライトがそちらに視線を向けてみると――不思議な事に、視線は確かにリリーたちの方にあると言うのにも関わらずその目はまるで風景の一部を見ているかのように無感情なもので、肩透かしを食らってしまった。

 

 まぁよくよく考えてみれば自分に普通に声をかけて仲良くなれる逸材である。性格的にもイケメンなだけあってやっぱり女の人には慣れてるんだろうなぁと、ライトは納得した。

 

 最初はどうなる事かと思ったこのPTだったが、思いの外機能している事もあり、ギスギス感もなく談笑が交されるレベルには雰囲気を保っている。しかし何も引っ掛かりがないわけではなく、ライトはその引っ掛かりを口に出した。

 

 「あっ……その、それにしても、あの……奈々さん? には悪いことしました、よね」

 

 思い出したようにライトが如何にも気まずいです。といった表情でリリーたちにそう告げる。

 そう、このPTというのは最大参加人数が6名であり、あのメンバーのままだと一人あぶれてしまうのだ。そして、そこで声を上げたのが奈々だった。

 

 曰く、「私は明日朝早いからパス。残りのメンツで行ってきてー」と。

 

 明らか空気読んで言ったやつだよあれー。俺が居なくなればよかったのにうわぁ空気読めなかった嫌われるぅと顔面蒼白にして唸りはじめたライトをフォローする様にリリーが慌てて言った。

 

 「いえ! あれ嘘じゃないですし気を遣ったわけでもないので気にしないで下さい!

 奈々さん本当に明日朝から予定があるんですよ」

 「その感じだとリアルの予定も共有してるっぽいね。って事はリアルの知り合いか何かなのかな? 2人……というか、5人は」

 「……えぇ、そうですよ」

 「あれー? なんで僕と話す時だけそんな風になるかなー」

 

 ちょっとげっそり顔でリリーはエミリオの言葉に返事をした。

 

 「随分嫌われちゃったねー僕」

 「……本当に何言ったんだよ、エミリオ」

 「んー内緒」

 

 嘯くように唇に指を当て、蠱惑的な笑みを浮かべるエミリオにライトはドギマギとした気持ちになりながらそっぽ向いた。

 

 しかしそこでニヤリ、とエミリオの顔が視界の端で意地悪く歪んだ気がした。

 

 なんか、嫌な予感が――、そう思うが時すでに遅し。みんなに聞こえるような声量で、エミリオがどこか芝居掛かった口調で語りだした。

 

 「まーそれにしてもライトもちゃんと男の子なんだねー。しっかり見ちゃってさぁ」

 

 ライトからすれば、超弩級の爆弾を。

 慌てて立ち上がったライトはエミリオに駆け寄るがそれはヒョイッと身軽な動きにかわされる。

 

 「!? ちょッ、エミリオぉ!?」

 「? 見たって、ライトさんは何を見たんですか? 新mobとかですか?」


 聞こえていたらしいリリーが近寄ってくる。それにエミリオがまた意地悪そうな顔でライトに聞く。


 「あ~、似たようなものかも。ライト、教えてあげてもいい?」

 「だめ! 待って! やめてエミリオ! エミリオ様ぁ!?」

 

 騒がしく、休憩の時間は過ぎていった。

 

 

           ◆

 

 

 「ほんと散々な目に……!」

 「いやーゴメンねライト。ちょっと意地悪したくって」

 「最近エミリオが俺に優しくないんだけど!? 俺なんかしたっけ!?」

 「んー? いや、なんていうか。馬鹿な子ほど可愛いというかなんというか」

 「追撃で何ディスってんだお前!?」

 

 急に暴れはじめた二人がなんとか落ち着いたと思えば、リリー達の視線の先でまたそんなやり取りが始まる。

 

 それをどよん、と淀んだ目で見る4つの視線。即ちリリー、ハル、シャル、ルーである。

 

 「何なんですかねほんと……」

 「私、あれに嫉妬したんですよ。あれに……ははっ」

 「あ、ハルちゃんの目が更に濁った。いや、気持ちはわかるよ……あー、ボクがあんなふうに思うなんて情けない……」

 「……釈然としない」

 

 しかしそんな気持ちこそ一番虚しいしアホらしいと知っている四人は引きずることなくよし、と意気込むとすぐに気持ちを切り替えた。

 

 この女性四人の中でもリーダーシップを張るリリーが代表として声を上げた。

 

 「まぁそれでも漸く名前を知ることができて、スタートラインには立てたんです! 頑張れば私達だってライトさんと仲良くなれます!」

 

 リリーがそう意気込んで、少し遠くに進んでしまった二人を追いかけた。

 そしてその様子を見て、残った三人のなんとか光を灯した筈の目がまた死んだ。

 

 「あの……思ったこと言ってもいいですか?」

 

 リリーの姿が遠くに進んでいくのを尻目に、ハルがボソリと呟いた。

 それに応えるのは、残った二人が同時に呟く言葉だ。

 

 『どーぞ』

 「リリー。ライトさんに執着しすぎじゃありませんか?」

 『ですよねー』

 

 三人の意見が一致した瞬間である。

 

 「私達って……いや確かに嫉妬的なのはしましたけどね? でもそれもあの人と私達の差を見せつけられたからというか、なんというか、そういうものであって別にそこまでの執着はないというか」

 「……そのとおり」

 「まぁ、リリーちゃんはあれで本当に負けずぎらいだし、それになんて言うか、ライト君? もあぁいうのを引きつけやすそうだし」

 「……否定できませんね」

 

 苦虫を噛み潰したような顔でハルはその言葉を認めた。

 

 相変わらず三人の視線の先では、エミリオとライトが(過剰に)仲睦まじく会話を楽しんでおり、その会話に入ろうとリリーがオロオロとしていた。

 

 「それにしても彼が……ですか」

 「……アレで……?」

 「アレなんだもんねぇ……」

 

 世の中は不思議なもんだとでも言いたげな三人の声が、鬱蒼と生い茂る森の鳥の鳴き声によって誰にも聞こえることはなく消えていった。 

 

話が進まぬぇ!(鈍足)

取り敢えずPTとして機能はしているんだよ、というお話でした。


ご覧頂き誠にありがとうございました!

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