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第14話 結成


だいぶ遅れてしまいました。申し訳ありません。


どうぞ。

「却下です」

 

 その言葉に対して声を上げたのは、ハルでは無くリリーだった。

 

 「あれ? 手厳しいですね」

 「私達は見ての通り女性だけで組んでいるPTなので男性とは――」

 「――そのくせに、ライトのこと誘ったんですね?」

 「ぅ……」

 

 硬い声のままのリリーが拒絶の言葉を言い切る前に、エミリオがいつになく厳しい声で言い返した。

 

 しかしそのエミリオの顔は、今までに無いくらいの笑顔で飾られている。

 

 「そ、それは、だって……」

 「しかもさっきから聞いていれば、なんだかライトの事を自分のモノのように、こう言ってはなんですが――一体何様でしょうか? ライトは、貴方達五人の所有物ですか?」

 「え、エミリオ? な、なんか雲ゆきおかしくないそれ!? まって! 超待って!」

 「うるさいらいとはだまってて」

 「はひ」

 

 漢字に変換する間もなくライトに言葉を返すエミリオ。その姿にライトは直感した。

 

 ――なんかわからないけど、エミリオ超切れてる! 激おこじゃん!

 

 「そんな事、あるわけっ……!」

 「あぁそういう主観的な話は今いいです。無駄なので。あと僕個人的にそういう責められてます感のある態度は反吐が出るほど大嫌いなので、やめて下さいね?」

 

 にっこり。その笑顔にリリーを始めとした5人は声も出ない。

 大魔王だ。大魔王エミリオが降臨した。

 ライトは目の前の超イケメンハイパーリア充には絶対逆らわない事を心の中で誓いながらパニックに陥っていた。

 

 「まぁライトとの関係性も良くわかっていない僕がこうして出しゃばるのももしかしたら間違っているのかもしれません。ライトだって勘違いされやすい性格っぽいですし、そこで何か預かり知らぬことが起きていたならば、それはそれで早急に解決すべきです。――しかしそれでも、先程の貴方達の姿勢は褒められたものではなかったですよね? 何かライトに言うことはないんですか?」

 「……そうだと、思います。その、ライトさん」

 「は、はいぃぃ」

 

 申し訳ないけど急に呼ばないでほしい。そして急に話に混ぜてこないでほしい。この話の中心的存在であることも未だ理解しないまま、ライトの周りは既に終局を迎えつつあった。

 

 「頭に血が上っていたのかも知れません。……あなたの事酷い扱いをしてしまったこと、本当に――」

 「待ってください待ってください! ちょ、エミリオ!? これどうなってるの!?」

 「え? 謝らせてるんだけど」

 「なにしてんのぉ!?」

 

 こいつ無敵かよ! 怖いものなしか! あまりにぶっとんだ友人の強敵さに愕然とするしかない。

 

 「そ、その、良くわからないけど! エミリオが俺の為に怒ってくれたのも分かったし、何に対してかわからないけどリリーさんがそれを気に病んでくれたのもわかりましたけど! やめてください! もう、やめて! こういうの禁止です! 俺は怒ってないしいやな気持ちにもなってないから!」

 「でもライト……」

 

 エミリオが若干不服そうに声を上げるが、それに対してライトは制するようにそちらをキッと見た。

 

 「エミリオも! ……リリーさん達、俺の話すっごい真剣に聞いてくれて、本当に助かってるんだ。前だってこんなコミュ症でまともに話せもしない俺と頑張って話そうとしてくれたりさ……凄いいい人なんだ。だからあんまり悪く言わないでほしい」

 「む……」

 「でも、そうやって俺の事で怒ってくれた人は……その、と、とと、友達は! エミリオが初めてだから、嬉しかった、です……はい」

 

 ライトが勇気をだして、自分から友達発言をすると、それにエミリオがクスクスと微笑んだ。

 

 「……もう、本当にライトはズルいなぁ。それ、実は分かっててやってない?」

 「? え、なにが?」

 

 申し訳ないけどコミュ障にその察しろ系の言い方は無茶ぶりです。とライトは心の中でつぶやきながら聞き返した。

 

 「なーんでも。……はぁ。皆さん、言い過ぎてしまいました。ごめんなさい」

 

 ライトの言葉がきっかけだったのか、エミリオの口調には先程まであった寒々とした色は霧散しており、申し訳なさそうな顔をしたエミリオがリリーたちに対して謝った。

 

 「いえ……貴方の言うとおりでしたから……」

 「そうですか……。ならこの話はもう終わりにします」

 

 お互いにそれで納得できているのか、それ以上余計な口は出さなかった。それは二人だけではなく他の四人も。

 

 流石にこんなことがあった後では重々しい空気が流れてしまう訳で、先程までの明るい雰囲気から一転。お通夜の様な雰囲気が店内に広がった。

 

 さて誰からこの空気をぶち破るかと誰もが考えたその時、エミリオがまるでさっきまでの記憶を失ったのではと思うほど明るい声で告げた。

 

 「で、話を戻させて頂くんですけどやっぱりPT組みませんか?」

 「……いえ、お誘いは嬉しいですけど」

 「駄目ですか? これでも?」

 

 リリーの言葉を遮るように、エミリオは空中で何かを操るような仕草をしてからリリーの方へスワイプするような動きをした。

 

 それを受け取ったのか、次はリリーが疑問符を浮かべながら空中で何かを操作し、固まった。

 

 固まってから五秒くらい経って、リリーの視線が六回くらいその手元にあるであろう何かとエミリオの顔を行ったり来たり。


 「え゛っ!? ええぇ!? んえ゛ええええええっ!?」

 「リリーあんた女としてどうかと思う声出してるわよ」

 

 顔が面白いくらい劇画タッチになったリリーが奇声を上げるのを奈々が窘める。

 

 「ね? これならいいんですよね?」

 

 ライト、奈々、ハル、シャル、ルーを置き去りに何やら二人の中で話が進んでいるのか、近寄ったエミリオとリリーがコソコソと会話を交わし始めた。

 

 それからまた一分くらい経って、

 

 「皆、ちょっとこっちに」

 

 と、やけに死んだ目付きのリリーが四人を呼び秘密の会話を。

 

 それからまた数分後。何故か今度はリリーではなく奈々がリリーと全く同じ死んだ目付きで前に出た。

 

 「えーPTの件、受けるわ」

 「そうですか、じゃあ宜しくお願いします。ね、ライト!」

 「え? うん……はい?」

 

 そういうことになった。

 

 よくわからないけどとにかく、

 そういうことになった。

 

 なんで?

まぁここまで書くと大体の人は察すると思いますが、もしかすると望まれたような展開では無いかもしれませんね、これ。

ですが、一切設定の変更などはありませんので悪しからず。

望まれてる声が有る中大変心苦しいですが、やりたいようにやらせて頂きます。少なくとも私は自分が読者側の時、期待した通りの展開にならなかった事に喜びを感じるので。


皆様にもそんな気持ちを共有させて頂ければと思って書いておりますので、これからもお暇潰しにこちらを読んでいただければ、と思います。


あ、何言ってんだこいつと思っている方はそのまま気にしないでいただいて結構です! むしろ理解しないでください! そのほうが私のためにもあなたのためにもなる!(比重的にはこちらが圧倒的に重い)


御覧頂き誠にありがとうございました!

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