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気がついたら人魚でした〜番外編〜  作者: あっしまー(飛びません)
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2.宴 準備

ニールさんのプロポーズを受けたその晩、

私はシリルさんと同じ部屋に宿泊した。


「クラーケンは特に結婚したからって特別何もせえへんから、

とりあえず、友達やお世話になった人らには挨拶済ますくらいで。」


へー、そうなんだ。ドレスは着られないのかー。ちょっと残念。


「でも、一気に済ますのには、

こないだリリアちゃんのお友達もやったようなパーティ開くのが一番や。

カールに頼んで声かけてもらってるんよ?」


「はい?え?」


「それでな、さっきこれ、ケイに頼んで作ってもらったんやけど。」


さっきから話が見えない。

エリーちゃんがパーティをやったのは手紙で話したからシリルさんも知っている。

声をかけるって?

確かにケイさんも演目(ライブ)見に来てくれてたから、

ブレイに帰るためにこの辺にいるんだろうけど。

頼むって何を?


「これ、試しに着てみて?」


シリルさんが出してきたのはドレスだった。


「え?え?どういうことです?」


「折角みんなリリアちゃんの演目見にきててこの辺居るんだったら、報告済ませとき?

カールがここの、えーと、ジョナサンやったっけ?にも話したみたいやから

明日どっかの会場借りてるやろ。」


「えーと、つまり、明日パーティをやると?」


「そういうことやね。」


嬉しいですが、急すぎやしませんかね!?


「とにかく、これ、着てみて?」


ドレスが手渡される。白くて、スベスベした生地、シンプルで上品なデザイン。

さすがケイさんだ。着てみると、少し緩いようだ。


「リリアちゃん、忙しかったせいか痩せた?ちと緩いなぁ。明日ケイに直してもらお。

髪は…ライザあたりができそやね。」


「私、なんもしてないけどいいんですかね?」


「ええんちゃう?本当はやらなくてもええんやから。

あ、それとも自分でちゃんとやりたかった?そうやったらごめん!」


ドレスは着たかったけど、会場借りたり、段取りするのは大変なので助かったんだけど。

そういうのは仕事でやってきたから苦労は知っているつもりだ。


「そういうわけじゃなくて…急すぎてびっくりしてるのと、申し訳無くて。」


シリルさんはふぅ、と息を吐いていう。


「またこの子は遠慮して。私がやりたかったからやっただけや。

明日はきっと忙しいからそろそろ休もうか。」


そう言われたので、もう休もうと思ったのだが、

演目(ライブ)に来られなかったエリーちゃんに手紙だけは書くことにした。

…なんて書こうか色々迷ったけど、ストレートにニールさんと結婚することになったと

書いておくことにした。

エリーちゃんとエヴァルドルフ君にはニールさんと一緒にそのうち会いに行こう。

赤ちゃんにも会いたいし。


手紙を送ってから休んだ。




翌日、朝からケイさんとライザさんが来て支度をしてくれる。

ライザさんが艶っぽい笑顔で言う。


「巫女、やめちゃったと思ったらこういうことだったのね。

ふふふ。そうよね。仕事で側にいるのに何もできないんじゃ、辛かったでしょう?」


ケイさんも頷いていた。


「…内緒にしとくのは色々辛かったです。

周りにも言えなかったし、なんか…騙してるみたいで。」


何もしてないわけじゃなく、デートはしてたし、キスはしてました。

ゴメンナサイ。でも、騙してるって気持ちはあった。


「別に。騙してない。」


「ええ、そうよ。プロとして、仕事を全うしたんだから。もう辞めたんだし。」


「でも…そう思わない人もいますよね…。」


ライザさんはふふふと笑って


「いるけどね、少なくとも、リリアちゃんのお友達にそんなこと思う人、

いないと思うわ。私の勘だけれど、ね。」


そうだといいな。

そう思っていたらノックの音。


「オカンー!用って何?開けんでー!」


ニールさんが入って来た。

私とケイさん、ライザさんを見て、慌てる。

そして私をもう一度見て固まる。どうした?私、変?似合ってない?


「あぁ、ニール!シリルさんなら宿から少し行ったところの食堂に行ってるわ。

そこにいるから来てって。あぁ、あとあなたの分ね。後で着替えて。」


ライザさん話かけられて、


「え?え?」


と、ニールさんが慌てている。なので、昨日聞いたことを伝える。

その間もぽかーんとしているニールさん。


「ニールさん!聞いてる?」


「いや、リリアが可愛いすぎて話の半分も入ってへん…。」


がばっと抱きしめられた。そしてすぐライザさんに引き剥がされる。


「衣装崩れちゃうからね。ダメ。

オーサで数々の浮名を流したモテ男も形無しねぇ。」


へー。ふーん。そうなんだー。思わずジト目。


「そんな…かなり前やろ!それに数々の浮名は流したつもりはあらへん!」


浮名流した実感あったら相当だってば。まぁ、モテるのは知ってた。


「もう俺にはリリアしか見えへんもん。」


そう言ってまた抱きしめようとして、今度はケイさんに止められる。


「今、ダメ。」


「そうだよ、周りも見てね?」


私も思わずツッコむ。しょげ方が怒られた犬みたい…。


「…とにかくオカンとこ行って、これに着替えればいいんやな。」


なんか拗ねてる?


「折角シリルさんたちが機会用意してくれたんだから、ちゃんと報告済まそうよ。

終わってから、ね?」


「せやな!終わったらな!」


そう言ってシャキッと立ち上がると目を輝かせて言う。


「オカンとこ行ってくるわ!」


ニカっと笑うと足取り軽く、行ってしまった。

やっぱりそこはチョロいままなのね。


「…リリアちゃん、今夜から同じ部屋?」


ライザさんが苦笑いしながら言う。


「今夜?シリルさんいますから多分別じゃないですかね?」


そう首を傾げながらいうと、


「かわいそう…。」


ケイさんが呟くと、ライザさんが


「全くね。」


と同意し、ライザさんは遠い目をしていた。



読んでくださってありがとうございます!

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