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一章終わり

一章長くね?

「・・・って、ちがーう!」


 ヘッドホンを装備した、一人の少女の声が響き渡った。





『そうかそうか!やはりユモ嬢はスツーカか!電撃戦も夢ではなくなったな!』

「確かにそうですけど!今はその話じゃ無くてですね!」

『そうだったか?』

「そうですよ!」


 くそ、わざと話題を逸らそうとしたんだがな。上手くいかなかったか。中々に生真面目だなこの娘は。


『んで、本題は謝罪だったか』

「はい、その通りです。・・・この度は、本当に申し訳ありませんでした!」


 謝罪の言葉と同時に、彼女は最敬礼をした。


『既に許しているし気にしていないが、受け取って置こう』

「あ、ありがとうございます!」

『いいか?これからは私と君は戦友だ。背を・・・いや、私はユモ嬢に、私の空を任せるのだから』


 そうだとも。今の自分には、対空能力が致命的に欠如している。対空戦車ではないんだからな。その為にも、彼女には自分の”空飛ぶ砲兵”として頑張って貰うのだ。砲兵は戦場の女神と言うとおり、空飛ぶ砲兵はジェリコのラッパとなる。幾ら戦車でも、要塞や強固な防御陣地を前にして無傷とはいかないからな。それ相応の被害を覚悟せねばならない。が、彼女のような航空戦力がいるなら話は別なのだ。


「戦・・・友・・・」

『ユモ嬢。君はジェリコのラッパとなる。我々戦車は女神の加護がないと安心できない。ユモ嬢は、我々に安心と勇気を齎し、勝利を確信できるのだから』


 その為にも、彼女とは友好的な関係を持つ必要がある。勿論彼女だけでなく、隊全員と友好的な関係を構築することが、被害を減らしつつ戦果と勝利を得る条件なのだが。


「わかりました!パンツァーさんを、スツーカのように支援してみせます!」

『ただ一言だけ、言っておく』

「はい?」


 そう、これだけは言って置かなければならない。


『スツーカに惚れ込みすぎて、後継機の開発を怠るな。物は必ず旧式化するんだからな!』


 史実のスツーカは後継機に恵まれずに結果として使い潰されたのだ。ju187とかもあったが、それを開発する位ならFw190を使うべきだしな。


『自分としては、Fw190でも結構だがな。独機ではFw190が好きだし』

「んーこれはゲームですし、レベルアップで成長しますから・・・大丈夫だと思いますが・・・」

『そうだったそうだった。自分と違ってレベルアップで成長できるんだったな』

「パンツァーさんはできないんですか?」

『戦車が成長するってのもおかしいだろう?』

「確かに」


 彼女は付喪神ではないようだからな。


『ユモ嬢の種族は付喪神ではないだろう?』

「はい、私は獣人ですね。その中の鳥人に分類される種族です」


 ほう、鳥人とな。


『ユモ嬢のような鳥人は、他にもいるのか?』

「います。いますが・・・」

『どうかしたのか?』


 数が少ないとかか?それだと残念だな、空軍とか考えていたのに。


「飛べないんですよ」

『・・・なに?』

「飛べないんです。どうやらコツみたいなのがあるらしくて、今の所飛べるのは私だけなんです」


 飛べないだと?それは、一体どういうことだ?






「私以外は、飛ぶ所か、羽を動かす事すらやっとの状態です」

『ユモ嬢が特別、という訳ではないのだろう?』

「確証はありませんが、特別ではないと思います。スキルにもこれといって特殊なものはありませんし」

『ふーむ』


 飛べない・・・ねぇ。一体どういう事だろうか。


『ユモ嬢はどうやって飛んでいるんだ?』

「私ですか?私は・・・感覚でやっているとしか言えません。マニュアルや操縦桿がある訳ではないので・・・」

『そりゃあそうだ』


 人体に操縦桿なんてものはある訳無いからな。

 んー感覚でか・・・。感覚、感覚ねぇ。・・・そういえば、今の自分も、感覚的に動いているな。一番最初のように、レバー操作やらを意識してやっている訳ではない。文字通り感覚で、イメージでやっている。・・・なるほど、”イメージ”が肝心なのだろうか。


『ユモ嬢。ユモ嬢は飛行する時、どんな”イメージ”で飛んでいる?』

「イメージですか?そうですねぇ・・・やっぱり、ゲームのイメージですかね」

『ほうほう、ゲームと。どんなゲーム?』

「そりゃあやっぱりフライトシュミレーションですよ!勿論、乗るのはスツーカ!友達と一緒に出撃するんです!友人はFw190で、私がスツーカ!」

『お、おう』

「友達が制空している間に、私が対地するんです!T-34だったりM4だったり!そして時には四号や三号も破壊します!」

『そういうゲームもあるねうん』

「大体は私が爆撃機で、友達が戦闘機なんですよ!勿論、これには理由があってですね・・・」

『ほう』

「私、友達に制空戦で一度も勝てたこと無いんですよ!なのに、対地攻撃だけはヘタクソなんですよ!『怖い!』って言うんですねー」

『まぁ、急降下とかはな』

「とっても楽しいのになぁ・・・因みに、私は制空がヘタクソですが、対地に関しては譲れません!」

『自分にも直撃する所だったからな』


 というか急に饒舌になったなぁおい。まぁ、誰しも、己の趣味を語れば止まらないだろう。自分もだ。喋れば止まらない自信があるぞ。


「その友達もいるんですけど、飛べなくて悩んでるんですよね・・・」

『友達とプレイしているのか』

「はい!ですが、飛べなくて落ち込んでいるんですよね・・・」

『・・・因みに、ユモ嬢のゲーム環境はどうなっているんだ?』

「勿論フライトコントローラーです!」

『友達さんは?』

「マウスとキーボードですね」


 ・・・普段からフライトコントローラーでプレイしている人と、マウスキーボードでプレイしている人。・・・果たして、どちらの方がイメージし易いのだろうか。

 ・・・フライトコントローラーだろう。当然だな。


『ユモ嬢。もしかしたら、解決できるかもしれないぞ』

「え?」

『肝心なのはイメージだ。飛ぶ際のイメージだ。”自分が飛んでいる”、という明確なイメージが必要なのだろう。そしてユモ嬢は、そのイメージが上手く嵌ったんだろう』

「い、イメージですか」

『自分も、初めはレバーやらを操作するイメージをしていた。そして今は感覚でできるようになった』

「・・・なるほど。試してみる価値、ありますね!」


 フフフッ。これが上手くいけば、多くの鳥人が空を飛ぶことができるだろう。まぁ、鶏やらが元なら諦めてもらおう。


「どうやら、一つの革新が起こりそうな雰囲気だな」

「隊長!もしかしたら私以外も飛べるかもしれません!」

『あくまで可能性の話だ』


 ちょうど、話に区切りがついた所で、砂狐隊長が話しに加わった。ユモ嬢と話している間、彼は車内から新しいヘッドホンを探していたのだ。四号の乗員数は5名、ヘッドホンの数は合計5個あるからな。


「ほう!君以外も飛べるようになるのか!それはいい!航空戦力は幾らあっても足りないからな!」

『予想が正しければだ。あくまで』


 このゲームではイメージが大事なようだからな。飛べないかもしれないし、飛べるかもしれない。


「何事も試行錯誤だ!外れても問題ないさ」

『次を考えれば良いしな』

「早く一緒に飛びたいです!」


 鳥人が飛べるようになったとしても、我々に所属するのは少ない・・・いや、殆どいないだろう、誰が好き好んでミリオタ集団に入るだろうか。常人なら、一緒にいても楽しくないだろうからなー。


『ルフトヴァッフェの夢は遠いか・・・』

「それを言うならヘーアもだぞ。まず歩兵の数が足り無すぎる」

『ドイツ国防軍の夢は遠い』

「私達の部隊には、ヤンキーやトミー、それこそイワンもいますから難しいかと・・・」

「彼等からしたらクラウツにも問題があると思うがな」


 そりゃまぁ、大戦であれだけやりあったからな。


『味方だと心強いのだがな』

「だな」

「ですね」


「面白いこと、してるのね」

『おや』


 インテレッセ嬢。どうやら、我々が三人で話している事に気がついたようだ。


「私も混ぜて」

「勿論だとも」

『4人同時会話なんて、このゲームで初めてだ』

「ゲーム?」

「此方の話だ。な?ユモ」

「は、はい!」


 おっと危ない危ない。彼女等はゲームなんて知らないからな。


『そういえば、インテレッセ嬢はこれからどうするんだ?』

「私?」

『自分についてくる理由も無くなったし、何より君はエルフの代表だろう?』

「・・・そうだった」

『おい』


 素で忘れてたのか。


「エルフの代表だと?」

『そう。彼女はエルフの代表だ。そして自分は彼女の護衛件足』

「あ、足って・・・」

『タンクデサントって知ってるか?』

「私空軍なんで陸のことはしりませーん」

『「おい」』

「・・・?」


 ハハハッ。楽しいな。こんなって似たもの同士での会話は久しぶりだ。無性に楽しく感じる。


「・・・私の話なんだけど」

『そうだったそうだった。それで、どうするんだ?』

「暫くはここで過ごす事になった」

『衣食住は』

「街長さんが保障してくれるって」

『ここで何かする事があるのか?』

「エルフとの仲介」

『なるほどな』


 となると、これでお別れか。


「暇が出来たら遊びに行くから」

『ん?』

「だから、そっちの事、もっと教えてね」

『・・・了解した』


 ”そっちの事”、か。・・・まぁいいだろう。此方のことを教えようじゃないか。こっちの世界初のミリオタになるかもしれないしね。






 こうして、戦勝パーティは終わった。


 第一章

  ~Es braust unser Panzer Im Sturmwind dahin.~終了

 パンツァー 四号戦車G型 lv 20

 状態 正常


 攻撃力 7.5cm kwk 40 L43 戦車砲

     7.92mm MG34機関銃×3(同軸機銃・車載機銃・キューポラ機銃


 砲塔装甲 正面50mm

      側面30mm

      背面30mm

      上面10mm

 車体装甲 正面50mm

      側面30mm

      背面20mm

      上面12mm


 シュルツェン 砲塔周辺 8mm

        車体側面 5mm


 Vorpanzer 砲塔・車体正面 20mm


 速度 40km/h 300ps

 重量 26.00t


称号

・陸戦の王者

・エルフの楯

・ワールドクエスト発見者

・貢献した者

・新型受領

・始まりの防衛者

・鈍色のチャリオット


スキル

・目星 6lv

・拡大眼 7lv

・熱源探知 7lv

・音源探知 5lv

・火魔法 2lv

・風魔法 3lv

・放送 2lv

・迷彩 3lv

・隠密 5lv

・不整地走破 6lv

・改修及び改造 1lv


控え

・マッピング 8lv


所持金 86000リン


19日目夜

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