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出発準備

 ・・・自分、気付いたんだ。無線機での会話を行う為に練習をしていたが・・・これ難しくないか?

 戦車の室内は、当たり前だがとても煩い。エンジンの騒がしい音にガーガーギーギー煩い変速機、腹に響く砲撃音・・・うむ、会話なんて余裕で掻き消されるだろう。なので、戦車乗りは基本、ヘッドフォン等で会話する。マイクで声を拾いヘッドフォンを仲介する事によって、騒がしい車内でも問題なく意思疎通ができるのだ。勿論これは無線機も同じで、煩い車内で聞き取るにはヘッドフォンが必要で・・・つまり、このヘッドフォンを装着しないと聞き取れない。

 では装着してもらえば良いのだが・・・果たして、見た事もない物体の使い方を、直ぐに見出す事ができるだろうか。うん、無理だな。つまり今まで自分がやっていた事は、少なくとも今は無駄だったって事か。か、悲しいなぁ。いや、今は無駄だが後で使う日が来るかもしれない。やって損はしないし、前向きに考えよう。


 自分が一人で落ち込んで立ち直っている間、エルフ達は着実に体力を取り戻している。暫く休んでMPが魔力が溜まってきたのか、互いに魔法を掛け合って傷を癒していた。そういえば、傷を治す魔法以外にも使っていたな。あれは何だろう。現状的に治療系だと思うが。エフェクトというか、見た目が緑色のオーラの様なものが出ていた。見るからに癒し的な見た目だったし、癒しなんだろう。うん。どうせ自分戦車だから関係ない。

 しかし、魔法があるなら自分達で倒せたのではないだろうか?それは難しいのか?


「ふぅ・・・もう動けるかな?」

「うん、疲れとれた!」

「今まで魔法使えなかったからねぇ」

「見張りにずっと見張られてましたし、あの道具が・・・」

「・・・魔力を探知していた。使おうとしたら魔力でばれる」

「そういう機能だったんだー」

「私達も持ってたよね!」


 成程、魔法を使えない状況下だったのか。使おうとしたら直ぐに対応される、という事か。・・・一回試したのか?そうじゃないと分からないと思うのだが。・・・考えても仕方ないな。

 さて、体力が戻ったなら武器を荷車から降ろして貰おうか。


 もう一度、砲塔をくるくる、砲身を上げ下げしてジェスチャーする。さっき言い当てていたし、恐らく大丈夫でしょう。


「あ、また動き出したね」

「動き出したね」

「武器を降ろせば良いの?」


 その質問に砲塔を止め、砲身の上げ下げで答える。肯定の意味だが・・・分かるか?


「これは肯定と捉えて大丈夫でしょう」

「うーん。どうする?」

「どうするって?」

「この・・・化け物?に従うのかって事」

「・・・私は従うべきだと思う」

「どうして?」

「今まで、やろうと思えば直ぐに私達を殲滅できた。なのにしなかった。つまり、これは敵対している訳ではない」

「な、なるほど・・・?」

「そ、そうだね・・・?」

「確かにねー」

「それが理由で、従うべきだと?」

「・・・うむ」


 投石を受けたエルフの子、えーっと・・・足まで届きそうなボリュームの銀髪が特徴の、眠たそうなエルフがそう言った。

 ふーむ。素晴らしい。素晴らしい推測力だ。うむ、それで合っているぞ。

 あ、そうだ。この際にエルフ達の容姿を確認しよう。


 まずは銀髪の子。眠たそうな目と銀髪が特徴。体の線が細い。まるで折れそうとは、この事を言うんだろうな。流石に骨と皮だけのレベルでは無いが、余り運動しないのだろうな。後、体つきはスレンダーと呼ばれる奴だな。眠たそうな目で長い髪、運動してなさそうな手足にスレンダーな体つき・・・部屋に篭ってそう。本読んでそうだ。あとメガネが似合いそう。


 次は珍しい双子。うむ、珍しい。当たり前だが似ている。肩口まで

伸びた金髪と、まだまだ童顔が特徴で可愛らしい。目も大きく可愛いな。伸長も低いのが、それを際立たせている。小学6年?中学1年?位だろうか。体つきは女性的特徴が出始めた時期って所か。これは純粋な可愛い系という奴だな。


 もう一人は、双子よりやや年上と思われる少女。緑色の髪をポニーテールにした、活発なイメージを連想する。こちらもまだまだ童顔だな。体つきもまだまだ成長しそうだ。これも可愛い系と言えるだろう。


 最後の一人は、これぞお姉さん、といった見た目の女性だった。緑色の髪のストレートロングで、顔は大人の女性に近いだろう。目は優しく細められ、なんか母性が溢れている。これは可愛いというより美しい、だろうな。あと背が一番高い。160cmはある。あとデカイ。何がとは言わないが。


 うーん。自分は余りファッションに知識が疎いからな、専門的な評価はできない。だが、自分としてはとても美人な女性達だ。現実だったらスカウト不可避だろう。流石エルフ、皆美人さんである。


「では動かしましょうか」

「私達も手伝うー」

「手伝うぞー」

「いえ、私だけでやりますから」

「えー?何で?」

「皆でやった方が早いよ?」

「重いし、刃で切っちゃいそうなので、これは私がやります」

「うーん。確かに持てなさそう」

「お願いします」

「お願いしますー」

「はい、分かりました。でもまぁ、そこまで時間はかかりませんよ。だって――」


 ・・・これ荷車自分が傾ければできるか?いや、傾けてしまって戻せなかったらやばい。・・・ではロープで縛って引き摺るのはー、いや、武器全部縛るのには時間がかかるな。では・・・


「この程度の重量でしたら・・・何とかなります」


 ・・・うわぁ・・・。魔法ってすげー。美人さんが小さい声で何やら唱え始めたと思ったら、荷車の武器が浮かび始めた。浮かび出した武器は、荷車から抜け出し――


「・・・ふぅ」


 隣の地面に落ちた。剣や槍は地面に突き刺さり、盾やハンマーはめり込んだ。


「私の実力では、これが限界ですね。発動までに時間かかりますし。・・・もっと練習しないとですね」

「おぉー」

「凄い」

「・・・十分使えると思う」


 やばい、やばいやばいやばい。今更ながら魔法を使いたくなった。あんな事してみたい!いや待て早まるな。自分の魔法利用の目的は戦車戦の補助であって、魔法をメインにする事が目的ではないのだ。いやそれでも魔法、でも、しかし・・・潔く諦めよう。うん。


 少々心にダメージを負ったが、気にしない。しちゃいけない。さて、荷車から武器が無くなった。後はこれに彼女達を乗せて、運ぶのみだ。


「さて、武器を降ろしましたが・・・次はどうしましょうか」


 こちらを見つめる美人さん。そうなんだよ。ここからが問題なんだ。自分としては車体と荷車を繋ぎ合わせて欲しい。だが、どうやって伝えるべきか。繋ぐ為の道具は荷車に備え付けてあるが、それは馬用。使えるのはロープだけだろう。それを車体に繋げて欲しいのだ。

 どうやって伝えようか・・・よし、こうしよう。


 荷車の側面、前側に近づく。ぎりぎり、砲身が当たるか当たらないか、まで近づく。自分が近づいた場所には、馬に繋ぐ為の二本の棒と、そこに結ばれたロープがある。これを砲身で動かす。

 どうだ。これで分かる筈だ。自分がこのロープに何かしらを求めている事が分かる筈だ。


「ロープ・・・?」

「ロープだね」

「ロープですねー」


 よし、次は一度離れて、荷車の前に移動する。注意するのは、後退しながら、荷車に対し背面を向けながら近づくのだ。

 自分の幅は荷車の幅より大きいので車から飛び出ている棒の間には入れないが・・・分かってくれる事を祈る。


「・・・うん?」

「なんだろう。多分ロープに関係するんだろうけど」

「繋げろって事じゃない?」

「あぁ、成程。位置的にもそうですね」

「・・・あの、下の部分にあるのにロープ通せば?」

「えっと・・・これ?」


 緑髪のポニーテールの子が、自分の背面下部にある牽引フックに触れる。そう、それにロープを結んで欲しいのだ。砲身を上下させる。


「えっと、正解みたいですね」

「じゃあ今度は私がやるよ!お姉ちゃん!」

「んー、はい、いいですよ」

「やった!」


 嬉しそうな緑ポニテちゃん。・・・姉妹だったのか!確かに、髪の色も同じだ。顔も・・・うむ、似ているな。鼻のラインとか、輪郭とか。目はわからん。美人さん目細めてるし。


「へぇ・・・これ鉄だ」

「え、鉄なんだ」

「鉄なんだ」

「うん。全部鉄・・・この黒い帯びみたいなのも全部」

「・・・生き物じゃない?」

「となるとゴーレムなの?」

「・・・いえ、魔力は感じませんね」

「じゃあ何なんだろう?」


 そりゃ、自分戦車だからな。魔力がある筈がない。でもゴーレムか。そういうのも存在するのか、やはり。恐らく、土や岩が下級で、上級になると金属製になりそうだ。そういうゴーレムだと、やはり魔法が関わるんだろうか。で、自分もゴーレムと思われたと。うむ、納得だな。だが自分には魔力がない。戦車だからな!・・・ん?自分、魔法使えるよな?魔法は魔力、プレイヤーでいうMPの事だろうが・・・自分はそのMP何処から持ってきてるんだ?・・・いや、今はそんな事どうでも良い。後で調べよう。


「・・・よし、結び終えた!」

「後は乗れば良いんでしょ?」

「流石に分かるよねー」


 おぉ、ジェスチャーせずとも分かってくれたか。これは有り難い。正直面倒になっていた。余計な事はしない方が良いからな。


「そのままでは振動で痛そう」

「何か下に敷くものない?」

「えーっと・・・ない!」

「この辺りは草も余り茂ってませんからねぇ・・・」

「・・・仕方ない。我慢する」

「「え、えぇええ!?」」

「まぁ、仕方ないですね」

「仕方ない、かぁ」

「途中で良い感じの素材があれば良いんですがね」


 ・・・これは丁寧にエスコートしなければ、レディのお尻を傷つけてしまうな。戦車なんていう物騒な体だが、できうる限りのエスコートをしましょう。



 パンツァー 二号戦車F型 lv 8

 攻撃力 2cm kwk 30機関砲

     7.92mm MG34機関銃


 砲塔装甲 正面30mm

      側面15mm

      背面15mm

      上面10mm

 車体装甲 正面30mm・下部35mm

      側面15mm

      背面15mm

      上面15mm


 速度 40km/h 140ps

 重量 9.50t


称号

・陸戦の王者

・エルフの楯


スキル

・目星 2lv

・拡大眼 3lv

・熱源探知 2lv

・音源探知 1lv

・マッピング 3lv

・風魔法 1lv

・火魔法 1lv

・迷彩 1lv

・隠密 1lv

・走破 6lv

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