表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/58

これからを考える

 さて、敵を葬り防衛戦に勝利した。とても嬉しい。防衛対象を、いや、戦闘目標を達成したのだ。エルフを守るという作戦目標をだ。今までの目的がなくただただ敵を殲滅する戦いとは全く違うこの感覚。やってやったという達成感と、守り切ったという達成感。この二つが自分の中に深く浸透した。

 あぁ・・・これはいい。これはいいものだ。


「ひぃ・・・」

「あ、あわわ」

「ご、ゴブリンが一瞬で・・・」

「に、逃げようよ!」

「・・・いたい」


 おっと、勝利の余韻に浸るのは後にしよう。戦闘中はよく見てなかったが、今はゆっくり確認する余裕があるな。

 エルフの数は5名で、なんと全員女性である。ゴブリンの目的はやはり、そういう事だろうか。殲滅して正解だったな。説明にはエルフだけでなく人間の女性も対象とあった。被害を減らす為には・・・根本を潰す必要があるなぁ・・・。考えるだけで頭が痛い。

 しかし・・・凄いな、彼女等は。皆美人さんである。それぞれ美人のジャンルは違うが、どれも見ていて飽きない。自分が人型ならば両手に花だな。怯えられているのが真に残念であるが。


 さて・・・これからどうしようか。立ち上がろうとする者がいない事を見るに、かなり疲労が溜まっているんだろう。うむ、やはりあの荷車は破壊しなくて正解だったな。

 今考えているのは、あの荷車にエルフを乗せて運ぶ、という内容だ。行き先はエルフの・・・なんと言えば良いんだろう。家?村?拠点?・・・取り合えずそのような所へ送り届ける。攫われていた感じだったし、住んでいた場所があるだろう。そこへ送り届けたいんだが、衣服の消耗具合からそれなりの距離があるとみえる。これは長い旅になりそうだ。


 さて、思ったが吉、だったか?直ぐに行動に移すとしよう。まずは荷車へ彼女らを案内しなければならない。邪魔な武器も降ろして貰わなければな。前進し荷車へ向かう。


「ひっ!」

「ううう動いた!?」

「もしかして私達も・・・」

「い、いや、嫌だよ!」

「・・・痛ッ!・・・折れ、てる?」


 ・・・やはり誤解されているな。まぁ、当たり前か。彼女等からしたら、自分のような戦車なんて初めて見るだろう。見た事も聞いた事もない、正体不明の存在がいきなり現れ、自分達を拘束していた存在を瞬く間に全滅に追い込む。うむ、自分だったらビビる。逃げる自信もある。彼女等の誤解と怯えようもおかしくは無い。

 美しい女性達に怯えられるのは・・・中々くるものがあるな。気にしていたら精神的に病むだけなので考えない事とする。

 さて、荷車の所まで来た。ふーむ、長方形の箱の、天板と背面を外したような形状の荷車だ。恐らく馬か牛に引っ張らせる荷車なんだろうな。飛び出ている部分があって、ここにロープやらを結びつけて牛と馬に結び付けるんだろう。

 武器を満載しているだけあって中々の大きさだ。幅は2m位、全長は4m位か?高さはそんなにないな、1m程度か。中々の大きさだが、自分よりは小さい。彼女達が乗っても十分引っ張れるだろう。


 飛び出ている棒?のような部分を折らないように押す。その為速度は遅いが、距離はそんなに離れていない。直ぐに彼女等の前に運べる。


「・・・え?」

「も、戻ってきた?」

「え、えーっと、これはどういう事でしょう?」

「敵ではないの?」

「・・・?折れてる訳ではない・・・?」


 うむ、自分は襲うつもりなど一切ない。守る対象を襲うなんてありえないのだ。

 よし、荷車を動かし終えたが、これからどうしようか。この荷車に満載された武器を下ろして、そこに乗って欲しいのだが・・・くそ、意思疎通ができないというのはこういう時に響く。取り合えず身振り手振りならぬ車体振り砲塔振りで意思疎通を図る。


 砲塔を荷車へ向け、砲身を荷車の中の武器へ向ける。そして次は地面へ向ける。意味は『荷車から武器を地面へ降ろせ』、である。・・・通じるだろうか。心配だ。これを何度も繰り返す。


「・・・なに、この動き」

「なんか・・・右へ左へ回転してるね」

「うーん、何なんでしょうか」

「荷車押してたし、荷車に関係あるのかな」

「・・・意思疎通を図っているとみた」


 中々勘の良い子達だな。砲塔と砲身だけで理解できるか。自分は少し自信がないな。

 うーん。彼女達の勘が良かったから今回は上手くいきそうだが、毎回勘が良いとは言えないだろう。身振り手振り以外の意思疎通方法が必要だ。できる事なら音声会話をしたい。音声による会話がやはり、一番手っ取り早いだろう。だが声帯がない為にできないという。戦車に生物的な機能なんて要らないからなぁ・・・。

 ・・・いやまて、思い出すんだ。戦車同士や歩兵間での意思疎通はどうやっていた?車長が外に出て毎回毎回、身振り手振り旗振りでやっていた訳ではない。毎度出ていたら狙撃の危険性があるし、それではより遠方の部隊や司令部と迅速な情報交換ができない。その為に別の手段が使われた。それが無線機だ。

 より遠方の部隊との会話を迅速かつ正確に行う為の、革新的な発明である無線機。これはドイツ軍の戦車の大半に搭載されており、電撃戦と呼ばれる戦術を成功させる一端となっている。


 そしてその無線機だが、勿論二号戦車にも搭載されてされている。これを使って会話をしたいが・・・如何にかして車内に誘導せねばならない。まぁ、その前に実際に音声を出せるか試すのが先だが。

 兎に角試してみよう。やってみない事は始まらないからな。


 因みに、自分は戦車は好きだが無線機にはそれ程詳しくなかったりする。というか、自分はどちらかと言うとニワカと呼ばれる人種である。余り詳しくない、という悲しい知識量なのだ。その為、こういう無線機にはやはり正しい使い方や無線用語があるんだろうが・・・判らないから仕方ない。そこは行き当たりばったりで扱おう。まぁ、壊れはしないだろう。乱暴に扱う訳ではないしな。


 えーっと。なんて言えば良いんだったか。本日は晴天なり・・・だったよな?


 本日は晴天なり。本日は晴天なり。

『―――――』


 うむ、まぁすぐにできるようになる訳ないか。本日は晴天なり。これは自分が知っている数少ない無線用語の一つである。これはマイクテストの際に使われるのだが、実は日本語では余り意味がなかったりする。これは英語の『It's fine today』が元ネタで、元ネタ通り英語でないと意味が薄いのだ。理由としては、『It's fine today』にマイクでは拾い難い破裂音や摩擦音、高音低音が含まれるから・・・だったか。そんな感じの理由だった気がする。


 だが自分は英語の発音に自信がない。その為日本語やったのだが・・・うむ、すぐにできるようになる訳ないか。

 だが諦めることは無い。上手く喋れるようになるまで練習あるのみ!


 本日は晴天なり、本日は晴天なり。

『―――――』


 うーむ、相変わらずのジージーザーザー砂嵐である。何か違うのだろうか。


「荷車・・・荷車に乗れ?武器を降ろせ?」

「そうなのかなぁ」

「取り合えず武器を降ろしてみますか。ついでに私達でも使える武器がないか探しましょう」

「わ、分かった!」

「・・・その前に私の心配をして欲しい」

「「「「あっ」」」」


 本日は晴天なり、本日は晴天なり・・・。

『本―は晴――り、本日―晴―――』


 お、手応えが。できるまで続けよう。


「・・・骨折ではないようですが・・・罅ですかね」

「よ、よかった。折れている訳ではないんだ」

「ですが、罅でも痛みますし、腫れもします。放置したら完治に時間がかかりますし」

「そ、そうなんだ」

「・・・治療は無理?」

「すみません・・・道具もないですし、魔力も・・・消耗してて」

「・・・大丈夫。どうすれば良い?」

「患部を固定して負担を与えない・・・ですね」


 本日は晴天なり、本日は晴天なり。

『―日は――なり、本日は晴天なり』


 お?これはできたんじゃないか?


『本日は晴天なり、本日は晴天なり。うむ、できているな。ワレニオイツクグラマン何とかかんとか』


 車内に雑音混じりの音声が響く。ラジオみたいな古臭い音源だが仕方ない。無線機が旧式なのだから仕方ない。


 さて、エルフ達はどうなった・・・あ、石が当たった子に治療を試みている。ただ、手足が拘束されていると何もできないと思うんだが。


「・・・縄切れば?」

「でも私達の力では・・・あ」

「その荷車から刃物を取れ・・・ってこと?」

「そうかも」

「・・・立てる人いる?」

「足に・・・力が入らない」

「私もです」

「同じく」

「もう少し、休ませて」


 ・・・仕方ないか。荷車の横に回り、少々強めに押す。揺らす感じだ。上手い具合に武器が零れれば良いんだが・・・。


「ま、また動いたよ?」

「次は何?」

「荷車にぶつかってますね」


 うーむ。中々落ちないな。揺らし方を変えてみるか。真横からではなく、斜め方向から押してみよう。

 お、良い感じに揺れている。荷車が前後斜めに動き始めた。本当は真後ろから押したいのだが・・・折っちゃいそうだからな。仕方ない、このまま続けよう。


「あっ、短剣が落ちた」


 お、どうやら上手くいったようだな。もう良いだろう。あとはそれで縄を切ってもらって、武器を降ろしてもらえば良い。だが彼女等の疲労が抜け切るまで待つ必要がある。その間、自分は護衛に徹するとしよう。


「と、届く?」

「這えば届きそう。・・・届いた!」

「やりました!これで縄が切れますね!」

「まずは私から切るね」


 よし、あとは彼女等が自己判断するだろう。それまで自分は守りに徹する。


 少し整理しよう。自分の目的は何だ?それは彼女等を護衛し、住処へ帰してやる事である。助けたからには最後まで責任を持つとしよう。ただ、あの様子からすると彼女等の住処が無事とは言えないだろう。絶対何か起こりそうだな。ゲーム風に言うとイベント、であろうか。もしイベントが起きたら精一杯協力をすると。それで良いだろう。

 元々当てもなく彷徨っていただけだ。何か目的を持つのも、悪くないだろう。言ってしまうと暇潰しであるが、助けたいという気持ちに嘘偽りはない。

 

 彼女等の住処だが、恐らくゴブリン共に蹂躪されているだろう。そこからどうなるか。彼女等はどうするだろうか。

 復讐に動くか、それとも・・・。まぁいい。どちらにしろ、自分は彼女等の意思に従うのみだ。彼女等を任せられる環境か、自分が要らなくなるまでは、彼女等は護衛対象である。目的が何であれ、守る事に変わりはない。



 パンツァー 二号戦車F型 lv 8

 攻撃力 2cm kwk 30機関砲

     7.92mm MG34機関銃


 砲塔装甲 正面30mm

      側面15mm

      背面15mm

      上面10mm

 車体装甲 正面30mm・下部35mm

      側面15mm

      背面15mm

      上面15mm


 速度 40km/h 140ps

 重量 9.50t


称号

・陸戦の王者

・エルフの楯


スキル

・目星 2lv

・拡大眼 3lv

・熱源探知 2lv

・音源探知 1lv

・マッピング 3lv

・風魔法 1lv

・火魔法 1lv

・迷彩 1lv

・隠密 1lv

・走破 6lv

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ