一話:王馬鹿と会議
ほぼ一ヶ月ぶりの第一話です!
戦闘が始まりません!!
「どうしてこうなった・・・」
王国兵士の一人、マース=ローダンは慌てていた。
あの王様に大事件の話を聞かせてしまった、というその事に。
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いつものように依頼の農作業を終わらせた後、城へ戻ろうとしていたら、町の外から慌ててこちらへ走ってくる男が一人。
非常に深刻そうな顔をしている。何かがあったのだろうと、マースは男に声をかける。
「どうした?そんなに慌てて?」
声に気づいたのか、男はこちらへ向いた。
・・・知り合いだった。
「ああ!マース!聞いてくれ!」
「なんなんだ?お前、昨日旅に出たばっかじゃなかったか?」
こいつはエドワーズ。先日、
「ちょっくら今から夢つかんでくるわ」
とか良く分からない発言を残して旅立った奴なのだが、なぜ急に帰ってきたのだろう。あの無駄な自信は何処へ飛んでいったのだろうか。
エドワーズを半目で見ていると、耳を疑う言葉が聞こえてきた。
「ま・・・魔物の大群が押し寄せてきてんだよ!!」
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王様に魔物の大群について説明した後、王様はすぐさま行動を起こした。伝令で兵士全てに件について伝え、城に来るようにと。
そして現在、兵士は全員城の会議室に連れてこられ、魔物に対する対策について王様から話を聞かされている。
「う~む・・・こうするべきか・・・?」
当初は兵士を総動員し城で防衛、国民を非難させる、という至極まともな対策を講じていた。
しかし、途中から、
「他国から兵器を買い取るか・・・?」
とか、
「こちらからせめるか・・・?」
とか、色々とおかしな方向に進んでいるような気がする。
とそこで、自分と同じように思ったであろう兵士の一人が声を上げる。
「王様!いくら魔物が大群とはいえ、相手は我ら兵士でも一対一で勝てる程度の強さのものしかいないのです。大袈裟な対策は必要ないのでは?」
全く持ってそのとおりである。既に偵察部隊が魔物の強さを確認済みであり、その中の大半は野犬程度のほぼ無害な魔物ばかりであった。一番強いものでも、オーク___兵士が一対一で余裕を持って倒しきれる程度の敵でしかなかった。それに対して、兵器、等という単語が出るのは些か度が過ぎるのではないか、と思う。
因みに兵器とは、この国でいう集団召喚魔法である。この国は魔法の扱いに優れており、国民一人ひとりが並程度には魔法が使えるのだ。そして、その全員で一つの召喚魔法を唱える。
召喚される生物は、フェニックス___不死鳥である。召喚したら最後、三日三晩敵に炎を放ち続ける正真正銘の切り札である。
兵器を持ち出すようなことがあるとすれば、それは世界レベルの危機なのだが・・・それをその辺の野犬に使うというのだ。
しかも他の国からの兵器も用いようとまでしている。
・・・大丈夫かこの王馬鹿。
誰もがそう思った。そして、お願いだからやめてくれ。とも思っただろう。
だがエンジンの掛かった王馬鹿は誰にも止めることなどできはしない。
「馬鹿者!!敵の油断させるためのカモフラージュだったらどうする!ここは全力、いや、120%の力で完全に倒すべきなのじゃ!」
・・・既にこちらの話は王の耳には届かないようだ。
そうしてマースは説得を諦める事にした。
「どうしてこうなった・・・」
そこには後悔と悲しみの独り言が虚しく響くのみだった・・・
見てくださってありがとうございます!!
これからは、こんな感じで王様以外の視点から色々進めていくようになると思います。
ではでは、また見て次回!!