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鍛冶屋の爺様  作者: 隼人
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世間話

わたくしの店は町はずれの丘の上に建っております。

小さなお店ではありますが、これでも少しは名の知れた鍛冶屋でございました。

最近では、町の方々の農工具や金物の修理を主に商売をさせて頂いております。

私の仕事場には、祖父の代から絶えることなく燃え続けている炉があり,不思議な事に私の幼少時代から全く形を変えず、汚れもせず、壊れる事もありません。炉だけではなく、ここに並んでいる道具すべてがおろしたての様に何時も輝いているのであります。

長年私と共に仕事をしてきた道具たちは年老いた今でも私の手に馴染み、良い仕事をさせてくれます。

積みあがった地金の横を通りますと、外へ出られる扉がございます。

ここから眺める街並みは、昔に比べると随分変わりました。変わっていないのはこの店ぐらいでしょう。


高い建物が乱立し、人々が住む家は固いコンクリートという物質で出来ております。

商売仲間だった防具屋も道具屋も皆、時代の波に押しつぶされ店をたたんでいきました。

昔はこの町にもたくさんの冒険者が集まっておりました。

腕自慢の戦士、知性に満ちた魔法使い、凛とした佇まいのお侍、そのほかにもいろんな国の強者達で大いに賑わっており、毎日大忙しでございました。


しかし、もう30年前ぐらいになるでしょうか。冒険者を雇う会社が出始め、多くの冒険者が勤め人となりました。武器も防具も会社支給になり、大量生産のなまくらもので魔物と戦う様に時代は変化していったのでございます。独立して仕事をなさっている冒険者はもう数える程度しかおりません。

また、「魔物愛護団体」なるものが発足され、希少性の高い魔物は無断討伐できなくなり、勇者様といえども身勝手な行動は慎むようにとの勧告も出されたと聞いております。


そんな時代ではありますが、時折わたくしの店にも武器制作や修理の依頼が舞い込んでくる事がございます。大手企業が手を付けれない案件を請け負う個人事業者、昔気質の冒険者、裏世界の住人から親の形見のメンテナンスまで、それはそれはいろんな依頼が入ってまいります。

さて今日は、どの様なお客さんがいらっしゃるのでしょうか。






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