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アラームの音が部屋に響く。
ベッドから起き上がり、ケータイを手にし、アラームを止める。
設定時刻はきっちり【6:30】...のはずだった。
「.....ッ!?」
昨夜寝ぼけてでもいたのか設定時刻は7:30だ。
急いでベッドから出ようと体を乗り出したところ、ベッドの角で思い切り肘を打ちつける。
「...ッかはっ!!」
しかも、運の悪い事に打ちつけたのは左肘、俺は左利きだ。
一人で部屋を無様に転がり回る凡人・紺野涼太《こんのりょうた》がそこにいる。
「ツイてなさすぎだろ...。」
今更ながらに自分の左肘を見つめる。
左肘には、なれない右手で貼った湿布がベッタリとくっついている。
これは剥がしてもしばらくは臭いが途絶えなさそうだ。
このままではどうしようもないので朝食の準備を始める。
簡単に朝食を済ませ、部屋へと戻る。
...俺はいつからこんな凡人になったのだろうか。
何度かそうやって考えてみたが、何も思い出せなかった。
簡単に説明すると、俺には、ここ数年の記憶がほとんどない。
覚えていない、というよりは分からない、の方が適切かもしれない。
そんなことになったのが中1の冬。
それから幾2年が過ぎ、現在に至る。
詳しく(?)説明すると、ここ2年間の俺の中の人間関係がほとんど分からないのだ。
来年から高校生だというのに俺は一体何をしているのだろうか。
しかも人間関係だけというところが何とも不思議でたまらない。
過去に何度か思い出そうとして普段はあまり使わない頭をフル回転してみたが、まったくをもって無駄だった。
昔のことを思い出すのは元々苦手だが、ここまで思い出せないのは恐ろしい。
こうしているうちに時計はとっくに8時を回っていた。
今日は買い物に出掛ける予定だったが、中止になりますの貼り紙が脳内に無数に貼られた。
「涼田ー!!!」
今俺の名を呼んだのは、声からにして2つ年上の兄だろう。
「何だよ...。」
こんな時にこの馬鹿兄は何を考えているのだろうか。
「たまには買い物つきあってくれよ。..な?な?俺一人は嫌だよ。」
ひとりは...嫌..か。
なんだかその言葉を懐かしく感じたので俺も行くことにした。
この選択の所為で、最悪な日々が始まろうとしていることとも知らずに。




