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二
……何かしら?
「実はな、今回の縁談にはそちとあと一人、候補者がおる」
「…………あと一人?」
『候補者』ですって?
「おお。まだ到着しておらぬがのう」
―――…………っ。
………なんて失礼な。騙して輿入れさせたう え、他国の方と比べて品定めするなんて……っ!
屈辱だった。
もし選ばれなかったとして、出戻って来た娘を見て父はなんと言うだろうか。少なくとも、その後の椿の縁談はなくなるだろう。
「…………」
「なんじゃ、不服でもあるのか?」
義影の声に不機嫌の色が混じる。
椿は当たり前だ、と言いそうになるのをグッとこらえる。
「……不服ではございません。ただ…」




