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戦国恋歌  作者: Maaa
52/61


「顔が紅いぞ」


「……~~ッ…知りません!」


腕を払って離れようとする椿。


しかし




グイッ!!



思いがけず強い力で引かれ、椿はよろけて景政の胸にぶつかった。


そして捕まえたと言わんばかりに、再び長い腕が椿の肩や腰に絡まる。


「…ッもう!離し」


「最近」


「え?」


突然話し出した景政。



「最近、あのブ…父上に無視されているようだな」


―――…?



「美和の姫君がお気に入りだとか」


景政は何を言っているのだろう?



「無視…かはわかりませんが…そのようです」



「椿、私が姫君と話していた内容を覚えているか?」




また話を変えられる。


椿はわけがわからないまま答えた。


「…?…明日も…ここを通るとか…おっしゃっていたような…」



「そうだ」



景政の声に喜色が混じる。


「だが姫君は“明日”だけじゃなく、“その次の日もずっと”通った。もちろん、私も」



――――……?





「どういう…ことです?」




クスっと景政は笑った。



「わが父上は相当の負けず嫌いな上に独占欲が強くてな。……それも息子…この私に対しては特に、な」





椿は景政の言わんとしていることをうっすらと感じ取った。









「…………まさか…」

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