二
―――…それにしても…何故急に…
━━━━━━━……♪
―――………え?
立ち止まり急に手を離した椿に、染乃は振り返った。
「どうなさいました?」
「…今…………音が…」
聞こえた。
「音?なんでしょう…?あちらの方からでしょうか?」
「…………」
確かに聞こえた。
聞き覚えのある音…
「姫様、少しここでお待ちください。見てまいりますわ」
椿の感じた方向とは逆の方に染乃は行った。
椿は頭をめぐらす。
━━━━━━━………♪
―――――また!
今度は絶対に。
そう思った時だった。
──────グイッ!!!
「!!!」
「ん゛ん゛ッ!!?」
腕を引かれ、口をふさがれる。
茂み…おそらく庭園の中でも死角になっている辺りまで、腕を引かれて連れて来られた。
――嫌!!!
「誰か…ッ…」
「静かに」
低く耳元で囁かれたひと言。
胸が高鳴る美しい低音。
――――…この……声
「……………景政様…?」
耳元でクスリと笑う声が聞こえる。
「………本当に…?」
どうして…?
困惑した椿を気にせず、長い腕が後ろから回されて抱きしめられる。
「確かめるか?」
「え?……ん…ッ」
唇に触れる柔らかな感触。
隙間から入れられた舌が、椿の舌を絡めとる。
「…ふ…ハァ…ッ……ん‥」
逃げようにも顎を持って固定されているので、顔を離すこともできない。
「ん……ぁ…ッ…ハァ…」
糸を引いて
名残り惜しむように唇が離される。
「…わかったか?」
笑みを含んだ声に椿は頬を染めた。
「……ッ…!………はい…」
「もう一度確かめてもよいぞ?」
「…ッ…もう結構ですわ!」
小声で叫ぶ椿に、景政はクスクスと笑った。




