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五
運命など信じていなかった。
あの日
あの時までは。
見つけたのは、一輪の花
「話とは何にございましょうか、若」
「爺か。………そろそろ向こうが“動く”」
「では」
「ああ。………こちらも動きはじめる」
「いよいよですな」
「油断するな。隠密に動け」
「かしこまりました」
欲しいのは、一輪の花
けれど…
「私は欲張りだからな…」
口元が緩む。
…欲しいモノは増えるかもしれない。
漆の木箱から一枚の料紙を手に取り、そっと口づけた。
「―――……椿」
運命など信じていなかった。
あの日
あの時までは。
見つけたのは、一輪の花
「話とは何にございましょうか、若」
「爺か。………そろそろ向こうが“動く”」
「では」
「ああ。………こちらも動きはじめる」
「いよいよですな」
「油断するな。隠密に動け」
「かしこまりました」
欲しいのは、一輪の花
けれど…
「私は欲張りだからな…」
口元が緩む。
…欲しいモノは増えるかもしれない。
漆の木箱から一枚の料紙を手に取り、そっと口づけた。
「―――……椿」