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三
宴の席から三ヶ月後
深夜、景政は自室で文を手に考え事をしていた。
――――…そろそろ…だな…。
この三ヶ月、義影は縁談の事に関して怪しいほど何も動きを見せなかった。
側近からどちらが有力かといった噂も流れない。
考えるよりも行動が先、即断・短気なあの男にしては慎重だ。
――――…あの豚…一体何を考えているのか…
権力か、血か。
景政は父親の考えそうなあらゆる事態を想定した。
――――…まさか………いや、可能性はある…。
景政はいったん思考を閉じ、目線だけを横に向けた。
「朔」
「ここに」
どこからともなく応える声。
景政は行燈の灯りを見つめながら瞳の色を深くし、
薄く微笑んだ。




