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二
病持ちの娘など欲しがる国などあるのだろう か。椿はこの病にかかってからは結婚をあきらめていた。
しかし椿の思いとは裏腹に、父は言う。
「実はまだ話していない。じゃが今この国が生き残るためには羽間との繋がりが必要なんじゃ。そなたは我が国の唯一の姫。お前しかおらんのじゃ、椿」
「隠し通せと…?…………無理ですわ、父上…」
「…分かっておる………しかし彼の国がお前をと望んでおる。もう一度言う、お前しかおらんのじゃ、椿。頼む、行ってくれ」
「……―――父上…」
「頼む!」
……――わたくし…しか…。
椿は頷くしかなかった。




