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戦国恋歌  作者: Maaa
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曲は「月影想歌(げつえいそうか)




今より遙か昔、殿上人の男が身分の低いある貴族の女と愛し合った。




男は月の出ない暗い夜にだけ、人目を忍んで女に会いにゆく。




「月影想歌」は男が月の輝く夜に、会いに行けない女を想って吹いたとされる恋曲…。






今の二人と重なる伝え話。


椿は涙が溢れるのをこらえ、着物の下で拳を握りしめた。





――…景政はわざと笛を選んだ。


椿にこの曲を送るために…。



―――…景政様…ッ















━━━━♪ーー♪ー





ーーーー………。





余韻を残し、笛の音は空気に混じって消えた。








――――……景政様が笛の名手とは…。


――…きっと絵になるようなお姿で吹いていらっしゃるのね…。



しかし、と椿は思った。



あの古曲を送ってもらっただけで、今椿の心は満たされていた。


吹き終わり、拍手喝采の後で景政はとんでもないことを言い出した。





「私だけでは余興には足りませんでしょうか ら……いかがですか父上?麗しい姫君お二人にも何かしていただいては」




まただ、と椿は思った。


何か…笑みを含んだような景政の言葉。



周りは気付かなくても、耳のいい椿には微妙な声音の変化でソレを感じとれた。


――――……一体…?





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