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一
景政は、月明りに光る椿の涙をすくう。
「……椿…」
頬に伝う涙をツーッと舐められ、椿の頬が赤く染まる。
「……景政様…っ…」
唇で涙の跡を拭うように降る愛撫。
目から頬へ降り、最後にソコへ…
―――――重なった唇
「…………ふッ……ん…ハァ‥」
ついばむようだった口付けはだんだんと深くなり、舌が絡められる。
――――…ドクンッ
―――…ドクンッ
椿の心臓は壊れそうだった。
熱い唇
乱れた吐息
甘美な口づけの音
――――今この時は
感覚が全て。
椿はおずおずと右手を景政の頬に添えた。
触れるのは二度目の彼の頬。
撫でるように触ると、滑らかで……少し熱 い。
上唇をつけたまま、景政は呟いた。
「くすぐったい」
「え…?………ぁッ!」
首筋に感じた熱。




