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一
「……あら?」
「どうなさいました?」
「…わたくしの描いた絵は…全部で四枚だったかしら?」
「ここにありますのは桜、藤、山茶花、牡丹ですわ。…椿がありませんわね」
染乃が首を傾げた。
「知らないうちに、また飛ばされてしまったのでしょうか?」
「そうかもしれないわね」
少し残念な気持ちになりながら、椿は四枚の紙の束を胸に寄せた。
彼の方が拾ってくれた物
ほんの短い間…
ささやかだったけれど
胸が高鳴った時間
なんだか忘れたくなかった。
「……あら?」
「どうなさいました?」
「…わたくしの描いた絵は…全部で四枚だったかしら?」
「ここにありますのは桜、藤、山茶花、牡丹ですわ。…椿がありませんわね」
染乃が首を傾げた。
「知らないうちに、また飛ばされてしまったのでしょうか?」
「そうかもしれないわね」
少し残念な気持ちになりながら、椿は四枚の紙の束を胸に寄せた。
彼の方が拾ってくれた物
ほんの短い間…
ささやかだったけれど
胸が高鳴った時間
なんだか忘れたくなかった。