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戦国恋歌  作者: Maaa
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―――………。






景政は部屋に入って椿の前に腰をおろした。




「……一体‥」


“何をおっしゃているの?” その一言が出ない。手のひらが汗ばんできたのがわかる。




彼は一体……。





「違うか?」


尋ねてはいるが確信を含んだ声の響きに、椿はようやく頷いた。


―――……こんな事、初めてだわ。


「……なぜ、おわかりになりましたの?」


後ろに控えている染乃が顔を真っ青にしているのが想像できた。



「人の顔から目をそらさない娘だと思っていたら、瞬きひとつせずに一点を見つめるようにしているから……もしかしてと思ってな。あとは勘だ」


「……そうでしたか」



椿は小さく息を吐いた。そしてもう必要ないと思い、見えない両目を閉じた。



「やはり完璧を装っていても、ボロはでるものなのですね」



椿の遊びに負けてしまったような口ぶりに、景政は小さく笑った。



「私も最初は全く気付かなかったぞ。これだけ躊躇なく直視して、まさか見えていないとはな」


景政の言葉からは感心したものと、笑いを含んだものの二つが感じられた。


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