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五
「……なぜ‥」
「ここの離れは貴賓用だ。今この城でここに通される客といえば、数日前に来た博巳の椿姫しかいないからな」
淡々とした語り口調。
――……?……
椿は首を傾げた。
――……どうして…?
「どうした?」
黙ったままの椿に景政は声をかけた。
「あ、……いえ」
「………ひとつ聞く」
「――?……なんでしょうか」
――……なんだろう。なんだかわからないけ ど……視線が………気のせい?
見つめられているような……?
椿が首を傾げると、景政は逡巡したあと尋ね た。
「お前……目が見えぬのか?」
「――――………え?」




