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戦国恋歌  作者: Maaa
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「もし……どこへ‥」




男は答えなかったが、振り返って口元だけで 笑った気がした。




「椿様…」


「染乃…あの方は一体‥」




しばらくして男が戻ってくる足音がした。



「山茶花、桜、牡丹、藤…これで全部か?」



「あ…はい。本当に有難うございます…あの」


「なんだ?」


「失礼ですが、お名前を」




男は一瞬間をあけて、静かに言った。





「景政」




―……景政(かげまさ)様…。



景政は束の中から一枚、“椿”の描かれた紙を取った。


「それにしても上手いな。墨の濃さも色のつけ具合いも丁度いい」




初対面の人からの誉め言葉に、椿は頬を染め た。


「ありがとうございます…。あ、わたくしは‥」


椿は自分も名乗ろうとした。だが


「知っている」


「え?」


「椿…だろう?」




椿には見えないのでわからなかったが、景政はそう言って紙の中の“彼女”に唇を寄せた。

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