少年の強さの定義
良かったら感想&アドバイスおねがいします。
前代未聞の大事件から1年がたった。不知火遊璃は苦痛の日々を送っていた。自分の部屋から一歩でも出てしまえば、メイドや使用人から白い目で見られた。中にはヒソヒソ話をしている人もいた。
別にヒソヒソ話はどうでもよかったけど、自分に聞こえるように
「あいつ早くこの屋敷から消えないのかな?」
「不知火家の恥さらしめ」
「なんで生きてるの?」
そう悪口をいわれるのは、胸の奥がぐっと締め付けられとても苦しくて泣きたい衝動に駆られた。
けど我慢して泣かなかった。
だけど痛かった。
体術の鍛錬をしていて、よく怪我をするけどそんな怪我は1週間もたったら治った。
だけどこの胸の痛みはずっと消えてくれなかった。
しかしぼくは、外では平然としていた。ヒソヒソ話も悪口も聞かないようにした。
だけど自分の部屋に戻るとせき止めていたものがどんどん溢れてきた。それを抑えることなんて僕にはできなかった。
そればかりか、傷ついた傷口がどんどん広がっていった。
誰かにこの傷口を埋めてほしいけど、その傷を埋めてくれる人はいなかった。
だから余計悲しさが増した。
そして毎日泣きながら思った。
「ねぇなんでなの神様?」
「なんで僕だけ魔法が使えないのかな?」
「僕もお父様のように炎の魔法を使いたいよ。」
「もう僕悪口いわれるのいやだよ!!!!」
少年は神様にそう問いたが、答えは返ってこなかった。
そうして夜はどんどん過ぎて行った。
朝7時 ベットから起きて、また憂鬱な一日始まるなぁと思っていたら、ドアがコンコンとなり、老人が入ってきた。
「おはようございます坊ちゃま。」
「おはようセバステル」
ぼくはできるだけ微笑んで笑ったけどセバステルは心配そうに僕を見つめていた。
こんな僕でもセバステルとお母様だけは僕のことを心配してくれた。
だけどお父様は口さえ聞いてくれない。
「坊ちゃま今日はどのようなご予定でしょう?」
「いつもどうりだよ。」
「そうでございますか。では朝ごはんができてますので冷めないうちに召し上がってください。」
「わかったよ。すぐ行くよ」
「では失礼します。」
そう言ってセバステルは仕事に戻った。
食卓にいくとお父様とお母様それと従妹の不知火蘭と蘭の両親の不知火綾香と陽が座っていた。
珍しいなぁと思いつつ挨拶した。
「おはようございますお母様、お父様、」
「伯父さま達もおはようございます」
しかし、返事は返ってこなかった。
それは当り前の事だった。
だってぼくは、僕の存在はまさしく害虫、お父様や伯父様何もしてないのに、僕のあの事件のせいで恥もかいたはずだ。
なので嫌われても仕方ないむしろセバステルやお母様のほうが珍しいのだ。
場を気まずくしないために早くご飯を食べてある部屋に行った。
そこは、あの事件が起こった場所、魔力を測定するところだ。
そこには魔力を測定する、水色の水晶玉だけが机の上に乗っている殺風景な部屋だった。
そんなことを考えてると、部屋の前に着いた。
ドアを開けると、よっしゃぁー上がってるとかあんまり変わらないなぁーそんな声が聞こえる。
どうやら先客がいたようだ。
顔見てみるとぼくをよくいじめてくる子達だった。
その中のガキ大将的な存在の奴が僕を見つけると、まるで新しいおもちゃが来たかのような眼で僕を見て
近寄ってきた。
「おい、落ちこぼれが何でこんなところにいるんだ?」
「ここは、魔力を測るところでちゅよ。」
「道に迷ったんでちゅか?お兄ちゃんが教えて上げましょうか?」
そうバカにして爆笑していた。
周りもそれに釣られてゲラゲラ笑いだした。
僕はそれを無視して目をつぶり、
「ハアアアアア」
水晶に手をあて水を流し込むようにイメージした。
目を開けて見てみたが、目の前にあるのは、イメージをする前の水色をした水晶玉だった。
それを見て周りの奴は
「ハハハハ こりゃ傑作だ。本当にお前ザコだな。」
「落ちこぼれ君はどんな魔法がつかえるんですかーー?」
僕がその言葉を聞いた時、僕はどんな表情をしていただろうか?
憤怒?
悲哀?
僕にはわからないでも僕は相手を睨んだんだと思う。
それにきずいたガキ大将は、僕の胸倉をつかんで怒鳴ってきた。
「おい、てめぇなんか文句でもあるのか?」
「べつに何でもないよ」
「お前さっき俺を睨んだだろ?」
「いや睨んでないよ」
「嘘つけ!!」
「もし睨んでいたなら謝るよでも悪気はなかったんだ。」
「ごめん」
「チッ」
「まぁいい今度そんな態度とってみろただじゃすまないぜ?」
そういって4人とも出て行った。
4人が出て行ったのを見て、僕は思いっきり壁をけった。
「クソ」
あの時言い返せない自分が情けなくて死ぬほど悔しい。
でも逆らえない。
なぜって?
理由は簡単。
あいつらが魔法が使えて、僕が使えないからだ。
この差は大きい。
あいつらは腐ってもちょっとは不知火家の血が流れているから下級の火の魔法を使える。
相手が一人ならなんとかできるけどさすがに4人は無理だ。
だから僕は思う。
「欲しいんだ」
何にも屈さない力が 絶対的な力が
自分の強さが貫き通せる強さが・・・・・
僕の結論から言うとあいつらが悪いんじゃなくて弱い自分が悪いんだと
あいつらが強者で僕が弱者ただそれだけだ。
動物でもそうだ、弱い者は殺され、強い者が生き残る。
僕がシマウマであいつらがライオン
僕が平民であいつらが貴族
ただそれだけ。
強い奴だけがこの世界に生き残る。
それが僕が思う強さの定義。
朝から胸糞悪い気分になったので、紅茶でも飲んで勉強しようと思ったので、セバステルに頼んで紅茶
を入れてもらい勉強をした。・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コンコン
「はい」
ガチャ
「セバステルです。」
「何か用?」
「坊っちゃんもうお昼ですよ。」
「え?」
よほど集中していたのか、もうお昼になってしまっていた。
ご飯でも食べるか、そう思いセバステルに頼んでサンドイッチを作ってもらい庭で食べた。
サンドイッチを食べた後あるところに向かった。
そこは屋敷から500m先にある魔法訓練施設「ガスファロスト」
不知火家の領土の子供や大人が魔法の訓練や体術に励む場所で多くの偉大な魔法使いを輩出している場所。
そこには、鬼の教官やら不知火流体術を教えてくれる師範などがいて、戦闘に関してのノウハウを叩き込まれる場所である。
広さは、王都の王宮と同じくらいの大きさらしい。
僕は行ったことがないので、王宮がどのくらい大きいのかしらないけど・・・
実際4歳からきているが1年たっても地図を見ないと必ず迷子になってしまう。
だから無駄に広い分誰もいないところで魔法の練習をする。
まぁ成功をした試しはないんだけど、それでも弱い魔法でもいいから使えるようになりたい。
こうしていれば、いつかはつかえるんじゃないか?そう言う願望というよりかは自己満足なんだろうけど
、それでも何もしなよりかはこっちのがしょうに会ってる。
とりあえず練習しよ・・・・・・・
「火球よ我が意志に答え具現せよ」
「ファイアボール」
詠唱をして術名を叫んだが火はおろか何も起こらなかった。
ああああああああ、、
「ファイアボール」
「ファイアボール」
「ファイアボール」
「ファイアボール」
「ファイアボール」
「ファイアボール」
「ファイアボール」
そう叫び続けたがやっぱり火が出ない。
わかっていたけどやっぱつらいなぁ・・・・
1時間ほど魔法の練習を続けた。
周りから見たら無駄な気がするが練習を終わらした。
次は僕が最も得意とする体術を教えてもらうために30分ほどかけて教官室に行き、ある人物を探す。
「コンコン」
「緒方師範いらしゃいますか?」
奥からホーイという声が聞こえた。
覗いてみると、白髪の老人が笑みを浮かべて歩いてきた。
「こんにちは、師匠」
「オオ、遊璃か、今日も鍛錬かの?」
「はい。お忙しくなかったらでいいのですが・・・」
「わかった。まっとれ。」
しばらくすると、着替えて出てきたので鍛錬室に向かった。
鍛錬室に着くと準備運動をして組み手をした。
「行きますよ師匠」
「来い」
先攻したのは僕だった。
1年間で徹底的に走りこみをしたぼくは5歳児とは思えないすばやさで相手に向かっていた。
前に全力で拳を振るったように見せかけた。しかし、それはフェイク師匠はガードしようとしていたので
一瞬で後ろに回り込み後頭部を狙ったが、殴る前に、裏拳が飛んできた。
「クッ」
とっさにガードしたが、吹き飛ばされた。
「なかなか良かったがな。まだまだ甘いのぉ」
ほっほっほっほと高らかに笑っている。
「まだまだ」
と果敢に突っ込んだが圧倒的な力差があり、また吹き飛ばされた。
それでも僕は立ち上がり一心不乱にパンチの応酬、しかしヒョイヒョイと避けられてしまう。
そうして
手を掴まれ背負い投げで投げられそうになったが、僕はただでは投げられまいと思い、器用に着地してカウンターで背負い投げをしたけど、師匠は器用に着地して僕の足を高速ではらいお腹に強烈な回し蹴りを繰り出した。
不知火流体術「獅子脅し」
僕は「しまった」とおもったけど時すでに遅し。
強烈な痛みが腹に来てそのあと、浮いた感じがしたけど、ブッ飛ばされた事を悟りあまりの痛さに意識を手放した。
次に起きたのは、次の日の昼だった。
師匠曰く本気でやりすぎたらしい。
今日は鍛錬をする気にもなれず軽いジョギングと魔法の練習をして寝た。
次の日またガスファロストで緒方師匠に不知火流体術を教えてもらっているときに、ふいに緒方師匠がこんなことを言った。
「急きょ一か月後、不知火家領内で武道大会があるからお前も出ろ。」
「へ?」
「だからお前が武道大会に出るのじゃ」
「・・・・」
「ほんとにぼくがでれるんですか?」
「心配するな、お前の実力なら蘭くらいしか相手にならんだろう。」
「え?蘭もでるんですか?」
「そうとも」
ぼくは内心わくわくしていた。
蘭は歴代不知火家の中で魔法のセンスがいいという事で有名だったけどそれだけにとどままらず、接近戦でもかなり強いらしい。
一度手合わせしたいと思っていた所だった。
俄然やる気が湧いて来た。
「ホッホッホ楽しそうな眼をしよって」
緒方は微笑ましく笑っていた。
当の本人は
「さぁ一か月後が楽しみだ。」
そう生きこんでいた。
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