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6.5話~残響~

今回は閑話休題で本筋の補完のお話になっています。


「わがままに付き合ってもらって、ありがとね」

私はある場所を目指しながら、隣を歩くレイスに礼を言った。


「いや、アリサの心境を考えれば、当たり前だからな、

むしろ一人で行かれなくて、よかった」


レイスは屈託のない顔で、

「頼ってくれてうれしいよ。」

と悪気なく言った。


「あなたって、たまに恥ずかしい事言うよね」

と真顔で返す。


(こっちまで照れるじゃない――)

と内心でドキドキしながら表情に出さまいとした結果、真顔になった。


「えぇっ!?……そうか?悪い……」

レイスは落ち込み、何やらぶつくさと言い始めた。


しばらくすると、目的地の入り口についた。



―――私にとって因縁の場所、《魔法都市・アンスリウム》の地下水路である。


「ここからは気を引き締めよう」

そう言ってレイスは剣と盾を構え先頭に立つ。


―――先日、どうしても諦めきれなかった私は、一度だけでいいから

地下水路を探索したいと願い出た。


レイスは、ある程度予想してたみたいで、その話をした瞬間快く受けてくれた。



「何かあったら、すぐにそれを使ってくれよ」

レイスは前を見ながら、声をかけてくれた。


出発前に、ある道具をもらった。

見た目はただの石ころに見えるが、衝撃を与えると轟音を発するという"鳴響石"


地下水路にいる魔物は大半が大きな音に弱いらしく

緊急時はこれを使えばなんとかなるらしい。


「おっと、早速お出ましだな」

レイスがそう言うと、目の前に一匹の巨大鼠が現れる。


「ここは、私にやらせて。」


レイスが戦おうとしたのを制止して、私は木刀を手に前に出た。


彼は一瞬、止めようとしたが私の覚悟が伝わったみたいで、道を譲ってくれた。


―――この世界で生きていくんだ、鼠なんかでビビっていられない。


呼吸を整え、目の前の"敵"に集中する。


巨大鼠が私に突進してくると同時に

私は勢いよく頭を叩きつけ脇を通り抜けた―――


ビクンビクンと痙攣する巨大鼠。


トドメを―――刺さないと――――


私は息を荒げながら腕を上げ、瀕死の巨大鼠に近付く・・・


しかし、そこでレイスの手が、私の腕を掴んだ。


「よくやった、もう大丈夫だ」

とても優しい声と共に、振り上げた手を降ろされ、私はどっと息を吐く。


レイスは素早く巨大鼠にトドメを刺すと、

「全て背負わなくたっていい、君の覚悟はもう伝わったから。」


彼は、とても優しい表情でそう言ってくれた。


「うん、ありがとう……」


そう言うと同時に、気負っていたものが、胸の中から抜けていき、心が軽くなった。



―――――――――


二時間程地下水路の中を歩き続け、


「多分、この辺だと思うんだけどなぁ」

レイスはそう言って、地図を広げながら辺りを確認している。


「うーん……あっ!あれっ!」

私は見覚えのある物を見つけ駆け出す。


「ここ!この水路とこの壁・・・間違いない!

 ここで私は蝙蝠に襲われて水路に落ちたんだよ!」


アキと別れた場所に辿り着き、私は語気が荒くなる。


「なるほど、ちょっと耳を塞いでてくれ、かなり強めにだ」


レイスがそう言うと、先程私が貰った"鳴響石"を床に叩きつけ―――


『誰かいるかぁ!?俺は、救助に来た人間だー!』

と、バカでかい声で叫んだ。


近くに居た私は

耳を塞いでいてもしばらく"キーン"という音が耳に鳴り響いていた。


「よし、これで多少遠くに居ても、聞こえるだろ」


「ここは構造上、音が響き渡りやすいから

 生存者がいるなら反応があるかもしれない。」


(なるほど……合理的、だけどもうちょっと説明してほしかった――)


私はそう思い、しばらく耳鳴りに悩まされた―――


「反応がないな、仕方ない、痕跡を探すか。」

時間にして十分程度待ってみたが、何も反応がなかった。


仕方なく、私達は何か残っていないか探し出した。


この辺は魔物が多い危険区域な上に、光源が少ない為見通しが効かない。


はぐれないように、レイスの提案で、彼の肩を掴みながら探すことになった。


――ちょっと恥ずかしい。


十数分探し続けると、何か物が落ちているのを発見した。


「これは……」


それは……生前、アキが身に着けていた小さなリボンだった。


―――昔、私が誕生日にあげた物で、宝物と言っていつも身に着けていてくれた。




簡単には外れないそのリボンには―――血が付着していた。





―――私はそれを握りしめると、自然と涙があふれ始めた。




――――――その後、一時間程地下水路を探索したが

何も見つからず、引き上げることになった。



「ありがとね、レイス」

私は胸に、アキのリボンを抱き締めお礼を言った。


「……大丈夫か?」


「うん……いや、つらい……けど、私は生きてるから、みんなの分まで、頑張るよ。」


強がりだけど、でも、今はこうして言葉に出さないといけない気がした。


「そっか、帰ったら女将さんに報告して、とびっきりの旨い飯を作ってもらおう

 俺が奢ってやるよ。」


レイスはそう言うと、私の背中を優しく叩いてくれた。



―――宿に帰ると、感動した女将さんに大量のご飯を食べさせられた

―――でも、みんなでご飯を食べた時、この世界にちゃんと居場所があるんだと

―――そう、思った。


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