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貞操逆転世界で出会い系アプリをしたら  作者: 普通


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【後編】ファーストコンタクト

その後もメッセージをしてくれた人に返信した。そして全て終える頃には最初の方に送った方から返信がきていた。



あおいさん。


『よろしくお願いします!失礼を承知でお聞きするのですが、ユウさんは本当に男性ですか?』


これはどういう意味だろう。

僕はもちろん、男だ。この感じだと男じゃない人が男って登録していたりするのかな。



あんまり分からないけど、僕はメッセージに返信した。




『もちろん、男ですよ』と。


すると数秒もしないうちにまたメッセージが送られてきた。



『そうなんですね!私、男性とお話するのは初めてなので緊張しています』


あ、じゃあ、相手のあおいさんも僕と同じ感じだ。僕も女性とこんな風にやり取りをするのは初めてだし、正直どんな風な会話をすればいいのか分かっていない。それでもメッセージを続けるために返信する。



『僕も女性の方とメッセージでやり取りするのは初めてなので、改めてよろしくお願いします。仲良くなりたいので気になったことがあったらどんどん聞いて下さいね』


お互いに理解を深めることは本当に大事なので、こっちがオープンなところを示すのは大事だと思う。こんな風にメッセージを送ってくれたということは少しぐらいは僕とお話してもいいと思ってくれているはずだし。


そんなことを考えているとまたすぐに返信がきた。



『ユウさんは女性とお話するのが怖いですか?』


なかなか核心を突いたような質問だ。というかこの国で女性のことを恐れていない男性などいないのが常識だ。それは今の僕も同じことだ。


確かに一歩踏み出そうとはしているし、女性への恐怖心や不快感などは他の男と比べれば少ない方だと思うけど。




『面と向かってお話するのはちょっと怖いです。でも、僕はいずれ面と向かってお話できるようになりたいと思っています。なので、少しでも慣れるためにこのアプリを入れたんです。あおいさんは男性とお話することは嫌ではありませんか?』


僕は女性のことをあんまり知らない。女性と話したこともほとんどないし、僕が知っているのは男性が女性に襲われたりするぐらいの情報だ。それぐらいしかない。これからあおいさんがどんな人かを知るために質問することにした。



これまたすぐに返信が来るので、今の時間はあおいさんも時間が空いているのかもしれない。



『いえ、むしろ楽しみです。今まで男性とお話したことがなかったので、ユウさんみたいな方に出会えて私は幸せです』


そこまで言われるようなことをしていないと思うけど。僕が現状、あおいさんとしたのはただ何回かメッセージのやり取りをしたぐらいだ。


それ以上でもそれ以下でもないはず。だけど、そう思ってくれているなら嬉しいし、僕も同じ気持ちであることを伝えよう。




『僕もあおいさんのような素敵な女性に出会えて嬉しいです。これからもっとお互いを知っていきましょうね』





送り終わるとあおいさんのメッセージ欄を閉じて、岬さんの方に移った。




岬さんからは返信で『よろしくお願いします。私のような子持ちでもいいのですか?』


別に子持ちであることが何か関係するのだろうか。僕としてはメッセージでやり取りができる女性であればどんな方でも構わない。



『岬さんとお話したいんです。それに僕は子供とか育てたことがないので分からないですが、子供を育てるのはとても大変だと思います。それをしている岬さんはとても素晴らしい方ですよ』


母親とかほとんど話せていないし、顔すらも覚えていない。でも、母親には感謝をしている。元々多少なりに感謝はしていたものの、前世の記憶を思い出したことでその気持ちがもっと高まった。いつかどこかで会えたらしっかりと感謝を伝えたいと思っている。


10分くらい経った後に岬さんから返事が来た。



『ありがとうございます。そんな風に言ってくださる方がいるとは思ってもいませんでした。これからもっとユウさんのことを知って行きたいです!こんな私ですけど、よろしくお願いします』


今のところのやり取りをしていて思うのはどの方もメッセージが優しくて、すぐに返信してくださるのは本当に有難い。個人的にはちょっと早過ぎて困っちゃうぐらいには早いですし。


僕も岬さんへの返答を送ることにした。



『僕も岬さんのことをたくさん知りたいです。岬さんは趣味が散歩だと書いてありましたが、他にあったりしますか?』


お互いを知って行くことで理解を深まる。


まずは僕も自己開示していき、相手の方にも多少なり自己開示をしてもらうことが本当に大事だ。




次の方に移ろうかなぁと閉じようとしたところで岬さんからのメッセージが帰って来た。



『散歩以外だと料理を作ることとかですね。家事をしないといけないので、料理は絶対にするんですが、たまに休みの日になるとお菓子作りとかもしたりしますね』



へぇ…お菓子作り。


自分で家事をすることはあるけど、お菓子作りまでしたことはない。まずこの国の男は生きて、精子を提供していればいい。逆に言えばそれが精子を提供することが存在意義。そんな男は政府に要請すれば使用人を派遣してもらえる。



その使用人は女性であるが、国が派遣してくるぐらいなので襲ったりしない。たぶん、使用人になるのは何か特別な訓練でも受けないといけないのだろう。それもあってか使用人が男を襲ったというニュースは今まで1度もないのだ。


僕もその使用人制度にお世話になることはあるものの、最近はなるべく家事に関しては行うようにしている。それは前世の記憶に目覚めたというところが大きい。その前世の記憶も断片的で全然完璧と言えるようなものではないけど。




僕がしばらく考え事をして返信しないでいると岬さんからメッセージがまたきた。


『やっぱり料理と散歩が趣味の女ってつまらないですよね。ごめんなさい』


別に僕はそんなこと思っていないのに、勝手に自己完結してしまっている。これはどうにかして誤解を解かなければいけないと感じて、すぐに返信した。



『いえ、そんなことありませんよ。僕もたまに料理をするのですが、やっぱり難しいです。なので、いつか機会があれば岬さんの手料理も食べてみたいです』


まぁ…会うにしてもかなりやり取りした後かな。今の段階で会うことはあんまり考えていないのが現状ですけど、やり取りを繰り返していって信頼関係が高まって、会ってもいいとお互いに思った時に会おうかな。



僕だけじゃなくて、岬さんの方も色々とパートがあったりと忙しいだろうし。そして端末に視線を落としていると通知がきた。



「本当に早いなぁ…」


ここまで早いとさすがにちょっと怖く感じる。僕が返すことで返さなくちゃいけないみたいな強迫観念に囚われているわけじゃないよねと少し心配だ。



『ユウさんのためなら腕によりをかけて作りますよ!!絶対に美味しいって言ってもらえるように!!!』


さっきまでは落ち着いた感じのイメージがあったけど、このメッセージはとても前のめりな感じが伝わって来る。



「そこまで言われるといつか会ってみたいな」


ハードルは高いけど、いつかそんな日が訪れてくれたらいいなぁと思った。そして最後にしっかりと岬さんに返事をして次の人に移ろう。



『楽しみにしていますね。岬さんが作ってくれるんでしたら、僕もその日まで料理を勉強してしっかりと岬さんに美味しいと言ってもらえるようなものを作りますね』






そして次に連絡が来ていたのはカエデさんだった。


『返信ありがとね☆ユウさんって面白いね!」


カエデさんは前の二人に比べれば文字数は少ないけど、そこが友人的な感じで良い。元々、僕がこのアプリを始めた理由は友人を作ること。その目的を達成するという意味でカエデさんはいい。


前の二人に返していた分、ちょっと時間が経ってしっているので早く返信することにする。



『そんなに面白い人間ではないと思いますよ。でも、カエデさんからそんな風に言ってもらえると嬉しいです!』


送り終わると僕はちょっと大学に関する情報を調査することにした。調査と言ってもスマホで検索してみたり、SNSで通う大学名で調べたりするだけ。そこで分かったのは……ただ女子が多いというだけ。これ以上の情報はほとんどない。



「まぁ…そうだよね。ほとんどというか99.9%以上が女子なわけだし」


SNSでは女性同士が撮った写真が多く投稿されている。その写真をちょっと眺めているとカエデさんから返信が届いた。



『ユウくんって褒めてくれるからカエデ嬉しい☆ それでユウくんって写真送れたら服のまんまでいいからお願いできないかな?』


まさかそんなことを言われると思っていなかった。



「写真かぁ…」


抵抗がある。


顔を出すのは…ちょっとさすがに。


絶対に漏らさないという約束をしてくれたとしても、不安は残る。




でも、カエデさんは僕が写真を送って欲しいと言っている。相手が望んでいるのであればなるべくそれを叶えてあげたいという気持ちはやっぱりある。それにここから友達としてやり取りをしていく中である程度の信頼を得たい。その一歩目と考えれば写真を送るのは…いいかもしれない。



僕は悩んでも仕方ないと思い、意を決して自撮りをすることにした。


今まで一度もしたことがないので撮れた写真を見てもよく撮れている方なのか、全然ダメなのかが全く分からない。なので写真を送ってメッセージで『これでどうですかね』と添えた。



どんな返事をしてくれるのか、ちょっと気になるので今回は画面を変えることなく、返信が来るのを待つことにした。



1分後に返信がきた。


『とっても可愛いですね』


まさか可愛いと言われるとは思っていなかった。自分で自分の顔を見てそんな風には思わないし、他の人というかたまに友人に会ってもそんなことを言われたことはほとんどない。


「これに対する返信って一体なにがいいのかな」



今までの返信の中で一番何を送れば良いのか悩む。ここで何を言うのが一番無難に受け取ってくれているんだと…



5分近く悩んだ末に僕が出した結論は――――――


『ありがとうございます!』


これが一番無難のはず。


これ以上に適した言葉を見つけることができなかったというのと、これ以上送らないのはさすがにマズイと思ったのもある。


相手には僕が見たことは分かっているのだ。既読と付いて5分近く経っていることもあって、さすがにここで返信しないのはまずいかなって。この既読機能がなかったらもうちょっと悩めたんですけどね。






その後も色々な方とやり取りをしていると、気付いた時には日が傾き始めていた。その日から少し出会い系アプリを使う時間を制限しようと思った。

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