海野彩葵②
ユウさんとのやり取りは私の人生に色を与えてくれた。今まで別にモノクロの世界に生きていたわけではないですけど、やっぱり見せる世界は変わったと思う。
それぐらいユウさんとの出会いは私の人生の転換点になった。
この人とやり取りをするために生きている。
結ばれるなんて…おこがましい。
もちろん、お互いに同じ気持ちで結婚するなんてことがあったら、発狂するほど嬉しい。だけど、私は私という人間が分かっている。そんな高望みが出来るような人間じゃないってことも。
それでもユウさんと今みたいにやり取りを続けられるだけで私は嬉しい。こんな時間がいつまでも続いてくれればいいと思ってしまうほどに。
生きていてこんなことを思う日が来るなんて思わなかった。
そんな時にアップデートに関する通知がきた。
アップデートの内容は私の鼓動を早め、携帯を持つ手が震える程のものだった。
「…会えるかもしれないだけで嬉し過ぎて死にそうなのに、課金をすればあんなことやこんなことをしてもらえるかもしれないってこと!?」
アップデート内容の全てに目を通したわけではない。それでもギフトや仮想空間のことなど…目を疑う内容が記載されていた。
「さすがに公式のメッセージでウソの告知をするわけないと思うし、本当にこれが実現するのかな」
半信半疑であるものの、公式からのメッセージなので信じられる。
もし、この仮想空間が実現してユウさんに会っても安全だということを示せれば、生身の体で会える可能性も少しずつ上がっていく。
そういう意味でもこの仮想空間はとても重要。アバターという形であるものの、それを操作しているのはユウさんだ。
なるべく失礼な態度を取ることなく、好感度だけ上げられればいい。
そこまで考えてやっぱり自分はメッセージだけじゃ満足できていないんだとわかった。最初は男性とメッセージだけでも全然満足だったのに、目の前にアバターとはいえ仮想空間で会えると分かった途端に…いつか会えたらと思ってしまうところに強欲さが出ている。
「で、でも…やっぱり会いたいと思っちゃう」
ユウさんと二人でドライブだったりしたいし、食事も一緒にしたいし、出来ることなら一緒のベッドで寝たい。考え出したらいくらでもやりたいことが思い付いちゃう。
だって少しでも近づきたいから。
アバターだとしても、ユウくんと会うのは初めてのこと。緊張しないなんて無理だと思うし、それは今更どうしようもない。
これからするべきことは仮想空間が実装されると考えて、色々と準備をしておくことかもしれない。
まずは話題の準備は必須。私たち、女が話す話題と男性の話題は違うはず。しっかりと会話の準備をしておかないといけない。
あとはやっぱり距離感。
普段の距離感で話に行っちゃうとさすがに怖がられると思うし。その辺りもしっかりと注意を払っておかないと。
これから起こることを考えるとやっぱり緊張するけど、今はそれよりも楽しみが上回っている。




