第4話 あれ?俺、また何かやっちゃいました?
「あぁ? なんだお前? まったくあの役立たず共は何してやがる……今からお楽しみだったのによぉ!」
「セレナ……何で戻ってきたの! 早く逃げなさい!!」
「母上!! お前、母上に何をした!! 」
男は宝物に囲まれた椅子からゆっくりと立ち上がるとだるそうに答える。
「何って、見てわからねぇのか? 言うことを聞かねぇからちょっと痛ぶってやっただけだ」
「本来ならガキを人質にしていうことを聞かすはずだったのに、お前が逃げたからこんなことになっちまったんだぜ?」
あの指輪に首飾り、着ているものが全て魔道具のみたいだ。
とりあえず、情報を聞き出せるか試してみるか?。
「お前は誰の指示で動いている? 野盗風情がそんな魔道具を手に入れられるとは思えない」
「誰が言うかよ! 口の利き方がなってねぇガキにはお仕置きしねぇと……なっ!!」
やっぱりダメか、野党はとてつもない身体能力で一瞬にして距離を詰めてきた。
突進の勢いを利用したパンチを避けると後ろにあった石の柱が砕かれガラガラと天井の一部が崩れ落ちる。
「ほう、上の奴らを始末しただけあってなかなかやるじゃねぇか! 常人なら今のであの世行きだぜ?」
「逃げて! 私のことはいいですから、セレナを連れて早く……!!」
セレナの母親はボロボロの身体を引きづり鉄格子にしがみつきながら声を荒げた。
「大丈夫だ、そこで待っていてくれ! すぐに助ける」
俺は剣を納めて男に背を向け、魔女が囚われている牢に歩き出すと男が言う。
「助けるだと? ハハッ! 俺を倒せるとでも思ってるのかよ!!」
「ほら、忘れ物だ」
俺は切断した拳を放り投げると、男は足元に転がったそれを取ろうとして自らの体の異変に気づく。
「手が……俺の手がねぇ!!! テメェ!! 何しやがった!!? 俺の身体は魔道具の力で鋼鉄並みの硬度になってるはずなのに……!!!」
右腕を押さえ痛みに悶えながら立ち上がると、さっきまでの余裕じみた態度とは違い焦ったように怒鳴る。
「スキルだな? ハァ、グウッ……! テメェ……妙なスキルを使いやがったな!!」
「お前ごときにスキルなんて使うわけないだろ? 本来、魔道具は装備者の能力を補助するために使われるんだよ、魔道具に使われているようじゃまだまだ三流だ」
「クソ!!! クソがぁ!!!! 死ねぇ!!」
冷静さを失った男は挑発にまんまと乗り、残った方の拳で殴りかかってくるが。
「ヒュ……」
剣を一閃すると首を飛ばされあっけなく死んだ、。
「母上!! 大丈夫ですか!! 鍵が無い……どうすれば!」
「セレナ……よく聞いて……この牢には特殊な鍵と結界がかけられているわ、鍵はそいつが持って……うっ……ハァ……ハァ」
セレナの母親はそう呟くと苦しそうにうめき声をあげる、だいぶダメージを負っているようだ……早く牢を開けて治療しないと不味いな。
野盗の身体を調べると確かに鍵は見つかった。
手と共に真っ二つに切断された鍵が。
「………………………………」
「おい! ノエル! 鍵は見つかったの……か…………」
俺が現実を受け入れられずに固まっているとセレナが駆け寄り、持っているそれを見て無言になる。
一息おいて。
「ど、どど〜〜するんだ!!? これ完全にお前のせいだよな!!? これじゃあ母上を助けられないじゃないか!! この人殺し!!」
い、いや焦るな! まだ手はある! 聖剣の能力を使えば解錠できるはずだ……多分。
泣きそうなセレナの横を通り牢の前に立ち、手をかざし“解錠の聖剣”の能力を使うと“カチャ”という音とともに牢が開いた。
聖剣は選ばれた者にしか抜けない代わりに手に入れると所有者の体内に内包される。
わざわざ聖剣を取り出さなくても能力だけは使用可能なのだ。
まあ、その代わり実体化させて使うより能力は遥かに劣るが。
「あ、開いたのか!!? 母上!!」
「セレナっ!! よかった……、ありがとうございます! 私は魔女のアルウィと申します」
牢が開くとセレナはすぐにアルウィに駆け寄り抱きついた、何とか開いたか……焦った……。
「初めまして、俺は冒険者をしているノエル・ハーヴィンだ、ご無事で何より」
挨拶を済まし俺はアルウィの傷を治癒すべく“治癒の聖剣”を使用すると背中にあった傷が綺麗さっぱりと消え去っていた。
「傷が……! 何とお礼を申し上げてよいか……これ程の回復魔法を無詠唱で扱える事といい、先程の剣術といいお見事でした」
「ありがとう、だが今はここから出てあなた達を家に帰すのが先決だ、立てるか?」
アルウィとセレナを立たせると俺たちはアジトを後にした、ちなみに魔道具と宝物はしっかりと回収してきた。
ここまでにあったことを話しながらセレナ達の家に向かっていたのだが。
「ずいぶんでかいな……」
そこにあったのは巨大な木で作られた立派な家だった、その反応を見たセレナは満足そうに首をうなずかせながら自慢してきた。
「どうだ人間! これは母上が作り上げた物なんだ!! 恐れ入ったか?」
いや……お前は作ってないじゃん、と思ったがツッコむとまたうるさそうなの黙っておこう……。
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