第6話 俺に触れるな!やけどするぜ……?ドヤっ!
まさか帰ってきた瞬間に絡まれるなんて……どうやら神様は俺のことが嫌いらしい。
「テメェか? 俺のかわいい子分をやってくれたのは?」
ギルドのに入るや、ザ・上級冒険者代表みたいな風貌をした巨大な男がもう使い古されたであろう。
小悪党のようなセリフを吐きながら俺に近づいてくる。
「オイ! お前、こんなヒョロイガキに負けたのか!?」
「はい……そいつ妙なスキルを使ったみたいで……」
コイツにスキルを使ったことはないのだが……まあここで否定してもめんどくさいしもうこのまま流されよう。
この後の流れはもう決まってるしな。
「オイ!! ガキ!! テメェの有金全部ここに置いていけよ? そうすれば無傷でおうちに返してやるよ! ヘヘッ!!」
どう考えても許す気はないという態度だ、付きまとわれてもめんどくさいしここで始末しておくか。
「ククッ!! 女連れとはなかなか余裕だな? こんなやつ俺と兄貴にかかれば余裕だぜ、ボロボロになったお前のまえでそのガキ犯してやるよ!!」
「冒険者同士の争いは決闘でと決まってるからな! もちろん受けるよな? ハハ!!」
…………。
「決闘のルールは?」
「安心しろ! ルールは簡単だ! 行動不能になるか死んだら負けだ!! ハハハ!!」
「分かった……【死んだら負けだな?】」
最初は小さな変化だった、酒を持つ手がわずかにプルプル震えるだけだったがやがて大きく、ジョッキを持てない程の震えに襲われ酒を落とす。
“その場にいた全員が同じ現象を体験した”床にはジョッキが転がり全員が動きを止め喧騒に満ちていたギルドは物音一つしない空間に変わっていた。
マズイ殺気を出しすぎたか……少し落ち着かないと。
「ハッ……! ハッ……! い、今のは……何だったんだ? まあいい、決闘場はコッチだ! オイ、そこの女、聞いてたろ! これから決闘する! さっさと案内しろ!」
怯えた様子の受付嬢に案内されるとかなり広い空間が目の前に広がっていた、ここが決闘場……見届け人はあの受付嬢ひとりか。
「セレナ、今日の晩御飯は何がいい? 俺はあの串焼きがいいと思ってるんだが……」
「そ、そんなことを言っている場合か!? お前の命と私の貞操がかかっているんだぞ!!? お前の強さは知っているがあんなデカいのに勝てるのか!?」
少し冷静になったから、震えをとるためにした会話だったのだが、あまりの場違いな発言だったためかセレナがギャンギャンと喚き出した。
「もし、お前が死んだら……死んじゃったらっ…………!」
「セレナ……」
「あの串焼きがもう食えなくなってしまうではないか!!!」
このクソガキは後で本当にどうしてくれようか? 俺の感動を返せ。
まあいい、震えは取れた様だしこの様子なら大丈夫そうだ。
そろそろ始まるな。
「Aランク冒険者といえば単独でキメラを倒せるほどの実力なのだろう? そもそもお前は…………」
これ以上話すと長くなりそうなので、足早に決闘場の中心へと向かう俺にセレナが後ろからぐちぐちと文句を垂れている。
「あ! おい! 話はまだ……!!」
「大丈夫だよ、それよりほら、危ないから後ろに下がってろよ〜」
まだ何か言っているセレナを置いて、決闘場の中心で待っている男の元へ向かう。
すると、巨大なウォーハンマーを肩に担いで下卑た笑みを浮かべながら話しかけてくる。
「別れは済んだか? 速攻でぶっ飛ばしてやる!!」
「では、初め!!」
「ウオォオオオォ!!! 死ねぇ!!」
男は合図と共にウォーハンマーを上段に構え俺の頭に向かって振り下ろしてきた。
俺はめんどくさいと思いながら、剣で易々と受け流すとハンマーの軌道がずれ地面に激突し辺りに砂埃が舞う。
「ククッ……!! 口ほどにもない奴だったな…………」
今のが渾身の一撃だったのか砂埃の中の死体を確認せずに去ろうとする男に話しかけ。
「どうした? お前の攻撃はかすりもしてないぞ?」
まだ晴れきっていない砂埃の中から男の背中に向かって、声をかけると男は信じられないような顔をしている。
「何で生きていやがる……? 俺の攻撃は確実に当たったはず……」
「お前の攻撃がノロイから当たらないんじゃないか? ほら、ここに当てるんだろう?」
俺が頭を差し出し少し挑発してやると男は面白いように怒り、先程と同じ攻撃を何度も繰り返す。
「舐めやがって!! オラぁ!! 死ね死ね死ねぇ!!!」
馬鹿の一つ覚えのように上段からの振り下ろしを何度もする男を哀れに思いながら、攻撃を全て受け流していると地面から“ドゴッ”“ドゴッ”という打撃音が響き渡り。
遠くからはセレナの叫び声が聞こえる、まったく大丈夫だと言っているのに……。
「はぁ……はぁ……はぁ、こ、これで……」
「お前も学習しないな、Aランク冒険者がどんなものかと思っていたが……実力はピンキリだし、ハズレを引いたな」
「くそ!! この化け物が!! 死ね!!」
さて、そろそろ“反撃”するとしようか。
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