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桃髪の暗殺者  作者: 村山龍香
#2 回顧
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5.斉藤龍二(その2)

キャリーケースを回収した龍香と龍二はすぐさま二人で車にすべて積み込み、埠頭を離れる。

「一応言っておくが昼飯食う時間はないぞ。こんな危険物乗せたまま車から離れられないからな。」

「うい」

再び戻るまで長時間の運行となる。時間を持て余した龍二は龍香にたずねる。

「龍香さんはなんでこんな稼業で生きているんです?」

それに対し龍香は答える。しかしなぜだろう。

辻斬りであるのを否定した時ほど強い口調ではなかったが、触れてはならない話であるという気配はその時よりも強かった。

「あんたはただの私のここにいる間の世話人だ。裏事情を知ってる社員でもない奴にそれを細かに喋る道理はないな。まぁ一つ言えることがあるなら私みたいな極悪人が真っ当に堅気として生きていく資格なんざないんだよ。」

その気配を察した龍二は煙草を貰いそのまま黙り込む。行きとは打って変わって静かなドライブのまま、事務所まで戻った。


「頼まれた物は持ってきました。…一つお尋ねしますが中の物は堅気の人間に売る気はまさかないですよね?」

「いや、ないよ。()()()()()()()()()()()()()()()()()

そう龍二の組の組長は切り返す。しかし、情報は十分と龍香は部屋に戻ろうとする。

「なるほどな、()()()()()()()()()()()()。悪いがこの先の仕事は無しにさせてもらう。捨ててやらないだけ感謝しろ」

急に口調が高圧的に変わった龍香の行動に嘘はない。荷物を手早くまとめると本当に帰り支度を始める。

「待て!どういうつもりだ!」

「そこの筋肉ダルマにも言ったし契約書にも書いてあるだろうが。私の筋に合わねえ事があったら違約払い戻し無しで仕事打ち切るってな。それにあのシャブの山、全部事前に調べてんだよ。一般人拉致ってシャブ漬けにして裏風俗に売り渡してるクソ共に売りさばく気だろう。一般人に手を出すヤクザもそれに関わりのある連中も私は大嫌いだ。理由はそれだけだ。帰らせてもらう。今度仕事寄越すときにはそういう組に関わりのない仕事を考えるんだな」

そう言い、門から出ようとする龍香を男たちが止める。組長にここまで挑戦的な発言をした人間を、組の男どもが逃すわけがない。

「そこまで言い散らかして、無事で帰れると思うなよ?」

「ふん。暴力は給料のうちに入ってないが、殺そうとするなら話は別だ。いいだろう下っ端ども、医者に暫く面倒を見てもらっても怨み言を抜かさない奴だけかかってこい」

そう言うと龍香は長物の布を解き目の前に立つ男の片方の喉笛を白鞘の柄で思い切り突く。喉仏に人生で通常経験することはまずない重い一撃を受けた男はどうすることもできず倒れ悶える。もう片方は素早く懐に手を入れるが目にも止まらぬ速さで抜かれたその刀により手首から先が切り落とされる。

「んな至近距離でチャカ使おうとするバカがいるかよ。さっさと医者に行け、そうすりゃくっつくよ。 」

その後ろから更に男が二人出てくる。龍香の不意を打ち、銃で撃つ構えだ。

しかしその目論見がかなうことはない。素早く振り返った龍香は回転式拳銃を素早く抜いて四発放ち相手の拳銃を持つ手、逆手の肩に次々と命中させる。肩を抑え二人の男は蹲る。全員の動きをピンポイントで止める、華麗にして圧倒的な戦闘技術だった。

「わかったかタヌキ親父。殺しの仕事じゃねえから全員生かしておいてやってるだけなのもわかるだろう。組員総崩れの恥を曝したくないのであれば追いかけてくるなよ。それでも来るんだったら苦情は鉛玉と白刃で返してやる。」

そういい、龍香は今度こそ戸を潜り帰っていった。ただ一人を除いて、追いかける者はいない。


「やりすぎちまった。もう仕事頼みにゃ来ないだろうな。」

事務所に帰り、啖呵を切り仕事をキャンセルし戻ってきた自分の行為を一人しかいない事務所で省みているとチャイムが鳴る。()()()()()()()()()()()()()()()台詞を用意し、乱雑にドアを開ける。

「営業時間外だよボケナス。アポイントくらい…ってあんたあのタヌキ親父んとこの経理じゃねえか。何の用だ?報復ならしたら鉛玉って」

龍香の言葉全てを待たずして龍二は両膝をつき龍香の前に頭を垂れる。

「龍香さん、いや姐さん!俺姐さんの言動立ち振る舞い戦う姿全てに感服いたしやした!!俺を姐さんの元で働かせてください!!」

そう言う龍二に困った様子を見せた。息を吐くと、龍香は続ける。

「お前、身寄りは?あんなクソジジイと縁切るのはいいと思うがよりによってなんで私の所なんだ。それこそいい機会なんだから真っ当に生きてみたらどうだ」

「家族はとうの昔に捨てた身分です。それに今の俺が誠心誠意知恵と力を託せる方は姐さん以外にいません。どんな仕事でもします。ですから!」

「わかったよ。…私一人で裏稼業やるのは確かにキツいもんがあったんだ。裏会計といねえ間の表部署の誤魔化しやる人間を一応探しているんだが」


それが、斉藤龍二が村山龍香の元で働くことになった話だった。

「あれ以来、すっかり頭大人しくなったよな。」

「俺はここのバーで頭に金出してたがお前が消えてから何故か貢ぎ金減ったんだよな。なるほど、あの女にそんなどギツく絞られたのか。初めて聞いたが面白かったな。あ、こんなこと言ってたのは内緒にしてくれよ」

「関わりあんのお前くらいなんだから言うわけねえだろ。…代金いくらだ」

「一応1000円だが面白い話聞けたよしみでチャラに」

「一杯で1000円とか十分高いじゃねえか。まぁいい、姐さんだったら払うだろう。取っとけ。明日の夜は仕事がある」


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