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桃髪の暗殺者  作者: 村山龍香
#17 閑話(7)
48/55

47.恋愛事情

某日村山警備裏事務所。

一応置いてあるものの、龍香が「ネット見れば充分」という理由で殆どつくことの無いテレビが珍しくついていた。

龍香は自室におり、事務所にいるのは3人。年相応に興味のある真希と、既に諦めきった龍二とシェリルではかなり反応が違っていた。

「いいなぁ...」

「おーこんな純真な時期があったねえ俺にも。...あー頭痛え」

「あらあら龍二こんな歳から枯れてるの?」

「ふざけんじゃねえよ、こんな商売しててどうやって嫁なんか作るんだよ。今だってそんな好意の対象はいねえよ」

話をシェリルに振られると、テレビを居心地悪そうに龍二は消してしまう。彼は、極道になってからは仕事上の理由以外で女性に触れることは無い。

「えっ、龍香さんは?」

「バーカ。...あの人の事は世界で一番好きだし命尽きるまで忠誠は尽くす。だけど俺にとってそういう存在では少なくとも絶対にないんだよ。だから一生姐さんは俺より上の存在。」

「うーん」

「まぁ龍香は仕事人としては最高だけど人としては色々破綻してるしねぇ」

「シェリル、言葉は選べよ。お前が身内じゃないか男だったらその台詞だけで脳天に1発ぶちかましてるからな」

味方に対するものと言えど、しっかりと自身にとって気に入らない発言には釘を刺す。この手の仕事をしている頭脳職の人間としては本音を隠すことを極端に苦手としているシェリルだが、その声音で怒らせてしまったことはすぐに分かり大人しく訂正する。事務所では龍香に対してうだつの上がらない様子を見せることの多い彼だが、怒ればやはりその圧は威圧感のある体格も合わさり強い。

「...ごめんなさい。」

「案外素直だな。まぁわかったんなら許してやる。あと姐さんのことどう思おうがお前の勝手だが、俺の前で言うなよ。」

訂正もあり、龍二は矛はすぐ収める。誤りを認めた身内にそこまで厳しくあたるのは彼の流儀では無い。

「そういや真希、お前はどうなんだ。俺に聞くんなら聞かせろよ」

「うーん、いないかなぁ。私知ってる男の人とか龍二くんしかいないし。あと五年早く生まれてたら龍二くんはいい線行ってたんだけど」

「そのセリフ聞けんならあと五年遅く生まれたかったよ。俺も8つ下は対象外だ」

お互い、年齢さえなければ満更でもないと言った様子の会話をし話題を打ち切る。

仕事でしか異性との関わりのない3人からすれば仕方のないことであった。


一方、自室に1人いた龍香。事務所での会話が聞こえていたのか、ベッドに座り煙草を吸っていた。その顔は、普段龍二達に見せる極道としての鋭い顔ではない。

「何を思い出してんだ、私は」

過去の出来事を彼らの話で思い出したのだろうか、彼女が普段決して他人には見せない女性としての弱い面を見せた顔であった。


翌日。休養を取り終えたものの、仕事はなく龍香は淡々と龍二と共に事務処理を片付けていた。龍香が裏の仕事の帳票を処理し、龍二が表の警備会社の帳票を処理している。真希は小説を1人読んでおり、昨日の恋愛ドラマに続き想像に耽っている様子であった。

「何読んでんだ。私らは事務処理で忙しい。黙って本読んでるだけなら自分の部屋行け。」

「ちょっとそういうことにも少し興味あって...」

「諦めろ。私らみたいな壊れ者に人並みのそれを求める資格はない。」

殆ど具体的なことを喋っていないにも関わらず、何かが分かっているかのように龍香は返す。そして、その声は普段の厳しい彼女の声ばかりを聞いており5年も共に生活している龍二からしたら通常の否定の声とは少しばかり異なることにすぐに気がついたことであろう。

普段の否定と異なり、その声は軽く上ずり何かを隠したそうな弱い声。しかし、龍二はそれを深く聞くようなことはしない。そんなことを問うたところで何も喋りはしないこともわかっていたからだ。

真希を部屋に帰した後は再び無言のまま、淡々と時間は流れた。

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