46.誕生日
某年6月9日。
6月9日は神崎真希の誕生日であった。
勿論、普段龍香達は歳の数なんか意味がないと言うことで誕生日など特に祝いもしないし特別になにか用意することもない。しかしこの日だけは違い、龍香は真希に特別なものを用意していた。
「誕生日おめでとう、真希」
「ふぇ?」
「誕生日プレゼントだ、受け取れ」
そうして差し出したのは1つの封筒、その中には真希の住民票に証明写真、路上練習の為の龍香や龍二の名前が教育係として明記された申告書...運転免許証の取得のための書類が入っていた。
「???これ自動車の免許のための書類ですよね?なんで今更?」
「その通りだよ、お前今日で18だろ本物の車の免許取ってこい。偽装免許なんか基本的にリスクしかねえんだ。散々仕事で無事故運転してる奴が技能試験通らねえわけがあるまい」
「えっ、でも私暴力団関係者ですよ?免許センター入れるんですか?」
「そんなもん暴力団関係者のブラックリスト作ってるわけでもねえ免許センターの職員がどうやって判断すんだよ。だいたい暴力団関係者は運転免許証の取得ができないなんて法律の作文なんかできねえしできた所で法の下の平等の正当性が担保できねえだろうが。受ける前の路上練習なら私と龍二が付き合ってやるから、四の五の言わずに練習したらさっさと免許取りに行ってこい。当たり前だけど免許センターに自動車で行くなよ」
「教習所はどうするんですか?」
「あんだけ仕事で運転しといて教習所で何習うんだよ。実技で余裕で通るだろ」
数週間後。路上教習を龍香と龍二の協力の元書類通りに行った真希は1人免許センターにいた。龍香の言う通り、住民票などの必要書類を出すと特に職員は何も言うことはなく真希を通し、実技試験と学科試験を受けて免許を取得する流れとなる。学科試験は「あんな試験で落ちたら100回殺す」と龍香が再三脅しをかけたかけたこともあり学業に自信の無い真希もかなりの時間をかけて予習した甲斐あり無事に通った。実技試験は書き記すまでもなく突破し、無事に免許の取得ができた。
「ただいま戻りました」
「おう、落ちてねえだろうな」
「はい、無事に免許取得出来ました」
そう言い、自身の本物の運転免許証を呈示する。それを確認すると真希から事前に押収していた偽装免許をシュレッダーに入れて処分する。
「よし、これで大手を振って車乗らせてパシらせられるな」
「まぁそういう事っすよね。所で姐さんは免許ってどう取ったんすか?」
「自分の金で教習所行って普通に取ったよ。勿論、そういう連中に理解がある元締めのところのな。まぁこういうこともあるから公安や官憲を目の敵にするのはただのバカってこった、いい勉強になったろ」
警察官とも時と場合によれば話し合い自身と部下を刑務所から遠ざけている龍香は、無意味に国に刃向かう事の不毛さをよく理解している。その事の学習の為の免許取得でもあった。




