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桃髪の暗殺者  作者: 村山龍香
#14 新興宗教
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36.宗教家

最近、宝星街のみならずその近隣でも宗教の布教活動が盛んになっていた。風体や雰囲気で威圧感があり一睨みで追い払うことも出来る龍香と龍二はその手の活動してる教徒に引っかかることは無い。しかし、一見普通の少女である真希や細身で威圧感がある訳でもないシェリルには外を歩く度に声をかけられ2人は辟易していた。

「ったく、私は無宗教派だって言うのに!外国人皆宗教信じると思ったら大間違いよ!」

珍しくシェリルが比較的に声を大きく不満を吐露しソファーに腰を下ろす。別に声をかけられることもないが数が多く気が立っている龍香も声を立てることは無いが同調の意を示す。しばらく経ち、外回りに出向いていた龍二が帰ってくる。彼もまた、増えた布教家に声はかけられずとも不満を抱いていた。

「ただいまっす〜。しーかしあの訳わかんねえ宗教の布教家増えすぎっすよ。」

「ああ、確かに目には余る。近いうちに依頼も来るだろうな…」

「えー、でもただの宗教法人にそんな」

「あの手のうさんくせえ新興宗教ってのは大抵うちらの運営上で面白くねえ存在になるんだよ。宗教自体が反社やよくわかんねえ国とのつながり持ってることが多いしそもそも流石にあの規模で活動しててここが日本の普通の繁華街と違うってことを知らないはずがない。大方活動資金集めに黒い金取りに来たんだろう。金銭面や運営面に被害がなくとも舞花は黙ってねえだろうな」

そう言うと、ドアが叩かれる。来たのは桜花だった。

「おう龍香、話がある」

「営業時間外だ。話の中身なら多少は察してやるがちゃんとアポイント取ってから来い馬鹿」


…その翌日。電話で予約を入れてきた舞花が普段と異なり巫女としての髪飾りを外したスーツ姿で事務所を訪れた。龍香は客として舞花を受け入れるため、友人としてではなく殺し屋としての態度で待ち受けていた。

「失礼するよ、龍香。昨日は桜花が失礼をした。」

「いえいえ。来るだろうとは思っていましたから。予約は入れるようには言いましたが」

「…薄々何を依頼しに来たかは勘付いていそうだね。単刀直入に言うが最近うちの街に来た例の宗教に探りを入れてもらいたい。情報を共有したくてね。きな臭さが本物ならまた別に話は来るだろうと思うから私からはこれだけだ。」

舞花を依頼金を受領した後に返し、調査に出向く準備を始める。

「さて、シェリルと私で調査してくる。勿論身元がバレないように」

「はいはい。いつもの化粧でしょう?今回は美人に見えるようにするわ。」

シェリルは普段外を出歩くとき化粧をしている。かなり整った見た目をしている彼女であるが化粧は()()()不細工に見えるようにしていた。

「えっ、普段からしてるんですか?」

「わざと不細工に見えるようにね。生憎貴女達みたいに強くないからね。わざわざ痩せぎすの不細工狙ってくる人さらいや強姦魔はそんないないでしょう。全部身を守るためよ。」

「私はウィッグとカラコンがあれば十分だな。まあカラコンも片方ありゃいいんだが」

そうして普段と異なり人目を引く化粧をしたシェリルと茶髪のウィッグを被り、両の目をカラーコンタクトで青に統一した龍香は宝星街近辺に現れた宗教団体、聖白教会の本山に向かっていった。信者を急速な勢いで獲得し、宝星街近辺においてはかなりの人数の信者がいた。

「どうして人ってこういうのにハマっちゃうのかしらね」

「さあな。神なんか生まれてから一度も信じたこたぁねえからわからねえが神にでもすがりたいんだろ。…それか教祖様がよっぽど洗脳がうまいかオカルティックな力持ってるかだ。まぁこの世にオカルトなんてもんは存在してねえと思ってるから前者だろうな。奴らのその手の力はマジで超一流だからな」

「敬虔なキリスト教徒とかが聞いたら怒りそうね、そのセリフ」

「日本は無宗派の国だ。お前だって無宗派だろうが。」

「返す言葉もないわ。」

そうこう話してるうちに、聖白教会の本教会に着く。かなりの人数の信者が出入りしており、新規の入信者も歓迎といった風情で2人もすんなり中に入ることが出来た。教会の内部では教祖らしき男が教えを説いていた。龍香達は事前に調べこの男の名前を知っていた。

教祖の名は白上道雪。本名でないことは間違いないとの調べもつけており、素性をさらに調べている。

龍香達は教会には入信する気はないがどう言ったものかということを見たいという体で潜入していた。説教の時間も終わり、人が疎らになると席の1つにシェリルと共に腰を下ろす。

「やっぱり洗脳だな。」

「そうね、確かに話は上手いわ。しかし未来予知の力があるとかなんとかだけど」

「情報屋が優秀なんだろう。裏情報とか集めておけば何処をどうすれば上手くいくとか言うのはそんなに難しくないからな。まぁ少なくとも言えるこたぁある。」

「堅気の素人騙して従わせるなんて私の流儀には合わない...でしょ?」

「よくわかってんじゃねえか。その通りだ」

龍香とシェリルが話してる中、講堂内は禁煙だと言うのに堂々と喫煙する龍香に信者の女が声をかける。

「ちょっと、講堂内は禁煙ですよ」

「あぁ、そう。でも張り紙くらい貼っとけよそれなら」

「道雪様の教えでも煙草は禁忌にされてます。張り紙張るまでもありません。」

龍香自身も入るために威圧感や殺気を抑えているためか、多少威圧気味に行っても女は特にたじろぎもせず話続ける。完全にこの女は心酔しており、頑なにこの教えを信じていることを疑う余地はなかった。あくまでこの場に入るために見学者という体を取ってるだけの龍香達とは相容れなさそうであることもまた同じ。

「...まぁ今は言っても意味無いか。わぁったよ、うちらはちょっと見に来ただけだ。こんな辛気くせぇところ多分もう来ねえよ。行くぞ。」

煙草の火を消すとシェリルと共に席を立ち、教会を後にする。しかし、真っ直ぐに外には向かわない。

実態把握と共に、部屋の間取りや内部の調査は怠りなく行って帰っていった。


龍香達が教会を立ち去って数時間後。龍香に注意した信者の女の元に教祖の男が現れた。

「あの女共は?」

「不信心者です。おそらく二度と来ないかと」

「...いや、私の未来視では再び来るだろうな。恐らく神に仇なす者としてだ。リサ、神の代理人としての訓示だ。あの女の正体が掴め次第抹殺せよ」

リサと呼ばれた信者、黒山理紗はその言葉の意味を理解することに時間を要した。

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