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桃髪の暗殺者  作者: 村山龍香
#12 善でも悪でもない者
33/54

32.半端者

某日。龍香と龍二の2人が外回りの為に事務所の外に出ていた。

仕事とは関係ないところで二人とも共通の苛立ちを覚えながら車に乗っていた。

「…煩いっすねえ。」

「ああ。ちょっと目に余んな」

「…だぁーっ!!本当に黙って運転しろボケナス!!」

外を通る改造バイクの群れに龍二がクランクションを鳴らし怒鳴り散らす。

「キレていいけど安全運転しろ。うちらの免許は本物とは言えわざわざポリ公の所行きたくはねえ。」

しかし、怒ってしまったことが災いした。バイクの集団に取り囲まれ、二人とも車から降りざるを得なくなる。

「兄さん、俺ら相手にラッパ鳴らすたぁいい度胸してんな。」

「女連れたぁいい身分っすなぁ。うちらにも紹介してくれませんか?」

下卑た声を上げ、恐喝紛いの言葉を浴びせかけ二人に迫る。しかし、この不良達は暴力団関係者ではないことは明白であった。この街の暴力団関係者として龍香達の事を知っていれば、この二人がただの男女でないことや多勢に無勢な程度で負けるような人間であることでないことはわかっていなければならないはずであった。

「…姐さん?」

「…手加減はしなくていい。ちょっと格の違いを見せてやる必要がありそうだ」

そう言うと龍香と龍二は声を出した二人の急所にそれぞれパンチと蹴りを食らわせる。一撃で二人とも泡を吹いて倒れ、取り巻きの不良達もこの二人が只者ではないことをすぐに察した。しかし、多勢に無勢押し切れると判断し一斉に襲い掛かる。しかし、暗殺者として相手の急所を一撃で仕留め戦闘不能に陥らせることに長けている龍香もそもそも一対複数人の喧嘩に慣れている龍二もその程度では慌てることはない。

迫りくる不良達を纏めて薙ぎ倒し、あっという間にその集団はごく僅かになる。

「まだやるか?三流ども」

「くッ、くそー!覚えてろよー!」

よく聞く三流悪党の台詞を吐き、仲間も見捨てて一目散に逃げてしまう。呆れたように二人とも息を吐き、目を見合わせる。

「どうします、こいつら?」

「とりあえず轢かねえように道からだけはよけといてやるか。正当防衛だ、こいつらが警察に駆け込んだところでまともには取り合わねえだろう。…そもそもこんな連中わざわざ捕まりに行くようなもんだ。行けるはずもねえ。」

龍香達の住む繁華街、宝星ほうせい街は基本的に警察よりも数組の暴力団の方が幅を利かせており法治国家内ではありながら基本的に治安はコミュニティの圧力によって成り立っている。そして、暴力団がルールであるということは逆らえば何が起こるかがわからないということ。故に、知識のあるならず者は逆に近寄ることは少なく近寄るとしたら名のある街で幅を利かせた大型の組に所属することが多い。その街の中でたったの四人(正確には非正規の組員を加えた五人)で街の中でそれなりに全員顔を知られ且つコミュニティに口を利ける龍香達村山警備会社の裏メンバーは裏社会で一目置かれ、恐れられていた。しかし今日の不良達はそんな様子もない。

そういう知識のない半端者がこの街で中途半端な悪行を犯せば、何者かに消されることになっている。警察に介入されることを良しとするはずがない暴力団関係者としては当然の事であった。

「しかし、あの連中うちらを知らないってことは…」

「ちょっとグレたお子様かよっぽど情報収集の甘い馬鹿かのどちらかだな。そういう連中は間違いなくうちの顧客に目を付けられるだろうな」


その龍香の読みは一切間違っていない。それから一ヶ月も経たぬうちに件の暴走族への警察の介入を阻止していた様々な暴力団関係者、更にはその連中に賽銭を盗まれて神社を荒らされたと顔を真っ赤にした舞花までもがこの街に現れた暴走族の抹消を龍香達に依頼しに夜の裏事務所にやってきた。

「ったく。あんなにやられてここ拠点にして悪さするか。単細胞にも程があるな。」

「お子様って何も考えないものなのよ。後先考えたら暴走族なんかやったってなんのメリットもないしね。...まぁちょっとは同情するけどね、一時のやんちゃで死んじゃうんだから。受けたんでしょ?」

「当たり前だろう。悪党に絡むバカはこうなるって事例を後世のために残しておいてやる必要がある。うちらはお子様じゃねえんだ」

「成程ねえ。一応言っとくけど今回は私は情報収集には絡まないわよ。あんな連中どうせそういう悪いことをかっこいいって信じてやまないから証拠もばら撒きながらやってるに決まってるもの。...ほら。」

そう言うとシェリルはスマホの画面を龍香に見せる。彼女が開いているのはSNSの公開アカウントのプロフィール画面。そこには、龍香達に無謀にも喧嘩をしかけてきた少年達が写っていた。

「なるほどな。どうしょうもねえクソバカなのは疑う余地がねえしお前が裏でなにかする必要もねえな」

「でしょう?私が出る幕じゃないわ。分け前もなくていいから、私は別の仕事させてもらいたいわ」

「わかった。まぁいい、刑務所がマシに思えるほどの地獄を見せてあの世に送ってやる」

この街で最も敵に回してはならない人間を敵に回した事を、少年達は自らの命をもって思い知ることになる。


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