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【コミカライズ配信中】プレアリス・オンライン ~天使ちゃんは毎日配信中です!~  作者: 旅籠文楽
3章 -

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103/248

103. 北東の離島に興味があります

 


     *



 それから更に2時間ほど海底の近くで各種素材の採取を行っていると、その間に4人全員の〈水泳〉のスキルランクが『5』まで自然成長した。

 どうやら『海の日』である今日は、海の中で泳いでいると大体30分に1ランクずつのペースで、スキルが自動的に成長していくらしい。


 〈水泳〉スキルの効果はとても劇的で、ランクが1つ成長するだけでも、泳ぎの速度が体感できるぐらい速くなる。

 また息が続く時間もランクが成長する度に『3分』ぐらいずつ長くなっており、シズ達はもう平気で『20分』ほど連続で潜っていられるようになっていた。

 こうなると余程うっかり呼吸を忘れない限り、溺れる心配は無さそうだ。


「なんだか―――対岸までだって平気で泳げるんじゃないかなって、そんな風にも思えてきたよ」


 息継ぎのために4人揃って海面に顔を出した際に、シズがそう告げると。

 3人とも笑ってみせながらも、誰もその言葉を否定はしなかった。


「実際、行けなくは無いのではありませんか?」

「そうですわね。時間は掛かりそうですが、普通に泳げるでしょう」

「行ってみますか?」


 ―――それどころか、3人とも超乗り気みたいだ。

 シズ達が現在居る場所は、森都アクラスより少し北の沖合なのだけれど。

 ここから東側を望むと、少し遠くに大きな陸地が見ることができる。


「あれは『アングルシー島』ですね」


 遠くにあるその対岸を指差しながら、ユーリがそう教えてくれた。


「おお、初めて聞く名前だ」

「あ、もちろんこの世界での島の名前ではありません。『アングルシー島』という名称は現実世界でのものですね」

「なるほど。……あれって島なんだ? てっきりイギリス本島の一部かと思った」


 遠くに見える陸地は、明らかにイギリスの本島―――グレートブリテン島の一部であるように見える。

 見た目だけで言えば、どう見ても『島』のようには見えないのだけれど。


「海峡を隔てておりますので、一応『島』ではありますね。ただ、シズお姉さまの言う通り、ほぼ本島の一部と認識して頂いて問題無い感じではあります」


 ちなみにユーリの話によると、現実世界の地図で言えば『ダブリン』と『アングルシー島』は、100kmぐらい離れた位置関係にあるらしい。

 但し『プレアリス・オンライン』のゲーム内世界は、現実の世界地図に近い形を模してはいるものの、大きさ自体はかなり縮小されていると聞いている。

 だから、いまシズ達の視界に見えている『アングルシー島』らしき陸地までは、おそらくその半分の『50km』も離れてはいないだろう。


「ユーリ。北東にも陸地が見えるけれど、あっちは何だろう?」

「北東ですか? ああ―――あれは多分『マン島』ですね」

「……何だか、名前は聞いたことあるかも?」

「グレートブリテン島とアイルランド島の間にある島なのですが、結構有名なのでご存じかもしれませんね。特に公道でのオートバイレースで有名です」

「へー」


 オートバイは父が好きなので、そっち関連で名前を知っていたのかもしれない。

 何にしても2つの大きな島に挟まれる形で、ぽつんと島が存在するというのは、なかなか面白いことのように思えた。

 ちょっとだけ―――どんな所か見てみたいな、とも思う。


「ここからだと距離ってどのぐらいなのかな?」

「えっと、確か現実世界ですと、ダブリンからは150kmぐらい離れていた気がするのですが。……それよりは随分と近そうに見えますね?」


 現在位置から見る限りだと、アングルシー島もマン島も、大体同じぐらいの距離にあるように思える。

 この世界の地図は『現実世界の地図を模して』はいるものの、全てがそのままの配置では無いらしいから。もしかすると現実世界よりもマン島が、ダブリンに近い位置に存在するのかもしれない。


「グレートブリテン島は『転移門』を利用すればいつでも行けますが、マン島へは行けないと思いますから。この機会にちょっと行ってみたい気もしますね」

「よろしいんじゃないですの? わたくしも興味がありますわ」

「ちょうどスキル上げにも手頃な距離だと思います」


 何だか早くもユーリとイズミ、プラムの3人が『マン島』へ行くことに乗り気になっている。

 もちろんシズとしても、3人がそうしたいのなら拒む理由など無かった。


「行くのはいいけど。帰りは自殺することになると思うけど、いい?」

「それは仕方ありませんね……」


 シズの言葉を受けて、ユーリが苦笑してみせる。

 今の〈水泳〉スキルをもってすれば、マン島まで泳ぎ切ることは不可能では無いと思うけれど。とはいえ、あちらの島まで移動するだけで、多分3~5時間ぐらいは掛かるだろう。


 片道だけならば、挑戦気分で臨める距離ではあるけれど。いくら休日とは言え、往復するのは時間的に厳しいものがある。

 だから往路はともかく、復路は『死ぬ』ことを前提にして、移動時間を短縮する必要があるのは明白だった。


「どうせなら強い魔物と戦って倒されてみたいですね!」


 イズミが何かを期待するような目で、そんな風に言ってみせる。


 それを聞いて、有り得ない話でも無いな―――と、シズは思った。

 何しろ、未知の島なのだから。実際に強力な魔物が棲息しているようなことも、普通に起こり得る話だ。


(できれば死ぬ前に、少しは素材の採取とかできると良いなあ)


 シズは内心で、静かにそう思う。

 折角、ちょっとした距離にある離島まで泳ぐのだから。森都アクラスの近くでは手に入らないような、希少な素材のひとつでも採取できると嬉しいところだ。


「何にしても、行くのは午後からですね」

「ん、そうだね」


 ユーリの言葉に、シズも頷く。

 『マン島』へ向かうのは、4人全員が一旦ゲームからログアウトして、各自で昼食を済ませて再ログインしてきた後の話だ。


 というわけで、シズ達は一旦陸地まで泳いで戻ることにする。

 海岸に着いたら水着から探索用の衣服へ一瞬で着替えて、それから『浮遊』して森都アクラスへと帰還した。

 そして北門から都市の中へ入った場所で、すぐにログアウトする。




 ―――現実の雫の身体に意識が戻ると、もうお腹が減っていた。

 どうやら朝食のパンケーキとサラダでは、ちょっと量が足りなかったらしい。


(ベッドの上で寝ているだけなのに、お腹が減るのは未だに慣れないなあ……)


 自分のお腹を軽く撫ぜながら、雫はしみじみとそう思う。

 VRゲームをプレイしている間は、現実の身体から意識が切り離されるけれど。身体は眠っているわけではなく『覚醒』状態が維持されるのだという。


 多分お腹が普通に減るのも、その辺りに理由があるのだろうけれど……。

 頭の上では何となく理解できているつもりでも、実際の身体はただ眠っているだけにしか思えないものだから、正直ちょっと釈然としないものがあった。


(……なるべく毎日、ちょっとずつでも運動はしよう)


 一日中ゲームを遊んでいると、身体が鈍りそうで怖いというのもある。

 早朝のジョギングはもちろんながら、それ以外の時もなるべく積極的に身体を動かして、運動不足になり過ぎないように気をつけた方が良さそうだ。





 

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お読み下さりありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新乙い
[一言] 初めてマン島の場所を知りましたw
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