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10. 天擁神殿

 



+----+

◇天擁神殿を訪問 /チュートリアルクエスト


 『天擁(プレイア)神殿』を訪問して、デイリークエストを受領する。

 △報酬:武器チケット×2、防具チケット、職能証明書、1000gita


-

◇武器と防具を手に入れる /チュートリアルクエスト


 武具店を訪問して『武器チケット』と『防具チケット』を利用する。

 △報酬:戦闘職がレベルアップ、自動充填ポーション×10


-

◇錬金術師ギルドを訪問する /チュートリアルクエスト


 錬金術師ギルドに『職能証明書』を提出し、職人として登録する。

 △報酬:生産職がレベルアップ、生産レシピ×5


+----+




 視界内に表示されたチュートリアルクエストは3つ。

 天擁(プレイア)神殿というのは、キャラクター作成の際にユトラが話していた『プレイヤーのための施設』のことだろう。

 ゲーム会社のスタッフが常駐している場所らしいけれど、それ以外にどんなことが出来る場所なのかは、シズもまだよく知らない。


「最初は天擁(プレイア)神殿に行くべきですね」

「ん、そうなるね」


 ユーリの言葉に、シズも頷く。

 先に『天擁神殿を訪問』を達成して報酬アイテムを受け取らないと、他の2つのクエストは達成が不可能だからだ。


「3つ目のクエストは、私は『錬金術師ギルドを訪問する』になってるんだけど。多分ユーリちゃんは違う場所に行くんだよね?」

「そうですね。私のほうは『薬師ギルドを訪問する』になっています」

「あ、ユーリちゃんは生産職を〔薬師〕にしたんだね」

「はい。特にやりたいものがありませんので、それでしたらシズお姉さまに使って頂けそうなアイテムを作れる職業が良いと思いまして」


 そう答えてから、ユーリが可愛らしい笑顔ではにかんだ。

 シズの戦闘職である〔操具師〕は、消費アイテム類を惜しまず使ってこそ本領を発揮できる職業だ。だから〔錬金術師〕として自作ができる『霊薬』のみならず、薬品や料理といった、他の生産職向けのアイテムも揃える必要がある。

 ユーリはそれをシズに提供してくれるつもりで〔薬師〕に決めてくれたらしい。


「そっか。じゃあ薬に関しては、ユーリちゃんを頼りにしちゃうね?」

「はい、お任せ下さい。とりあえず3つ目のクエストでは別行動するしかありませんが、神殿と武具店へは一緒に行きましょう」

「了解。じゃあ手を繋いでも?」

「はい♡」


 ユーリと手を繋ぐと、彼女の手のひらの温かさが(じか)に感じられる。

 こうした細かい部分までが、現実と何ら変わらないように体感できてしまうと、今居る場所が『造られた世界』には全く思えなくなるから凄い。


《尊い》

《なんと尊い……》

《シズユー尊い》


 妖精が読み上げるコメントは、ちょっと意味が判らなかった。

 尊いって何……。


 視界にマップを表示して『天擁(プレイア)神殿』の位置を確認してから、シズはユーリと共に森都アクラスの街中を歩く。

 一応ここは『大都市』のひとつな筈なのに、住民の数があまり多くないのか、静かに落ち着いた空気が街中にあることが好ましく思えた。

 商売をするなら、もっと人が多くて賑わった都市のほうが良いんだろうけれど。住むならこういう閑静な都市のほうが、居心地は良さそうだ。


 街中を歩いていると、武具を身につけている人達の姿がちらほらと見える。

 既に武具の交換クエストまで済ませたプレイヤーだろうか。それとも、元々この都市で活動しているNPCの人達だろうか。

 プレイヤーとNPCの見分けが出来ないかなあ―――とシズが思案していると。不意にプレイヤーの頭上にだけ、キャラクターの名前が表示されるようになった。

 シズの意志を察して、システム側で表示方法を自動的に調整してくれたらしい。


 どうやら武装している人達の大半はNPCらしく、プレイヤーは……居ないわけではないけれど、その数は少ないようだ。

 初期地点に選択可能な『大都市』には、帝国とか聖国とか商業同盟国といった、いかにもプレイヤーの興味を掻き立てそうな名称の国家が幾つもあったから。殆どのプレイヤーは他の国でゲームを開始したんだろう。


 全員がチュートリアルクエストをまず進行しなければならない都合上、あんまり沢山のプレイヤーが来ると、神殿や武具店が混雑してしまいそうだし。

 この森都アクラスみたいに、プレイヤーの姿があまり見られない都市のほうが、最初はかえって都合が良いのかもしれなかった。


「あ、見えてきましたね」

「おおー。想像していたよりもでっかい」


 それは神殿と言うよりは『大聖堂』といった雰囲気の建物だった。

 石造りの大きな建物で、近づくだけでもかなりの威容が感じられる。

 宗教施設なのに十字架っぽいマークがひとつも見られないのは、キリスト教との関係がないからだろうか。


 建物の傍にまで近寄り、重厚な扉を押し開けて中に入る。

 すると、神殿の中へ1歩踏み入ると同時に、視界の隅に表示させているログウィンドウに幾つものメッセージが表示された。




+----+

※ここは『プレイヤー専用区画』です。

 外部NPCを連れて中へ入れませんので、ご注意下さい。


▲初めて『天擁神殿』に到着しました。

 神殿内にある掲示板では『天擁神殿クエスト』が受領できます。

 天擁神殿クエストは達成しても報酬金がありませんが、

 アイテム報酬に加えて経験値やスキルポイントが得られます。

 クエストはいつでも破棄可能で、ペナルティはありません。


▲本日分の『デイリークエスト』を自動的に受領しました。

 デイリークエストは毎日自動的に受領されるクエストです。

 達成すると沢山のスキルポイントが手に入りますので、

 可能な限り毎日達成を目指すと良いでしょう。

 未達成のデイリークエストは日付が変わると破棄されます。


◇チュートリアルクエスト『天擁神殿を訪問』を達成しました!

 報酬:武器チケット×2、防具チケット、職能証明書、1000gita


○実績『初めてのクエスト達成』を獲得しました!

 報酬として〔スキルポイント:20〕を獲得しました。

+----+




 神殿内へ入った時点で『天擁神殿を訪問』のクエストが達成されるのは、判っていたけれど。

 それ以外にもデイリークエストの機能が解禁されたり、また先程とは別の実績も獲得できたみたいだ。


「クエストは無事に達成されたようですね」

「そうみたいだね。報酬で貰ったアイテムって、どこで確認できるのかな?」

「確か『インベントリ』と念じれば確認できたと思います」


 インベントリとは全てのプレイヤーが利用できる、所持アイテムを自由に収納しておけるスペースのことだ。

 ユーリの言葉通り頭の中でインベントリという単語を意識すると、すぐにシズの視界にそれらしいウィンドウが表示された。

 現在シズが所持しているアイテムは武器チケットが2つに防具チケットが1つ、職能証明書が1つ、それと現金が1000gita(ギータ)

 つまり、いま報酬として受け取ったアイテムが全財産になる。


 ちなみにインベントリの中には、最大で40枠分のアイテムを収納しておくことが可能のようだ。

 同名のアイテムなら100個までを1枠の中に収納できる。またこの世界の通貨であるgita(ギータ)は、枠数を使わず収納しておけるようだ。


 受け取った報酬で3枠分を消費したので、残りのスペースは37枠分。

 ……沢山入るようで、案外40枠というのは簡単に埋まってしまうものかもしれない。

 もちろんアイテムはインベントリへ収納せず、手提げバッグなどに入れて持ち運ぶことも可能だろうから、使い分けが大事だろうか。




+----+

◇自由討伐 /デイリークエスト〔戦闘〕


 魔物を20体討伐する。

 このクエストは翌日になると消滅する。

 △報酬:戦闘経験値100、スキルポイント50、ランダム報酬


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◇自由生産 /デイリークエスト〔生産〕


 アイテムを1個生産する。

 このクエストは翌日になると消滅する。

 △報酬:生産経験値100、スキルポイント50、ランダム報酬


+----+




 受領したデイリークエストはこの2つ。

 何でも良いので魔物を倒したり、生産すれば達成できるらしい。


 ユーリに訊いてみると、彼女が受領したデイリークエストも同じ2つだった。

 デイリークエストの内容は毎日ランダムに決まるらしいけれど。多分今回は最初だから、簡単で達成しやすいクエストが選ばれるようになっているんだろう。





 

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お読み下さりありがとうございました。

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