旧友と最強
「フロウじゃないか!何でここにいるんだ?」
浮いていることには全く違和感を抱かず、シャトーがフロウに尋ねた。
「何でも何もなあ.......誰だって突然轟音がしたら様子を見に行くものだろう?」
「まあ.......確かに.....」
確かに俺でも様子を見に行く。ましてや空から黒い炎と水が降ってこようものなら、遺書の準備でもしていることだろう。
「しかしまあ、これは大変だな。」
フロウが、あーあ、と言うように辺りを見回した。
現状炎と水が五分五分ほどの割合で目に入る。つまり、炎自体は広がっていないが、別に収まっているわけでもない。
「.....このままいくと、長期戦だな。」
「森がいくつあっても足りないなあ。」
そうだろうな。木を焼きつく炎だってもちろん、水だって洪水を引き起こして気を根こそぎ持って行くだろうし、生き物なんかもひとたまりも無いだろう。
「なあなあ、何とかならないか?フロウ。」
シャトーが明らかにダメもとの声色でフロウに聞くと、フロウはああ、と何かを思い出した。
「そうだったそうだった。それを伝えに来たのだった。」
「何かあるのか?!」
「フロウ、ある?!」
食いつきがすごいな。
「ああ。こちらとて、大事な住処がなくなるのは困るからな。」
そうだ。フロウもこの森の住人だったな。
「どうすればいいんだ?フロウ。」
シャトーが期待に満ちた瞳をフロウに向けると、フロウは俺を指さした。
「『白水蛇』の最後の魔術にして、最強の魔術.....『ウロボロス』だ。人の子なら『白水蛇』を九つ習得している....使えるはずだろう?」
「.......!」
「!!!」
「『ウロボロス』?」
シャトーとオーガが驚いているようだが、俺は初めて聞いた。また無責任な保護者が言い忘れたのか?
「そうだ。人の子は初めて聞くようだが.....魔導書集の最後の魔術は強力なものが多くてな、人の子が使う『白水蛇』も例外ではない。そしてこの『白水蛇』の最後の術は『ウロボロス』、別名『死と再生』とも呼ばれている。」
「はあ.....」
「死と再生」.....聞いただけで強そうだが。効果にもよるな。毒なのか、物理攻撃なのか、この状況で使えるかどうかはまだ分からない。
「この魔術の効果はな.........『魔法陣が展開された範囲の物の無条件破壊』だ。」
なんだそれ強いな。今まさに使えるじゃないか。