「龍の森」捜索其の肆
「あの音......攻撃しろ、ってことですよね。」
木の陰に避難した6人のハンターは、森に響く笛の音を聞いていた。
「どうする?かなり高いぞ?」
「届くかどうかも分からないな。」
二人の熟練ハンターは葉の陰から空の様子を窺った。
「誰か浮遊系の魔術を使えるものはいないか?」
弓を持ったハンターが言うと、魔術師の女性がおずおずと手を上げた。
「一応......ありますけど。届くかどうかは......」
「まあ、試しにやってみよう。お嬢さん、木の上に登れるかな?」
「はい。」
魔術師と弓使いは木の上に登ると、空を見上げた。
「......詳しいことが知りたいだけだから、そこまで飛ばなくても構わん。むしろ魔術の使い過ぎで後々に影響しないようにしておいて欲しい。」
「分かりました。では.....」
魔術師は弓使いのハンターに向かって杖を構えた。
「いきます!.....『大鷲』。」
魔術を唱えると、弓使いのハンターの身体に羽が生え、空へ向かって羽ばたいた。
「ふむ....」
弓使いは数秒で翼の操り方を見切ると、さらに高く飛んだ。
「黒い魔獣と.....火の玉...と、何かいるな....?」
木々が小さく見えるほどに上昇した弓使いは目を細めながら地上からは見えなかった"なにか"を確認した。
「魔獣と向かい合って......闘って......っ!」
その刹那、再び大きな衝撃が森を襲った。先程よりも近い位置で食らった弓使いは、なす術もなく一気に地面へと引き戻された。
「くっ!」
「『空の揺り籠』っ!」
事態に気が付いた魔術師が、咄嗟に衝撃緩和の魔術を唱え、弓使いは事なきを得た。
「大丈夫ですか?」
「ああ。お嬢さんのお陰でな。」
先ほどの衝撃で翼が消えた弓使いは、ゆっくりと立ち上がると、5人のハンターに行った。
「それよりもあの魔獣......俺の身間違いじゃ無ければ、誰かと闘っている。もちろん、我々ハンター以外の"何か"とな。」
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