「龍の森」捜索其の弐
「ガルーン様、大変です!」
数人の兵士と共に龍の森を探索していたガルーンの元に、一人のハンターが走り寄った。
「どうした?龍でも見つけたか?」
ガルーンの言葉に、ハンターは息を整えながら答えた。
「ガルーン様、上を、空をご覧ください!」
「空、だと?」
ガルーンは、兵士と共に、少し開けた場所に移動すると、空を見上げ、そして、目を見開いた。
「あれは......!」
ガルーンの目に映ったのは、黒い、大きな翼を持った生物だった。
はるか上空にある"それ"は、目で確認できるほどの大きな火の玉の前で、ゆっくりと羽ばたいていた。
「ガルーン様、あれは、『黒き龍』ではございませんか?」
隣に控えていた老兵士が囁いた。
「......どうだろうか。ここからではよく見えぬ。」
ガルーンが、浮遊魔術を使うハンターはいたかどうか聞こうとすると、黒い生物は口を開け、凄まじいほどに咆哮した。
「うわあっ!」
「くっ......!」
木々はびりびりと震え、黒い生物を中心としたその咆哮は、ガルーンたちを吹き飛ばさんほどの勢いだった。
「な、なんて威力......」
ハンターが態勢を立て直している間、ガルーンの脳裏に、若かりし頃の記憶が浮かんだ。
「あの咆哮.........そうだ、あの時も......」
ガルーンは、銀の槍を強く握ると、兵士の方を振り返った。
「ガルーン様?」
訝しげに尋ねた兵士に、ガルーンは力強く言った。
「全ハンターに告げよ!あれは、まさしく黒き龍......。どんな手を使ってでも倒すのじゃ!」
「「承知いたしました!!」」
攻撃開始を告げる笛が響いたのは、そのすぐ後の事だった。